労働契約法、公布のお知らせ(1/3)
12月5日に労働契約法が公布されましたので、3回に分けて記載いたします。労働契約法(1/3)
第1章 総則
(目的)
第1条 | この法律は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、 又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、 合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、 労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする。 |
第2条 | この法律において、「労働者」とは、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者をいう。 (2項) この法律において「使用者」とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいう。 |
第3条 | 労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。 (2項) 労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。 (3項) 労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。 (4項) 労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。 (5項) 労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。 |
第4条 | 使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。 (2項) 労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面により確認するものとする。 |
第5条 | 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。 |
給与を受けると年金が減額される?(60歳〜64歳の在職老齢年金)
60歳以上の人が厚生年金に加入して働きながら老齢厚生年金を受けようとする場合、 実際に支給される年金額は、給与などに応じて一部又は全額の支給が停止される仕組みになっています。 在職中に減額の上支給される年金の事を「在職老齢年金」といいます。在職老齢年金の仕組みは大変複雑で、特に60歳代前半(60歳〜64歳)の人は、 特別支給の老齢厚生年金の額や60歳からの給与と賞与の額(総報酬月額相当額)による 減額に加えて、雇用保険から高年齢雇用継続給付を受給する場合は調整を受けますので、 年金支給額が頻繁に変わることがあります。
60歳〜64歳の在職老齢年金の支給停止額計算式
基本月額と総報酬月額相当額の 合計 |
基本月額 | 総報酬月額相当額 | 支給停止額の計算式(月額) |
---|---|---|---|
28万円以下 | − | − | 支給停止なし(全額支給) |
28万円超 | 28万円以下 | 48万円以下 | (基本月額+総報酬月額相当額−28万円)×1/2 |
28万円以下 | 48万円超 | (48万円+基本月額−28万円)×1/2+(総報酬月額相当額−48万円) |
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28万円超 | 48万円以下 | 総報酬月額相当額×1/2 |
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28万円超 | 48万円超 | (48万円×1/2)+(総報酬月額相当額−48万円) |
【基本月額と総報酬月額相当額による計算】
在職老齢年金の支給停止額の計算は月ごとに行われ、60歳代前半の人の場合は、 本来の年金額(加給年金を除く)を12で割った額(基本月額)と総報酬月額相当額による支給停止額が計算されます。
「総報酬月額相当額」とは、その月に適用される「標準報酬月額」(保険料や給付の計算基礎となるもの)と、 その月以前1年間の「標準賞与額」(賞与の1000円未満を切り捨てた額、上限は1回につき150万円)の総額を 12で割った額の合計をいいます。
【よくある質問】 割増賃金の計算について、毎日の超過労働時間の30分未満が切り捨て計算されているのですが??
割増賃金の計算について、毎日の超過労働時間の30分未満が切り捨て計算されているのですが??労働時間については、会社の規模に関係なく使用者が自ら現認するか、タイムカードなどの客観的な方法で確認し、 記録する必要があります。
超過労働時間に対する割増賃金についても、正確な時間による計算が原則ですが、 事務上の簡便な方法として「1ヶ月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に 1時間未満の端数がある場合に、30分未満を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること」は 法に違反しない旨の通達がなされています。
しかし、毎日の超過労働時間の計算において30分未満を切り捨てる事は、 賃金の全額払いの原則(労働基準法第24条)に違反するので、 超過となった労働時間については正確に集計して割増賃金を支払うべきで、 超過労働時間の端数処理を行う場合には、1ヶ月の合計時間の30分未満は切り捨て、 30分以上は切り上げとするような対応が必要となります。
労働契約法、公布のお知らせ(2/3)
12月5日に労働契約法が公布されましたので、3回に分けて記載いたします。 (第1回)労働契約法(2/3)
第2章 労働契約の成立及び変更
(労働契約の成立)
第6条 | 労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者 がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成 立する。 |
第7条 | 労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使 用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、 労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約 において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分につ いては、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。 |
第8条 | 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容で ある労働条件を変更することができる。 |
第9条 | 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益 に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、こ の限りでない。 |
第10条 | 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労 働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変 更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業 規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働 条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約にお いて、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意し ていた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。 |
