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2013.11.22.Up Dated.
NISAに向けた投資口分割の動き
 
 11月13日に日本ビルファンド投資法人が、そして11月18日にジャパンリアルエステイト投資法人が来年1月1日付で投資口を2分割すると発表しました。
同時期の発表で、しかも同日での投資口分割は両者が足並みを揃えた感じがします。
これは私の憶測ですが、この一連の動きには当局の関与があるかとも考えられます。
NISAにとってREITは重要な対象商品ですし、元々NISAのような投資態様をターゲットとして設立された趣旨もありますから、NISAがスタートする前にREITにはそれなりの対応が求められたのだと思います。
そんな事から、最初のREITであり、REITの中では影響力の大きい日本ビルファンド投資法人とジャパンリアルエステイト投資法人が動くことになったのだと推測します。
両社の投資口価格から見ると、2分割では物足りませんが、これは積極的に対応するのではなく、REIT全体に対してのアナウンス効果を主としているからとも言えます。
一方で、これによりREITの中では、今後投資口分割の流れが起きると予想されます。
現時点で投資口を分割しているのは43銘柄中18銘柄になりますが、恐らく倍増するだろうと思われます。
私のセミナーに参加された方には伝えていましたが、NISAによってREITの各銘柄の性格や立ち位置が明確になります。仮に投資口分割をしない銘柄があったとしたら、それはその余裕のない銘柄で、低迷状態から暫くは脱却出来ないと考えているとも言えます。
又、資産規模が小さ過ぎて未だその段階にまで至っていない銘柄もありますが、これは少数派です。
一方で、投資口価格が高くなっている銘柄では、敢えて投資口分割を行わず最高投資口価格銘柄になって、短期売買を主体とする大口投資家向けにシフトするという考え方も出るかもしれません。
こうなると、NISA投資家には少し分かり易い状態になり、銘柄選別の参考になりそうです。
具体的には、投資口分割を行わず、80万円/口以上の市場価格になっている銘柄は単純に除外して考えれば良いのです。
仮にこのような銘柄があったとしたら、それは投資主政策を短期売買主体の大口投資家にシフトしている事になりますから、NISAにとっては不都合だと言えます。
又、投資口分割しても市場価格が50万円/口超になる可能性のある銘柄は、本気でNISAには対応していないとも言えますから、これもNISA投資家には向いていません。
こう考えると、銘柄選別の難しかったREITにも一つの基準が出来るとも言えます。
又、NISAではない一般投資でもこれは重要な情報です。
短期売買主体の大口投資家、そしてNISA投資家の狭間で、どう情勢を読みどういう投資態様を採るのかは来年からの大きな課題になります。
こう考えると、NISA投資家も一般個人投資家も従来の見方だけでは対応出来ませんので、もう一度仕切り直して投資戦略を練り直す必要がありそうです。

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