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 REITの最新事情 vol.2
  
新規上場組
概して、新規上場では計算上の額面価格(500千円/口)に近い価格が市場価格と見なされる傾向にあり、新規上場でのプレミアムはあまり期待できない状況です。これは、最初に登場したNBFとJREを除けば、一貫した市場評価であり、過去の上場実績では、JRF:470千円/口、OJR:520千円/口、JPR:200千円/口、PIC:480千円/口といずれも厳しい公募価格となっています。
今回は、TRIがこの市場評価に挑戦する形になりましたが、やはり跳ね返されてしまいました。一方、GORは保守的な公募価格設定で望みましたが、9月末という決算時期と重なったこともあって、一時は500千円を割り込む水準まで株価が下がりました。
市場での取引の実態は分かりませんが、上場後直ぐに公募価格割れで売却する投資家が多いとは思えずやや不透明感もありますが、いずれにしても、新規上場では、まず市場の厳しい洗礼を受けるのは常態化しており、今後の新規上場予定組にとっては悩ましい点だと言えます。
このような状況を打破するには、REITを閉ざされた世界から、もっと広い世界に出す必要があります。
TRIは、上場に際して個人投資家層へ積極的にアピールして公募を行いました。 この手法は正解だと思いますが、やや力不足のために所期の目的は達成できませんでしたが、今後の新規上場では最も有効な唯一の方法だと考えています。
個人投資家の多くは、証券会社のペースでは動きませんので、いかに個人投資家層を惹きつけるがREITに進出する際の重要課題です。市場は多くの投資家によってランダムに変化するのが普通ですが、REITの上場では一定の動きになっています。 これをどのように見るかによって、REITの投資商品としての未来が変わりそうです。

増資組
今回は、2つの増資が大きく明暗を分けることになりました。 OJRの増資は大変厳しい内容となり、一方のJREは過去最高の増資価格を実現しそうです。 その価格差を見ると、1口当たり約15万円の乖離が生じ、OJRの公募価格の35%増がJREの公募価格です。
確かに、資産内容等から見ると、彼我の差はありますが、35%の格差を生じさせる程の根拠は不明確でもあります。 何を以って銘柄間の格差を表すかが不明瞭な状態だと、情緒的な評価が優先されたり、風聞によって株価が上下したりすることにもなりかねません。 もちろん、市場淘汰によって勝ち組みが選別されるのは望ましいことですが、選別基準が明確であって、この根拠が合理的というのが基本です。
今回の2銘柄の増資では、両社とも平均築年数を下げる資産取得を前提にして増資を行いましたから、このことだけを見れば大きな格差は生じないはずですが、結果を見ればOJRの惨敗に終わりました。 投資家から見ると、ある程度の格差は分かるものの、これだけ明暗が分かれたのは何かという疑問もあると思いますので、今後、改めて検証したいと考えています。

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