第11条 | 就業規則の変更の手続に関しては、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第八十九 条及び第九十条の定めるところによる。 |
第12条 | 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無 効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。 |
第13条 | 就業規則が法令又は労働協約に反する場合には、当該反する部分については、第七条、第 十条及び前条の規定は、当該法令又は労働協約の適用を受ける労働者との間の労働契約に ついては、適用しない。 |
給与を受けると年金が減額されます(60歳〜64歳の在職老齢年金)
(高年齢雇用継続給付との調整)高年齢雇用継続給付は、60歳以上65歳未満の一般被保険者であって、被保険者であっ た期間が通算して5年以上ある人について、60歳以降の賃金が60歳到達時の賃金と比 べて75%を下回った場合に支給対象になります。
高年齢継続給付の支給率及び年金停止率の早見表
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「厚生年金特例法」が成立、施行されました
加入者から厚生年金保険料が源泉控除(天引き)されたにもかかわらず、事業主が保険料 納付も被保険者資格関係の届出も行っていたことが明らかでない事案について、これを給 付の対象とする救済措置などを定めた「厚生年金特例法」が12月12日参議院で可決・ 成立し、同月19日に施行されました。納付を怠った事業主は、時効(2年間)消滅後であっても未納の保険料を任意で納付する 事ができ、国も事業主に対して納付を勧奨するとしています。
労働契約法、公布のお知らせ(3/3)
12月5日に労働契約法が公布されましたので、3回に分けて記載いたします。 (第1回) (第2回)労働契約法(3/3)
第3章 労働契約の継続及び終了
(出向)
第14条 | 使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において 、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして 、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。 |
第15条 | 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当 該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的 に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用し たものとして、当該懲戒は、無効とする。 |
第16条 | 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当で
あると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。 (これにより、労働基準法第18条の2は、削除されます) |
第4章 期間の定めのある労働契約
第17条 | 使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得
ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解
雇することができない。 (2項) 使用者は、期間の定めのある労働契約について、その労働契約により労働者を 使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その労働契約を反復 して更新することのないよう配慮しなければならない。 |
第5章 雑則
(船員に関する特例)
第18条 |
第十二条及び前条の規定は、船員法(昭和二十二年法律第百号)の適用を受ける船員(次
項において「船員」という。)に関しては、適用しない。 (2項) 船員に関しては、第七条中「第十二条」とあるのは「船員法(昭和二十二年法 律第百号)第百条」と、第十条中「第十二条」とあるのは「船員法第百条」と、第十一条 中「労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第八十九条及び第九十条」とあるのは 「船員法第九十七条及び第九十八条」と、第十三条中「前条」とあるのは「船員法第百条 」とする。 |
第19条 |
この法律は、国家公務員及び地方公務員については、適用しない。 (2項) この法律は、使用者が同居の親族のみを使用する場合の労働契約については、 適用しない。 |
この法律は、平成20年3月1日より施行する。
65歳以降の在職老齢年金の仕組み
在職中で厚生年金に加入している60歳代後半(65歳〜69歳)の人は、老齢基礎年金 は全額支給されますが、老齢厚生年金は「総報酬月額相当額」と老齢厚生年金(加給年金 を除く)の月額(基本月額)との合計額に応じて、年金の全部又は一部が支給停止となる ことがあります。60歳代後半の人の在職年金は、次のような仕組みになっています。
(1)48万円以下のとき | ・・・支給停止なし(全額支給) |
(2)48万円を超えるとき | ・・・(基本月額 + 総報酬月額相当額 − 48万円)× 1/2が支給月額(月額) |
なお、平成19年4月1日から、70歳以上の人についても、60歳代後半と同様な在職 年金の仕組みが適用されるようになりました(保険料の負担なし)。 ただし、昭和12年4月1日以前生まれの人には適用されません。
国民年金保険料と厚生年金保険料率の引き上げのお知らせ
国民年金保険料の引き上げ |
(現在)月額14100円から (4月分から)14410円 |
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厚生年金保険料率の引き上げ |
(現在)1000分の149.96(労使折半) (9月分から)1000分の153.50(労使折半) |
保険料を免除されると年金は?(国民年金保険料の免除制度)
【保険料免除制度の種類】
自営業者や20歳以上の学生などの国民年金第一号被保険者は、定額の国民年金保険料を支払うことが必要です。
しかし、家計が苦しいなどの理由で保険料を支払えない状況にある人のために、保険料が免除される制度があります。
免除は、大きく分けて、生活保護法による生活扶助を受けている人や公的な障害年金給付(原則として1、2級)を受けている人などのための
「法廷免除」、所得が基準額以下である人などが申請すれば認められる「申請免除」があります。
このうち、申請免除には、「全額免除」のほかに一部だけが免除される制度もあり、
「半額免除」に加えて、平成18年7月から導入された「4分の1免除」と「4分の3免除」の全部で4種類があります。【免除期間はどうなるのか】
免除された期間は、老齢基礎年金を受けるために必要とされる期間(受給資格期間)に算入されます。ただし、老齢基礎年金の額を計算するときは、免除期間は、それぞれの免除の種類に応じて、免除期間中の「月数」が下図のように換算されます。
たとえば、30ヶ月分が全額免除されると、その分の年金額は、30ヶ月×1/3=10ヶ月分で計算されます。
【保険料の「追納」ができる】
このように、保険料の免除を受けると、納めた場合に比べて年金が減ってしまうことになりますが、
これを避けたい場合には、免除を受けてから10年以内であれば免除期間の保険料を後から納めることができます。
これを「追納」といいます。
「請負」の勤務先にも賠償命令(東京地裁で「使用関係」を認める)
製缶工場で転落死した人材派遣会社の社員(男性、当時22歳)の両親が、安全配慮義務を怠ったとして、 人材派遣会社と勤務していたメーカーを相手に損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は、 2社に対して計5100万円の支払いを命じました。メーカー側は、2社との間には派遣契約ではなく請負契約が結ばれており、安全配慮義務を負わないと主張。 しかし、裁判長は、死亡した社員は工場内の設備や機械を使用し、 メーカー側の管理体制のもとで作業を行っており、「実質的な使用従属関係があった」と判断。 メーカー側にも安全対策をとる責任があったことを認めました。
介護保険料が引き下げられました!
