3つ玉ジャグリング、はじめました。

 

3つ玉ジャグリング、正式には「3ボールカスケード」と言うそうです。

2本の腕で、宙を舞う3つ以上の玉をこね繰り回すジャグラーという人達。

私はつい一週間前まで、あの人達を魔術師か何かだと思ってましたよ。

「奴らはきっと、悪魔に魂を売ったに違いない!」とか

「実は腕が3本あるんでしょ?」とか。

しかし、テレビのCMで3つ玉ジャグリングを見た時

ある事に気付きまして、

今では100回近く3つ玉ジャグリングが出来るようになりました。

 

ネットを検索してみたところ

ジャグリング入門と銘打つページも幾つかあるようなんですが

私が3つ玉ジャグリングのために行った練習方法と比べると

少し説明不足を感じました。

「ジャグラーにとっての当たり前」であるが故に

説明し切れてない事があるようなのです。

そこで、私がまだ「ジャグリングできなかった時の自分」を覚えているうちに

練習によって覚えた事を文章にしてしまおうと思い、このページを作りました。

ジャグリング入門の際、何かのお役に立てれば嬉しいです。

 

何年か前、テレビを見た時、プロのサッカーコーチがこんな事を言ってました。

「ただ闇雲に練習しても上達はしません。できるようになるには何が必要か?

指導する選手にはどんな技術が足りないのか?

これを選手に意識させる。

そして足りない技術を身に付けるための練習方法を考え、

これを選手に指導する。練習方法を発明するのも、コーチの仕事なんです」と。

教育法を発明する。という表現がすごく印象に残ってます。

勉強のできる人が、必ずしも「他人に勉強を教えるのが上手」というワケではないのは

教育法が発明する物だからなんだ。と妙に納得しちゃいました。

とりあえず上記のコーチに習い、まずジャグリングに必要な技術を検討してみます。

 

上の図から、玉の受け皿となる両方の手の平を、

体の前で交互にクルクル回している事がわかると思います。

これに気付いた事が、

「ジャグラーは魔術師」という私の中の先入観を払拭するキッカケになりました。

「ジャグリングとは魔法ではなく、技術によるものなんだ!」と。

では、ジャグリングにおいて、私が注目した点を整理してみます。

 

・ 玉の軌道は「8の字を横に寝かした形」を描いている。

 

・ 目線は常に上を向いてる。

 

       玉は体の外側で受け取り、体の内側で投げている。

この時、手の平は円を描くように回転している。

 

       右手が玉を投げる時、左手は玉を受け取っている。

右手と左手は、玉を投げる役割と受ける役割を、交互に交代しており

常に両手が(投げる、受けるのどちらかの)仕事をしている。

 

では、私が実際に試した練習方法を紹介します。

練習場所はある程度、体を動かせる広さのある所にしてください。

最初のうちは、どうしても体が前進してしまうからです。

 

まずは「素振り」です。

立ち上がって背筋を伸ばし、なにも持たず図のように両手を回してください。

3つ玉をイメージしてできれば、尚良いと思います。

 

 

今度は↓の3つを身に付けるための練習をします。

・ 玉の軌道は8の字を描いている。

       玉は体の外側で受け取り、体の内側で投げている。

この時、手の平は円を描くように回転している。

・ 目線は常に上を向いてる。

 

道具はお手玉2つです。お手玉を使うのは

投げた玉を受け取る時、玉が手の平で跳ねると失敗しやすいからです。

また、玉を落とした時、跳ねたり転がったりする物だと

玉を無くしたり、拾うのが面倒で、練習のやる気がそがれる。

という事からも

お手玉を使うのが一般的となってるようです。

 

では、玉を投げる練習をします。

玉を投げ上げる高さは、だいたい見上げるぐらいの高さ。

この時、顔を上げるため、口がポカンと開いてしまいますが

練習ですから気にしないように(笑)

 

両手に玉を1つずつ持って

1・右手の赤玉を投げる。

2・左手の青玉を投げる。

3・左手で赤玉を受ける。

4・右手で青玉を受ける。

 

左手は(2)で青玉を投げた直後、(3)で赤玉を受け取る事になります。

手の動きに円を描かせるのは、左手が投げる作業と受け取る作業を

連続させねばならず、そのためには円の動きが効率的だからです。

 

この時、(3)と(4)の受け取る時の間隔が、

(1)   と(2)の投げる間隔と同じでないといけません。

音で表すと「ポン、ポン」(投げて、投げて)「ポン、ポン」(受けて、受けて)となります。

間隔が違うと「ポン、ポン」「ポポン」というように聞こえます。

 

