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2004. 9.16.Up Dated.
J-REITとCSR(社会的責任)について
  
先日、国交省がJREITを対象にしたCSR(企業の社会的責任)報告書ガイドラインの作成を検討しているという報道がありました。
JREITは、既に、不動産市場では最大の買い手にまで成長したことと、資産を保有し運用していくという事業形態からもCSRの視点も必要という考え方だと思われます。
また、街づくりへの影響という点も見逃せないとありますが、これらはJREITの実態から見ればかなり難しい問題です。
JREITは利益の100%を投資家の配当に回していますから、CSR活動によって支出が生じれば、即、配当金に影響を与えます。
投資導管体である投資法人が配当金減額に直結するような費用支出を行うのは、かなりの勇気が必要ですし、充分な説明も求められます。
次に、資産運用会社は投資法人から委託を受けて、投資家利益を最大にするような資産運用を行う専門家集団ですので、CSRという概念は理解出来ても、そのような運用を行う権限がありません。
投資家の中には、更に高い利回りを求める人も居ますし、コスト削減を厳しく見る人も居ます。
このような投資家にCSRという視点で見てくれるよう求めるのは難しいでしょうし、納得出来る説明も大変です。
国交省がガイドラインを作成したとしても、投資家が受け入れてくれなければ投資法人も資産運用会社も動けません。
元々、仕組みから見ても、投資法人は株式会社とは異なる存在ですから、銘柄側の裁量範囲は狭いのが実態です。
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