政府管掌健康保険の介護保険料が今年の3月分(4月30日納付期限分)から1000分の1(0.1%)引き下げられ、次のようになりました。1000分の12.3 → 1000分の11.3
これにより、40歳から64歳までの介護保険第2号被保険者の健康保険料率は、 医療にかかる保険料率(1000分の82)とあわせて1000分の93.3となります (被保険者負担分は、この半分の1000分の46.65)。
【よくある質問】離婚すると年金を分けられる??(離婚時の年金分割)
夫婦が離婚した際などに、請求によって年金を分割することができる制度は、まず離婚時 の分割制度が平成19年4月から、離婚時の第三号被保険者期間についての分割制度が平成 20年4月から、それぞれ導入されました。対象となる年金は、いわゆる「二階部分」の厚生年金や共済年金で、現役時代の報酬に比 例した部分の年金です。「一階部分」の基礎年金(国民年金)や「三階部分」の企業年金 などは分割の対象となっていません。
厚生年金の二つの分割制度については次のとおりです。
(1)離婚時の厚生年金の分割
平成19年4月1日以降に夫婦が離婚した場合で、当事者間の合意や裁判手続きにより
按分割合を定めたときには、双方または一方からの請求によって、婚姻期間中などの保険
料納付記録を当事者間で分割することができます。分割の対象となる婚姻期間などには、平成19年4月1日前の期間も含まれます。「保険料納 付記録」とは、厚生年金保険料の算定の基礎となった標準報酬(標準報酬月額と標準賞与額) の記録をいいます。
つまり、対象となる期間の標準報酬の記録を離婚時の価値に換算した額の合計額を分割す ることによって、厚生年金の受取額に反映させるというものです。按分割合は話し合いな どで決めますが、二人の保険料納付記録の合計が二分の一を限度とします。
(2)第三号被保険者期間についての厚生年金の分割
この制度は、平成20年4月1日以降の離婚などの場合に、同日以降の第三号被保険者期間に
ついて、相手方となる第二号被保険者にかかる厚生年金の保険料納付記録を、その第三号
被保険者期間を有していた人からの請求により分割できるというものです。前記(1)の仕組みと異なる主な点は、分割の対象となる期間が平成20年4月1日以降の第 三号被保険者期間に限られていること、按分割合を話し合いなどで決める必要はなく、一 律に「二分の一」であること、などです。
店長は「管理監督者」には当たらず(マクドナルドに残業代支払い命令)
日本マクドナルドの直営店店長の男性が、管理監督者と扱われ労働基準法に定める残業の 割増賃金を支払われないのは違法だとして、同社に対して慰謝料なども含めた約1,350万 円の支払いを求めた訴訟で、東京地裁は1月28日、同社に約750万円の支払いを命じました 。訴訟では、直営店の店長が労働基準法の「管理監督者」に当たるか否かが争われましたが 、裁判長は「店長の権限は店舗内に限られていた」とし、経営上の重要な職務権限は与え られていないことなどを指摘。その上で「管理監督者に当たらない」と判断しました。 今回の判決は、チェーン展開をする企業にとって、早急な対応を迫られるなど大きな影響 を与えるものとなっています。
「更新3回以上」も雇止め予告が必要(3月から有期労働契約の基準を改正)
厚生労働省は、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」の一部を改正する 告示をしました。同基準第二条に定める雇止め(期間の定めのある労働契約の満了に際し、使用者が契約の 更新を行わないこと)の予告の対象に、一年を超えて継続して勤務している場合のほかに 、契約が三回以上更新されていた場合も追加されました。
ただし、従来どおり、あらかじめ契約を更新しない旨が明示されているものは除かれてい ます。
適用日は今年3月1日からで、対象となる場合には、少なくとも契約期間満了日の30日前ま でに、更新しない旨を予告する必要があります。
「職場意識改善計画」の策定、実施で助成金
今年4月に、労働時間等の設定の改善(所定外労働の削減、年次有給休暇の取得促進など) に向けた職場意識の改善に積極的に取り組む中小事業主を支援する「職場意識改善助成金」 が新たに設けられましたので、以下のとおり概要をお知らせします。【職場意識改善助成金制度の目的】
この制度は、中小企業における労働時間等の設定の改善を通じた職場意識の改善を促進するため、
職場意識改善にかかわる2ヶ年の計画を作成し、この計画に基づく措置を効果的に実施した中小企業の事業主
(以下「中小事業主」という)に対して、助成金が支給される制度です。【対象となる事業主】
次のいずれにも該当する事業主です。1. | 労働者災害補償保険の適用事業主であること。 |
2. | 資本金または出資の総額が3億円(小売業またはサービス業を主たる事業とする事業主は5000万円、卸売業を主たる事業とする事業主は1億円)以下である事業主およびその常時使用する労働者の数が300人(小売業を主たる事業とする事業主は50人、卸売業またはサービス業を主たる事業とする事業主は100人)以下の事業主であること。 |
3. | 事業場の所在地を管轄する都道府県労働局長(以下「都道府県労働局長」という)に(1)の計画を届出、次の(1)、(2)の認定を受けた事業主であること。 |
(1) | 労働時間等の設定の改善に向けた職場意識改善にかかわる計画(以下「職場意識改善計画」という)を策定すること。 |
(2) | 2年間にわたり、労働時間等の設定の改善に向けた職場における意識の改善に積極的に取り組む意欲があり、かつ成果が期待できること。 |
4. | 職場意識改善計画に基づき、労働時間等設定改善委員会の設置等労働時間等の設定の改善を効果的に実施するために必要な体制の整備など、職場意識改善にかかわる措置を行った結果、効果的に実施した事業主であること。 |
