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2003.11.13. Up Dated.
 野村不動産オフィスファンド投資法人の上場
  
野村不動産系のREITが12月4日に東証に上場されることになりました。
私も、まだ目論見書を読んでいる段階で、物件調査はこれからになりますが、馴染みのあるオフィスビルも多く、何となくこの銘柄の特徴が伝わってきます。
当初、野村不動産はREITには否定的で、SPCを使った私募ファンドに注力していました。 それがどこで方針が変更されたのか分かりませんが、急遽REITに進出してきましたので、様々な憶測も呼んでいます。
その最たるものは、SPCで組成したファンドの償還出口としてREITを使うという観測です。
数年前から私募ファンド形式で、不動産を証券化した事業が多くなりましたが、REITとは異なり、一定期限後に不動産を売却して投資元本を返還しなくてはなりませんが、なかなか思うようには売却できていません。
従って、私募ファンドはリファイナンスによるジャンプ(再度、新しいSPCを組成してそこへ売却する方式)が多くなっていますが、この方式では、近い将来また償還期限が到来しますので、償還が必要のないREITへ転換するのが実務的には最良です。
もちろん、この論理は供給側の一方的な考えであり、投資家にとっての良否は別です。但し、私募ファンドに出資した大口投資家等も問題が先送りされるのであれば、それでも良いという考え方がありますから、一概にこの手法が悪いとは言えません。
「ババ抜き」と揶揄されている私募ファンドが、REITのような公募型投資商品にそのまま移行するのには抵抗がありますが、現状のREITの市場評価が表面的な事柄だけを見るに留まっていれば、今後は増える可能性もあります。
今回の野村不動産オフィスファンド投資法人が、この例に該当するか否かは定かではありませんが、 少なくともこの様な見方をされているのは分かっているはずですから、まずこの点を明確に説明する必要があります。
目論見書を見ると、特にこの点に言及している訳でもなく、また、SPCからREITへの方針転換についての説明もありません。
引受主幹事証券会社は当然に野村證券ですが、このことを投資家にどのように説明しているのかに興味が湧きますが、地銀等の大口投資家はこのような本質的な部分は追及してこないのかもしれません。
一方、個人投資家層は、過去の経緯等の情報には疎いですから、あえて触れる必要もないという判断もあり得ます。
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