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2004. 9. 2.Up Dated.
J-REIT上場制度の変更について
  
平成16年8月17日付で東証より「不動産投資信託証券に係る上場制度の整備について」が発表され、現在パプリックコメント(詳細はこちらをご覧下さい)を受け付けています。主たる内容は、
  • REITが保有出来る資産に「温泉権」「商標権」を加える。
  • 上場前に投資法人より割当を受けた投資口は、上場後6ケ月間は売買禁止
の2点です。
前者は、フロンティア不動産投資法人の上場の際に問題となったケースのようで、投資法人の規約では温泉権・商標権へも投資を行う旨記載されていましたが、東証の上場基準では認められていなかったため、今後は投資法人の資産として加えるよう基準を改正します。
後者は、投資法人の上場時にオリジネーター等が上場前に割当を受けた投資口を上場後6ヶ月間は売却を禁止する規定です。東証では、投資口の売出価格が1口当たりの純資産価値を大幅に越えるケースを想定しておらず、上場前に投資口を取得した売出人が短期間に売却益を得る例が出たことで規制を加えることにしたとされています。(施行は平成16年10月初旬予定)
これは、今年の2月に上場した森トラスト総合リート投資法人のオリジネーターが1口当りの純資産価値を大幅に上回る730千円/口で保有投資口を売り出した例を指していると考えられます。
私は、1月15日のコラムでもこの問題を取り上げましたが、このようなケースはJREITの健全な発展を阻害するものとして憂慮していました。今回の東証上場制度の整備により、今後はこのようなケースが生じなくなったことは大変喜ばしいことです。
東証のコメントにもあるように、JREITの価格が純資産価値を大きく上回る事態は想定外にありましたが、市場の過熱がオリジネーターの算盤勘定を刺激することも確かです。
JREITは誕生してようやく3年が経つ程度の投資商品ですが、JREITの可能性はまだまだ広がります。これから発展する商品に対して合理的な規制が加えられることは歓迎すべきところでもありますし、投資家保護という視点でも必要なことだと思います。