5. | 3.および4.に基づく措置の実施状況を明らかにする書類を整備している事業主であること。 |
【職場意識改善計画について】
職場意識改善助成金を受けようとする中小事業主は、「職場意識改善計画」を策定し、
これを事業場の所在地を管轄する都道府県労働局に提出し、認定を受ける必要があります。<職場意識改善計画の実施期間>
「職場意識改善計画」の実施期間は、都道府県労働局長による認定日が属する年度を含めて、2年間となります。
<職場意識改善計画に盛り込まなければならない措置>
「職場意識改善計画」には、次の(1)〜(3)の措置を盛り込む必要があります。
(1) | 実施体制の整備の為の措置(ア、イは必須) |
ア | 労働時間等設定改善委員会の設置等労使の話し合いの機会を整備 |
イ | 労働時間等に関する個々の苦情、意見及び要望を受け付けるための担当者の選任 |
(2) | 職場意識改善の為の措置(ア、イは必須) |
ア | 労働者に対する職場意識改善計画の周知 |
イ | 職場意識改善の為の研修の実施 |
(3) | 労働時間等の設定の改善の為の措置(ア、イは必須、ウ〜オのうち1つ以上を選択) |
ア | 年次有給休暇の取得促進の為の措置 |
イ | 所定外労働削減の為の措置 |
ウ | 労働者の抱える多様な事情及び業務の態様に対応した労働時間の設定 |
エ | 労働時間等設定改善指針(通称「労働時間等見直しガイドライン」)の「特に配慮を必要とする労働者について事業主が講ずべき措置」に定められた、特に配慮を必要とする労働者に対する休暇の付与等の措置。 |
オ | ワークシェアリング、在宅勤務、テレワーク等の活用による多様な就労を可能とする措置 |
【支給額】
支給要件 | 支給額 | |
---|---|---|
第1回(1ヵ年度目) | 職場意識改善計画に基づき、1年間取り組みを効果的に実施した場合 | 50万円 |
第2回(2ヵ年度目) | 職場意識改善計画に基づき、1ヵ年度よりさらに取り組みを効果的に実施した場合 | 50万円 |
2ヵ年度にわたり効果的な取り組みを実施し、顕著な成果を挙げた場合 ・年次有給休暇の平均取得率が60%以上 ・事業実施前と比較して所定外労働時間数の平均を20%以上削減 ・職場意識改善計画に基づいた措置をさらに効果的に実施 | 50万円 | |
合計 | 150万円 |
労働契約の成立と労働条件決定のルール
【労働契約の成立(法第6条)】
労働契約法では、第3条第1項に、「労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、・・・」
とあるように、労働契約は労使双方の「合意」が原則であることを定めています。これを、労働契約が成立するための「要件」として明らかにしたのが次の第6条の条文です。
労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、 労働者及び使用者が合意することによって成立する。
この条文は、労働契約の成立はお互いの合意によることを規定するとともに、 「労働すること」と「賃金を支払うこと」が合意の要素であるとしています。
この場合の合意とは、「当事者の意思が一致すること」ですので、 労働契約の成立の要件としては、契約内容について書面を交付することまでは求められてないものとされています。
また、民法第632条の「請負」、同法第643条の「委任」または非典型契約であっても、契約形式にとらわれず、 実態として使用従属関係が認められ、労務を提供するものが労働契約法第2条第1項の「労働者」に該当する場合には、その契約は労働契約にあたるものとされます。
【就業規則との関係(法第7条)】
前述のとおり、労働契約は労働者と使用者の合意によって成立することが原則ですが、
日本の雇用慣行では、合意があっても個別の労働契約には詳細な労働条件を定めず、
就業規則によって一律に労働条件を設定することが広く行われています。そこで、労働契約法第7条では、個別の労働契約の内容である労働条件と、 事業場に適用される就業規則に定める労働条件との法的関係について次のように規定されています。
労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、 使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、 労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。
ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、 第12条に該当する場合を除き、この限りでない。
これは、労働契約において労働条件を詳細に定めずに労働者を雇用したときに、 合理的な労働条件を定めた就業規則を、労働者に周知させていた場合には、 就業規則で定める労働条件が、その労働者の労働条件になることを、 最高裁で確立した判例法理などをもとにして明らかにしたものです。
また、労働者のそれぞれの事情に合わせて個別に「就業規則の内容と異なる労働条件」を決め、 合意していた場合は、その部分については、合意の内容が就業規則で定める基準に達しない場合を除いて、 その合意が優先するとされています。
「周知させていた」とは、基本的には、労働者がその就業規則の内容を知りたいときにいつでも知ることができる状態におくことを言います。
労働基準法第106条にも就業規則を周知させる義務が定められていて、 (1)掲示または備え付け、(2)書面の交付、(3)磁気テープ、磁気ディスク等への記録及び常時確認できる機器の設置、のうち いずれかの方法で周知させることを求めています。
しかし、労働契約法第7条でいう「周知」は、これらの方法だけに限定されるものではなく、 実質的に労働者が知ることができる状態にあるかどうかで判断されるとしています。
【よくある質問】年金に加入していた外国人が帰国するとどうなるのですか??
