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2013.11.29.Up Dated.
NISAに適した投資商品とは
 
 NISAと言うのは、個人の少額投資を非課税にする制度であり、決して新しい投資方法でも新たな投資商品でもありません。従って、本来はNISAの制度に対応した投資商品のメニューが必要ですが、冷静に見ると現在は殆ど該当する商品がありません。
NISAを使って個人が長期投資を行う場合、損失リスクを少なくすることが第一になりますが、逆に言えば、目標とする利益も抑える必要があります。又、5年乃至10年間のスパンで考えれば、投資市場や為替相場の変動は必至ですから、元本の毀損リスクも予め念頭に置いておかなければなりません。
従って、NISA用の投資商品では、投資収益が最悪でも±ゼロか若干の利益が残るものが望ましいと言えます。
この前提で考えると、保有期間中の配当率が高く、その配当益によって元本毀損分をカバー出来る商品が挙げられます。仮に年4.0%の配当率を持つ商品であれば、10年間で40%の配当金が得られますから、元本がマイナス40%まで下がらなければ総合収益はプラスになります。即ち配当率が高くて、元本が半減するような事態が起こりそうもない投資商品がNISAに向いているとも言えます。
所が、このような投資商品は国内にはREITしかありません。後は、利回りの高い海外投資商品ですが、NISAのように少額投資で損益通算の出来ない投資では海外投資を薦めるのは筋違いです。
投資の基本は、不確定の利益を読むだけでなく、投資リスクを把握出来ることが重要ですが、海外投資では為替リスクを含めて、そのリスクの把握が不可能に近いのです。
例えば、海外投資商品を組み込んだ投資信託を薦める銀行や証券会社に、5年乃至10年間の変動を読めるのか、リスクは常時把握出来るのかを尋ねてみると良いと思います。
元本価値が比較的安定している国債でも、今は先進国の金利が低くなっていますから、長期で見れば金利上昇余地の方が大きく、元本価値は下がっていくと見るのが普通です。更に、円の価値がこれ以上下がるのは日本経済が失速した場合であり、このまま順調に推移すれば円高になるので、海外投資の配当金はその分目減りします。
こう考えると、簡単にNISA用として訴えられる投資商品は中々ありません。 これをストレートに表現するのは憚られますから、マスコミもお茶を濁した表現に終始しています。
以上が今日のNISAの実態ですから、NISAを始める個人投資家は心して掛かる必要があるのです。

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