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2014. 5. 2.Up Dated.
ヘルスケアREITについて

 インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人の上場予定が発表され、更にはヘルスケアREITも大和証券系とケネディクス・長谷工系の2銘柄が上場準備に入っているようなので、これらを合わせると何れREITは48銘柄になりそうです。
これらの中で、インベスコ・オフィスはオフィスビルリートなので、従来の延長線上で見る事が出来ますが、ヘルスケアリートは初めてのケースなので注意が必要となります。
シニアハウス事業は狭い市場ですが、REITが新たに取得すると、業界の常識を超えた高い価格での取得が噂になります。
シニアハウス事業を展開している会社は、得られる賃料をベースに安全率を掛けて事業利回りを確保していますが、REITが取得する際は、この安全率が外れます。
従って、業界内ではその取得価格に驚きが広がりますが、高く買ってくれる主体が出るのは歓迎ですので、これらの内輪話は余り外へは出ません。
レジデンスREIT等がポートフォリオのマイナーポジションとしてシニアハウスを取得する際は、保有資産のほんの一部ですし、分散効果も期待出来ますから、特に問題視されませんが、ヘルスケア専門REITとなると話は別です。
元々数の少ないシニアハウスでREITの資産規模を確保するには、買い漁るしかありませんから、かなり高い価格で取得します。
勿論、これが一般事業会社であれば自らのリスクですから構いませんが、REITになると投資家リスクに付け替えられます。
一般の投資家がシニアハウスの相場や収益動向等を知る由もありませんから、見方によっては勝手放題の組成にもなりかねません。
単純に他のREITの比較で、ポートフォリオ利回り5.5%/年以下でも証券アナリスト等は可としそうですから、組成側にとっては楽勝かも知れません。
今のREIT市場であれば、上場は十分可能ですし、ポートフォリオ利回りも厳しく見られる事はなさそうなので、こういう環境にある間に早めに上場しようとするでしょうから、余計に粗くなりそうです。
REITの銘柄数が増える事は悪い事ではありませんし、枯れ木も山の賑わいとみる事も出来ますが、このことは2005年〜2006年の上場ラッシュの時も同じような事を言いました。
その後、REITが不振に陥った時、先発銘柄からは出なくて良いREITが上場した為だと冷たく言われましたが、今度も果たして同じ状況になるのでしょうか。

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