私は7年前に来日して今の会社に就職しましたが、来月に会社を辞めて母国の中国に帰る予定です。その後は母国の会社に勤めることにしています。日本の会社では7年間厚生年金に加入していましたが、 帰国すると年金はどうなるのでしょうか??(1975年生まれの中国人男性Lさん(33)の場合)
現在、日本と中国との間には社会保障協定が締結されていませんので、日本で厚生年金に 加入した期間は通算されません。しかし帰国後二年以内に請求すれば脱退一時金が受けられます。 帰国する前に請求書を社会保険事務所などで入手してください。
【社会保障協定とは】
海外で働く人などが、母国と相手国において社会保障制度の二重加入などの支障がないように、
それぞれの制度の適用を調整したり、年金の受給資格を満たすための加入期間を通算できるようにするため、
両国間で取り決めをすることがあります。これを「社会保障協定」といいます。現在(平成20年4月時点)、日本が関係する社会保障協定は、 ドイツ、イギリス、韓国、アメリカ、フランス、ベルギー、カナダの七カ国との間で発効しています。
協定の内容は相手国によって多少の違いはありますが、年金制度については、 原則として、現地採用や事業所から5年を超える見込みで相手国に派遣される場合は、 就労する国の年金制度のみに加入し、5年以内の見込みで派遣される場合には、 協定の例外規定が適用され、引き続き派遣元国の年金制度のみに加入し、派遣先国での加入が免除されます。
また、相手国での年金加入期間を通算できるという内容が協定に盛り込まれていれば、 相手国での加入期間を自国の年金制度に加入していた期間とみなして取り扱われます。 つまり、両国間の年金制度への加入期間を通算して、年金を受給するために最低必要とされる期間以上であれば、 それぞれの国の制度への加入期間に応じた年金がそれぞれの国の制度から受けられるようになります。
【脱退一時金とは】
日本の年金制度には、国民年金の保険料を納めた期間または厚生年金保険に加入した期間が6ヶ月以上ある外国籍の人については、
帰国後2年以内に請求を行うことで、加入期間などに応じて計算された一時金が支給される「脱退一時金」制度があります。国民年金の脱退一時金は、保険料を納付した期間の月数に応じて定額で支給されます。 また、厚生年金の脱退一時金は、加入期間の「平均標準報酬額」に、 加入期間の月数や保険料率に応じた「支給率」を乗じた額で算出されます。
ただし、すでに日本の公的年金を受ける権利を得ている場合は老齢年金を受け取る資格期間を満たしている場合などは、脱退一時金の請求はできません。
また、脱退一時金を受けた場合、その期間は、社会保障協定において年金加入期間として通算できなくなります。
したがって、社会保障協定によって年金加入期間の通算が可能となっている相手国の人が 日本の年金制度に加入したときは、将来通算により年金として受給するか、脱退一時金を受けるかを、十分見極めることが必要になるでしょう。
改正最低賃金法が7月1日からスタート
7月1日から改正最低賃金法が施行されます。今回の改正では、最低賃金の決定基準や罰金額の上限、適用除外規定、派遣労働者への適用関係などが大きく変わります。【地域別最低賃金の決定基準】
都道府県ごとに定める「地域別最低賃金」を、賃金の最低限度を保証するセーフティネットとして位置付ける方針から、
その決定にあたっては、地域における労働者の生計費、労働者の賃金、通常の事業の賃金支払能力を考慮するようになります。
また、労働者の生計費を考慮する場合に、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことが出来るよう、新たに生活保護に係る施策との整合性に配慮することになりました。【罰金額の上限引き上げ】
罰則の制裁的効果を高めるため、地域別最低賃金額以上の賃金が支払われない場合の罰金額の上限が従来の「2万円」から「50万円」に引き上げられます。
一方、産業別最低賃金に関しては、その不払いについて最低賃金法の罰則は適用されなくなり、労働基準法における賃金の全額払違反の罰則(罰金額の上限30万円)が適用されることになります。【適用除外規定の廃止と減額特例の新設】
従来は、障害により著しく労働能力の低い労働者などについては、使用者が都道府県労働局長の許可を受けたときは最低賃金は適用しないとされていましたが、
今回の改正により、以下の労働者については原則として最低賃金を適用するものとし、都道府県労働局長の許可を受けたときに限り、
特例的に労働能力その他の事情を考慮して、最低賃金額から一定の率により減じた額を適用することになりました。<対象労働者>
1. | 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者 |
2. | 試の試用期間中の者 |
3. | 基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受ける者のうち省令で定める者 |
4. | 軽易な業務に従事する者 |
5. | 断続的労働に従事する者 |
【派遣労働者への最低賃金の適用】
従来は、派遣労働者については、派遣先、派遣元のどちらの地域別(産業別)最低賃金を適用するか規定されておらず、