間隔が違う原因はたいていの場合、赤玉と青玉の投げ上げた高さが違うからです。

(1)   の右手で投げた最初の玉に気を取られて、

(2)の左手がおろそかになってると思います。

特に右利きの人は、左手の力不足で高さが足りず、玉が早く落ちてきます。

この場合、とりあえず受け取る事を忘れ(1)(2)の投げる事だけ練習し

玉が床に落ちた時の2つの音が、投げた時の間隔と同じになるようにします。

 

今度は左手から先に投げます。

5・左手の赤玉を投げる。

6・右手の青玉を投げる。

7・右手で赤玉を受ける。

8・左手で青玉を受ける。

 

右手は(6)で青玉を投げた直後、(7)で赤玉を受け取る事になります。

前と同様、投げる時の間隔と、受け取る時の間隔が

同じになるまで練習してください。

 

次は上の2つを連続して交互に行います。

つまり

1・右手の赤玉を投げる。

2・左手の青玉を投げる。

3・左手で赤玉を受ける。

4・右手で青玉を受ける。

5・左手の赤玉を投げる。

6・右手の青玉を投げる。

7・右手で赤玉を受ける。

8・左手で青玉を受ける。

 

となります。

前と同様、投げる時の間隔と、受け取る時の間隔が同じになるまで

練習します。

慣れてきたら、(1)〜(8)を繰返し続けてください。

 

これまでの練習をするときは自分の目線にも注意してください。

今は玉が2つなので、玉を目で追う事もできますが

玉が3つになると目が回ってしまいます。

ですから目線をボールを投げ上げる高さに固定して、練習してみてください。

ほら、キャッチボールでボールを投げる時って、

ボールの手元じゃなく投げる相手を見るでしょ。

あれと同じです。

目線を玉の投げ上げる場所に固定する事で、より正確に投げられるワケです。

球技では、球を受け取る時「球をしっかり見ろ」と言われますが

複数の玉を扱うジャグリングは例外のようです。

つまり、投げる事に集中する事で、受け取る時の負担を減らすんです。

 

 

では次の練習に移ります。

一般的なジャグリングの教本では、この次にすぐ

玉を3つ使った練習に入ってしまうようですが、その前にするべき練習があると

私、爪突きパレモは考えます。

それは、右手が玉を受けるのと同時に左手の玉を投げ上げる練習

つまり、

「右手と左手が同時に違う仕事をする感覚」を2つの玉を使って覚えるのです。

さながら「爪突き流練習法」とでも名付けましょうか(笑)

では練習方法の説明をします。

(1)〜(4)の最後(4)は右手の玉を受ける仕事、

(5)〜(8)の最初(5)は左手の玉を投げる仕事

となっているので(4)と(5)は同時にできます。

つまり…

 

1・右手の赤玉を投げる。

2・左手の青玉を投げる。

3・左手で赤玉を受ける。

4・左手の赤玉を投げる。& 右手で青玉を受ける。

5・右手の青玉を投げる。

6・右手で赤玉を受ける。

7・左手で青玉を受ける。

 

という練習をするんです。

多分最初は(4)で左手の玉を投げられないと思います。

これは(3)の時に左手で受け取る玉が、体から離れていて

玉を受け取った左手のヒジが伸びてしまい

(4)の時に左手は玉を投げる準備ができていないからです。

(3)でヒジが伸びないためには(1)で玉を正確に投げなければなりません。

よって一つ前の(1)〜(8)の練習にもどり

今度は玉を投げ上げる「高さ」だけでなく、

玉の受け取る「位置」も意識して練習してください。

 

(3)に限らず、玉を受け取る時、ヒジが伸びてしまう人は

玉が正確に投げられていない事になりますから、

正確に玉を投げる練習をおすすめします。

 

この(1)〜(7)の練習を繰返しできるようになったら

今度は、2周目以降の(1)と(7)を同時にこなす練習をします

つまり

1・右手の赤玉を投げる。

2・左手の青玉を投げる。

3・左手で赤玉を受ける。

4・左手の赤玉を投げる。& 右手で青玉を受ける。

5・右手の青玉を投げる。

6・右手で赤玉を受ける。

2周目以降

1・右手の赤玉を投げる。& 左手で青玉を受ける。

2・左手の青玉を投げる。

3・左手で赤玉を受ける。

4・左手の赤玉を投げる。& 右手で青玉を受ける。

5・右手の青玉を投げる。

6・右手で赤玉を受ける。

となります。

 

この(1)〜(6)の練習は6回で1周りとなってます。

3ボールカスケードも、1周り6回です。(下方の手順表参照)

「(1)〜(6)の練習」と「3ボールカスケード」の違いは

 

(1)〜(6)の練習では、

両手が仕事をしてるのが「6回中2回。」

 

3ボールカスケードの場合、

2周目以降は「6回全て」において両手が仕事をする。

 

