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2013.10.11.Up Dated.
NISA活用の注意点
 
 NISAの投資は一般の投資とはかなり異なるという前提で考える必要があります。
非課税という点が強調されていますが、投資収益には元々非課税になる部分があります。
例えば、投資信託を特定口座(口座開設先で税額計算と徴収業務を行う)から購入すると、元々非課税に該当する元本払戻し分を除いて、配当益と売却益(元本と売却価格の差額)に対して税率計算して源泉徴収します。
具体的には50万円で買った株式を55万円で売った場合、5万円が売却益になり元本である50万円分は非課税です。
投資信託の分配金には、この元本分も含まれているケースが多いですから、これをNISAで使うとメリットが小さくなってしまいます。
従って、今後の投資信託商品には、元本分と純粋な投資収益(配当益と売却益)を分けて表示するよう指導されていますが、これを徹底されると投資信託の実質的利回りが下がりますからセールスポイントが弱くなります。
更に言えば、分配金に占める売却益の割合が多い商品は、長期保有ではマイナスとなる局面もありますから、これをNISAで投資するのは向いていません。
NISAではなく一般投資で行えば、株価が下がった時の損失分は通算して利益と相殺できますが、NISAでは全く認められませんから、売却益依存の投資商品はNISAには向いていないと言えるのです。

次に、REIT投資でも同じようなケースがあります。
REITは運用益の全額を投資家への配当に回していますが、一部の銘柄(物流倉庫銘柄に見られる)では、やはり元本の払戻し(建物減価償却費の一部を配当金に含めている)に該当する分が含まれています。
その比率は配当金の10〜15%程度ですが、やはりこれも元々非課税です。
この事はREIT投資でも注意する必要がありますが、投資信託でもこのような銘柄が投資対象に含まれている例が見受けられますので、これも大事なチェックポイントになります。
今は、金融機関や証券会社はNISA口座の開設誘引に営業攻勢を掛けていますが、このようなNISA投資の前提について十分に周知させずに、投資を勧誘している面が見受けられます。
勿論商売ですからあの手この手で投資を誘引するのは普通ですが、相手の説明だけで投資をしてしまうと思わぬ落とし穴があります。
テレビCMでは、投資が初めてという人に向いているような事を言っていますが、これは正しくはありません。
NISAはある程度の投資経験があるか、事前にその仕組みが理解出来るような情報分析力がある人の為のものです。
良く分からないけど他人に任せるという対応になる人は、投資をしないか又は損しても仕方ないという前提で行うべきです。

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