派遣元で適用される運用としていましたが、今回の改正により、
派遣先の事業場に適用されている地域別(産業別)最低賃金が適用されることになりました。【最低賃金額の表示の一本化】
法律の規定上、時間額、日額、週額または月額で定めることとされていた最低賃金額の表示単位は、時間額のみの表示となります。
【よくある質問】解雇予告手当とは何なのでしょうか??
解雇予告手当とは、突然の解雇によって労働者の生活が困窮するのを緩和するために、 労働基準法では、労働者を解雇する場合には、少なくとも30日前までに解雇の予告をすることを使用者に義務づけています。また、30日前までに解雇の予告をせずに労働者を解雇する場合には、 使用者は予告に代えて30日分以上の平均賃金を支払う必要があります。これがいわゆる「解雇予告手当」です。
解雇予告手当はその労働者の平均賃金をもとに計算されるのですが、解雇予告手当自体は労働の対象ではないので賃金ではありません。 そのため、支払いについては「賃金支払いの五原則」は適用されませんが、 賃金に準ずるものとして、直接、労働者に通貨で支払うものとされています。
<解雇予告手当の支払い>
(1)解雇予告と予告手当の併用
解雇予告手当は、予告した日の翌日から解雇する日までの日数分だけ短縮することが認められています。
たとえば、12月5日に使用者から労働者に対して同月25日付けで解雇する旨を言い渡した場合には、 解雇日の20日前に解雇を予告したことになりますので、その労働者には少なくとも10日分の平均賃金を支払えばよいことになります。
1日分の平均賃金は、使用者が解雇の予告をした日前(賃金締切日がある場合は直前の締切日以前)3ヶ月間の賃金総額を、その期間の総日数で割ったものです。
(2)支払時期
解雇予告手当は、解雇予告の代わりになるものですので、少なくとも解雇日までには労働者に支払うべきものです。 解雇予告と予告手当を併用する場合にも同じです。
(3)退職手当との関係
退職手当とはその性格が異なるので、退職手当を支給することによって解雇予告手当の支払義務は免除されません。
また、解雇予告手当は退職手当と同じく所得税法上は「退職所得」として扱われます。
したがって、退職手当も支払った場合は、解雇予告手当と合算して課税処理を行う必要があります。
<解雇予告手当の特例>
次の場合には、解雇予告や解雇予告手当の適用は除外されています。
1. | 天災事変その他やむを得ない事由の為に事業の継続が不可能となったり、労働者の責めに帰すべき事由に基づいて解雇する場合で、労働基準監督署長の認定を受けた場合 |
2. | 日々雇い入れられる労働者や2ヶ月以内の期限を定めて使用される労働者などを解雇する場合(一定期間を超えて引き続き使用されるようになった場合を除く) |
遺族厚生年金の支給要件と遺族の範囲について
【遺族厚生年金の支給要件】
遺族厚生年金は、死亡した人が次のいずれかに該当するときに、死亡当時、その人によって生計を維持されていた一定の範囲の遺族に支給されます。1. | 厚生年金の被保険者である間に死亡したとき |
2. | 厚生年金の被保険者であった人が、被保険者期間中に初診日(初めて医師等の診断を受けた日)がある傷病が原因で、初診日から5年以内に死亡したとき |
3. | 障害厚生年金(1級・2級)の受給権者が死亡したとき |
4. | 老齢厚生年金の受給権者または受けるための資格期間を満たしている人が死亡したとき |
このうち、1.、2.の人については、死亡した日の前日において死亡日の属する月の前々月までの保険料を納めるべき期間のうち、 保険料を納付した期間と免除された期間を合わせた期間が3分の2以上あることが必要です(ただし、平成28年3月31日までの死亡の場合は、 死亡した月の前々月までの1年間に保険料の未納がなければ良いことになっています。)。
また、「生計を維持されていた」とは、家計を一つにしていて、将来にわたっても厚生労働大臣の定める金額(年収850万円)以上の収入がないと認められることをいいます。
【遺族の範囲】
遺族厚生年金を受けることが出来る遺族は次のとおりで、複数の遺族がいる場合は、優先順位(1.〜4.)の最も高い遺族に支給されます。1. | 配偶者(妻又は夫)・子 ※妻と子が遺族に該当する場合は妻に支給され、子は支給停止。夫と子が遺族に該当する場合は子に支給され、夫は支給停止。 ※平成19年4月1日以降に受給権を取得した場合で、夫の死亡時に30歳未満で、18歳未満の子を養育しない妻に対して支給される遺族厚生年金は、5年間の有給給付。 |
2. | 父母 |
3. | 孫 |
4. | 祖父母 |
このうち、子、孫については、死亡時に18歳に到達した以後の最初の3月31日を過ぎていないこと、または20歳未満の一定の障害者であって、現に婚姻をしていないことが必要です。
また、夫、父母、祖父母については、死亡時に55歳以上であることが必要で、原則として支給開始は60歳からとなります。
第1順位に受給権があるときは、第2順位以下の人は遺族厚生年金を受けられる遺族とはなりません。また、先順位の人が受給権を失った場合でも、次順位の人は受給権を取得(転給)できません。
【よくある質問】割増賃金はどれくらい払えばよいのでしょうか??