 

この「爪突き流練習法」の利点は2つあります。

1つ目は

「右手と左手が同時に違う仕事をする感覚」を覚える事ができること。

上級者にとって、この感覚は

既に身に付いた当たり前のものなので、上級者自身が新技を練習する時

これを意識することは無いと思いますが、

初心者にとっては未知の感覚なのです。

 

2つ目は

2本の腕で、2つの玉を操れる安心感。

初心者にとって、この安心感は強い味方になります。

このページの冒頭でジャグラーの事を魔術師と書きましたが

ネットを見てまわったところ、ジャグリングを始める際、一番の障害になるのが

「ジャグラーは特権階級の人種なんだ」という思い込みのようです。

そして、練習してもなかなか上達しないと

「3つの玉を2本の腕で扱えるわけがない」とあきらめてしまいます。

しかし、玉が2つなら「誰にでも扱えるはずだ」と思えるはずです。

そして初心者が練習を続けるには「自分にもできるはず」という確信が

一番大切なんです。

というわけで「爪突き流派」(笑)はこの練習方法を推奨いたします。

 

 

随分長くなってしまいましたが、いよいよ3つの玉を使って練習をします。

まず、玉の持ち方は↓図のようになります。

そして図の番号順に投げていきます。

あとは、自転車の補助輪を外した時と同じです。

勢いまかせで、レッツ、Go!!

 

一つ前の「(1)〜(6)の練習」をそつなくできるようになれば

3つ玉でも、すぐにできるようになると思います。

ていうか、私の場合はチャレンジ1回目から、イキナリできました。

 

逆に言えば、イキナリできてしまったので、

私には、できない人に何とアドバイスしたら良いのか分かりません。

う〜ん…。

一応、手順表を下に書いときます。

 

(1)右手の赤玉を投げる。

(2)   左手の青玉を投げる。

(3)   左手で赤玉を受ける。& 右手の黄玉を投げる。

(4)   左手の赤玉を投げる。& 右手で青玉を受ける。

(5)   左手で黄玉を受ける。& 右手の青玉を投げる。

(6)   左手の黄玉を投げる。& 右手で赤玉を受ける。

2周目以降

(1)   左手で青玉を受ける。& 右手の赤玉を投げる。

(2)   左手の青玉を投げる。& 右手で黄玉を受ける。

(3)左手で赤玉を受ける。& 右手の黄玉を投げる。

(4)左手の赤玉を投げる。& 右手で青玉を受ける。

(5)左手で黄玉を受ける。& 右手の青玉を投げる。

(6)左手の黄玉を投げる。& 右手で赤玉を受ける。

 

…書いては見ましたが、やってる時にこんな事、いちいち考えてないです。

「両手が絶えず仕事をしている。」事は分ってもらえると思いますが…

ここまで来たら、やっぱ勢いっすよ。勢い!

 

ここで何回かは続くようになったけど「体が前進し始めたら止まらない〜」

という事があると思います。

私の経験では図のように

玉を受けたり投げたりする位置を、少〜し高くしてやる事で解消できました。

しかし、手元の位置を変えると、せっかく覚えたジャグリングのリズムが

狂ってしまうかもしれませんから、あまりお薦めしません。

練習を繰返せば、慣れていくものだと思います。

 

ある程度できるようになったら

今度は、玉を投げ上げる高さを低くしてみてください。

そうすると、目線も自然と下がってきますから

このページの始めの方で書いた

「口がポカン」という問題点も解消できるはずです。(笑)

 

 

あとがき

 

このページの最初にサッカーコーチの話しを書きましたが

今回の3つ玉ジャグリングの習得は、私にとって

「惰性で繰り返す練習」と、習得する技術を意識して行う

「積極的な練習」との違いを自分の体で体感できた。という意味でも

非常に有意義なものになりました。

肉体改造と言ったら大げさですが、

自分自身の運動神経に積極的にアプローチしたら

想像以上に早く、自分の体が答えてくれた事に、感動すら覚えています。

この一件で、自分の肉体がより身近に感じられるようになりました。

 

それにしても、ほんとに長くなってしまいました。

このサイトでは、今後、これ以降のジャグリングの練習法について

フォローするつもりはありません。

もし、もっとジャグリングについて知りたいのでしたら

検索エンジンで「ジャグリング教本」を検索してみてください。

Juggling Donuts(ジャグリングドーナツ)様が運営する

「ジャグリング教本」というサイトが見つかるはずです。

とても充実したサイトとなっており

各種の技の練習方法も細やかに紹介されています。

このページを書くにあたり、私も参考にしました。

でも、「爪突き流練習法」は、私のオリジナルですよ。(多分…)

 

 

01年6月3日 爪突きパレモ

 

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