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2014. 2.28.Up Dated.
NISAによる取引動向と銘柄選別の注意点

 
 東証発表の1月の投資部門別売買動向を見ると、月間売買高は1,065,378百万円と前月比▲15.9%と辛うじて1兆円を超えた水準でした。
投資家別の取引動向は、買越しが金融機関と投資信託、売越しが国内個人と外国法人というように、従前のパターンになっています。
それでも、東証REIT指数で見ると、1月は前月比40.61ポイント上昇していますから、最近の商いとしては低調ながら、投資口価格は上昇傾向になっています。
これらのデータを見ると、NISAの投資資金は思った程の流入がなく、大半はウェイティング状態にあると考えられます。
それでも、国内個人の買越し額は前月よりは若干シェアを伸ばしていますから、NISAの一部がREIT投資をしたものとも思われます。
但し、推測ですが、1月のNISA投資は、銘柄選別の痕跡が薄く、証券会社等に勧められるままに銘柄を選んだ投資になったと予想されます。
従って、NISAの資金が本格的に動くのはもう少し先で、前回の季節変動を踏まえるとGW明け以降になると考えられるのと、銘柄選別基準は未だ見えてきていないと言えます。

このような状況はREIT各銘柄にとっても不気味でもあります。
NISAのような資金は、一旦銘柄を選ぶと翌年も同じ動きになる可能性が高く、数年はNISA銘柄が固定されてしまうかもしれません。又、投資対象銘柄も期待したほどには分散せずに1桁台の銘柄数に偏る可能性も否定できませんから、NISAに選ばれるのと選に漏れるのでは、その後の運用の方向やエクイティ政策にも大きな影響を与えます。
更に、相手が個人ですから、従来の大口投資家を対象としたIRでは到達力が弱く、アピールポイントも異なりますので、運用側としては暗中模索であろうと考えられます。
一方、投資家にとって気を付けたいのは、付け焼刃的にNISAにアピールするIRです。
従来は、個人投資家を大して省みずに、大口投資家重視の姿勢でいた銘柄が、取り敢えずNISAにも色目を使ってみるかという程度の気持ちで動く所もありそうです。
それらを判別するのは、抽象的な事しか言わない銘柄や、具体的な対応策が予定されていないアピールです。
向こうが本気でない相手を、敢えて個人投資家が選ぶ必然性は薄いですから、暫くはこういう点に着目してじっくりと銘柄の動きを見ておく必要がありそうです。

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