【割増賃金の支払義務】
労働者基準法では、使用者は労働者に対し、原則として1週間40時間、1日8時間を超える労働をさせてはならないこと、
また、少なくとも1週に1日、あるいは4週に4日以上の休日(法定休日)を与えなければならないことを定めています。法定労働時間を超えて労働させる場合や法定休日に労働させる場合、使用者には労使協定の締結、届出の義務がありますが、 実際に労働させたときは、原則として労働者に対して割増賃金を支払う義務も生じることになります。
【割増賃金の対象となる労働と割増率】
割増賃金の対象となる労働は、時間外労働、休日労働、深夜労働の三つです。1.時間外労働(割増率25%以上)
法定労働時間を超える時間における労働のことです。
したがって、就業規則などで1日7時間の所定労働時間を定めている事業場では、法定労働時間である8時間を超えた場合に、通常の賃金の25%以上の割増賃金の支払義務が生じることになります。
7時間を超え8時間以内の所定労働時間については、割増賃金の支払義務はありません。
取り決めをすれば通常の賃金をベースとした割増のない賃金を支払うことも可能です。
なお、これらは原則的な扱いであり、法定労働時間の特例措置の対象となる事業場や、変形労働時間制などを適用する事業場では、時間外労働の扱い方がこれらとは異なります。
2.休日労働(割増率35%以上)
法定休日における労働のことです。たとえば、週休2日制の事業場で毎週日曜日を法定休日と定めた場合、日曜日以外の休日は法定休日ではありませんので、その休日に労働した場合でも割増賃金を支払う必要はありません。
ただし、法定休日以外の休日に労働させたことにより法定労働時間を超えた場合は、原則として時間外労働と同じ扱いになり、超えた時間について割増賃金(25%以上)の支払が必要となります。
3.深夜労働(割増率25%以上)
午後10時から翌日午前5時までのいずれかの時間に労働させることです。
したがって、「夜勤」のように、法廷労働時間内の労働であっても、この時間帯に労働したときは、使用者は通常の賃金の25%以上の割増賃金を支払わなければなりません。
また、その深夜労働が時間外労働と重複する場合には、25% + 25% で 50%以上、休日労働と重複する場合には、35% + 25% で 60%以上の割増賃金となります。
厚生年金保険料率が引き上げられます
今年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料率が、1000分の3.54引き上げられ、1000分の153.5(一般の被保険者)となります。 事業主負担分及び被保険者負担分は、この半分の1000分の76.75です。 なお、厚生年金基金に加入する方の厚生年金保険料率は、基金ごとに異なります。
遺族年金と老齢年金の併給について
現行の公的年金制度では、「老齢」、「障害」、「遺族」といった支給事由に基づいた年金がありますが、 「一人一年金」といわれるように、同一の支給事由による年金だけを受けられるのが原則となっています。 しかし、遺族厚生年金に関しては、例外的に異なる支給自由の年金であっても両方を受けることが出来る仕組みがあります。【65歳未満では「選択」】
例えば、夫の死亡により遺族厚生年金を受けている妻が60歳になって、かつて加入していた厚生年金に基づいて老齢厚生年金を受ける権利を有した場合は、
65歳になるまでの間は原則どおり、いずれかの年金を選択することになります。【65歳以降は「併給」も可能】
65歳以降では、遺族厚生年金と自分の老齢を支給事由とする年金を合わせて受けられるようになる場合があります。
その主なパターンは次の通りです。(1)遺族厚生年金と老齢厚生年金
自分の老齢厚生年金が全額支給され、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額の支給が停止となります。 つまり、遺族厚生年金が自分の老齢厚生年金より額が多い場合に、その差額が遺族厚生年金として支給されます。
ただし、昭和17年4月1日以前生まれの人で、平成19年3月31日以前に遺族厚生年金の受給権があった人にはこの仕組みは適用されず、 次のA・B・Cのいずれかを選択することになります(Cは配偶者が受ける場合のみ)
A:[老齢基礎年金] + [老齢厚生年金]
B:[老齢基礎年金] + [遺族厚生年金]
C:[老齢基礎年金] + [老齢厚生年金 × 1/2] + [遺族厚生年金 × 2/3]
(2)遺族厚生年金と老齢基礎年金
自分の老齢厚生年金の受給権がない人は、遺族厚生年金の全額が老齢基礎年金とあわせて支給されます。
