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−J-REITを考える−    
 
J-REITにおける行政のあり方

有価証券の投資情報を提供するには、金融監督庁管轄の証券投資顧問業という登録が必要になり、多額の供託金を必要とします。
私は国土交通省管轄の不動産投資顧問業の登録はしていますが、この登録でJREITという有価証券の投資助言を行うことは禁止されていますし、実際に、監督官庁(国土交通省)からクレームを付けられました。 行政の目的は健全な市場の育成にあるのであり、現行規制を堅持するのが目的ではないとの主張もしましたが、このような主張をすると、行政側から見ると胡散臭い奴という見方をされてしまいます。
投資家にとっての判断材料を提供することは、市場にとっての大命題であり、複数の視点での分析が提供されることが健全な投資には不可欠ですが、優先するのは規制行政であり、監督官庁間の縄張り意識なのです。

一方、日本のビジネススタイルでは、専門情報の提供やノウハウはサービスであって、最終的には、何かを動かすことによって収益を得るというのが基本となっています。 専門情報の提供やノウハウの提供を行う事業はフィービジネスと言われますが、これに関わるには行政のお墨付きを必要とするという仕組みになっています。 このようなフィービジネスを行政が統括することで、引いては、特殊法人や関係団体といった権益に繋がっています。

今日の株式市場低迷の真の原因は、一般投資家を含めて十分な判断材料が公平に提供されてこなかったことが、個人投資家の逃避に繋がったとも言えます。
これは単に証券業界だけの責任ではなく、今までの証券行政のあり方が問題でもあったのです。 そうは言っても、JREITを創設したのも行政ですし、仕組みを整えたのも行政の力です。 これからも、行政は介入を続けるでしょうし、お役所の眼でJREITの仕草を監視していくと思います。

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