割増賃金の基礎となる賃金について
【割増賃金の基礎となる賃金】
割増賃金の計算の基礎となる「通常の賃金」とは、「通常の労働時間または労働日の賃金」とされています。これは、割増賃金を支払うべき労働が、深夜でない所定労働時間中に行われた場合に、その労働に対して支払われる賃金のことをいいます。
所定労働時間に対して支払われる賃金の中には、通勤手当や家族手当など、労働とは直接的な関係が薄く、 どちらかといえば個人的な事情に基づいて支払われる賃金もあります。 これらを全て割増賃金の基礎にすると、純粋に労働の対象として捉えるべき割増賃金の額が、個人的な事情に影響されることになります。 こうしたことから、以下の賃金は割増賃金の算定から除外することが出来ます。
(1)家族手当
(2)通勤手当
(3)別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金及び一ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
実際にこれらの賃金を除外するに当たっては、単に名称だけで判断するのではなく、実質により取り扱う必要があります。 したがって、「家族手当」とはいっても、扶養家族数に関係なく一律に支給するものは除外できません。 また、「住宅手当」については、住宅に要する費用に応じて算定される手当については除外できますが、 一律に定額で支給するものや、賃貸か持家かの違いだけで支給額が決まるものは、ここでいう「住宅手当」に該当しませんので注意が必要です。
【割増賃金の計算方法】
割増賃金の額は、計算の基礎となる1時間あたりの賃金額に、時間外労働等の時間数と、1.0の基礎部分に割増率を加えた数を乗じて求めます。ただし、所定労働時間内に行われた深夜労働については「1.0」の基礎部分は所定労働時間に対する賃金として支払われますので、 深夜労働の割増のみが支払われることになります。
「1時間あたりの賃金額」とは、時間給制の場合は、時間給そのものの額ですが、 月給制の場合は、計算の基礎となる賃金を計算期間となる1ヶ月の所定労働時間数で割った金額となります。
月によって所定労働時間数が異なるときは、1年間における月平均所定労働時間数で割った金額としても差し支えありません。
また、計算により1時間あたりの賃金や割増賃金の額に1円未満の端数が生じた場合は、法で定めた最低基準を下回らないように端数処理をすることが必要です。 ただし、50銭未満を切り捨て、50銭以上を1円に切り上げることは、法違反としては取り扱わないこととされます。
<割増賃金の計算例>
1時間あたりの賃金額 = 300,000円 ÷ 160時間 = 1,875円
割増賃金の支給額 = 1,875円 × 10時間 × (1.0 + 0.25)≒ 23,438円
・計算の基礎となる賃金 | 月給30万円 |
・月平均所定労働時間数 | 160時間 |
・時間外労働時間数 | 10時間 |
1時間あたりの賃金額 = 300,000円 ÷ 160時間 = 1,875円
割増賃金の支給額 = 1,875円 × 10時間 × (1.0 + 0.25)≒ 23,438円
本年10月、政管健保は「協会けんぽ」に変わります
現在、国(社会保険庁)が運営している「政府管掌健康保険」は、2008年10月1日から、「全国健康保険協会管掌健康保険」(愛称:協会けんぽ)に変わり、新たに設立される全国健康保険協会が運営することになります。協会は、非公務員型の法人で、職員も公務員ではなくすべて民間職員です。民間企業などのノウハウやITシステムを導入・活用して効率化を図り、被保険者や事業主の視点からサービスの向上や業務改革に取り組んでいくことになっています。
また、都道府県ごとに支部を設け、地域の身近な保険者として生活習慣病の予防など地域の実情に応じた事業を展開。今後は地域の医療費を反映した保険料率も設定されることになります。
【加入の届出や保険料の納付手続きは変わりません】
協会は、健康保険の保険者として、被保険者証の発行、保険給付、レセプトの点検、健診や保健指導などを実施します。健康保険の被保険者資格の取得・喪失や保険料の納付手続きについては、従来と同じように、会社(事業所)を管轄する社会保険事務所において厚生年金の手続きとあわせて行われます。
ただし、会社を退職した場合に任意で継続加入する人(任意継続被保険者)の手続きは、協会の各都道府県支部で直接行うことになります。
【健康保険の給付も変わりません】
医療費の自己負担割合や高額療養費の限度額、傷病手当金などの現金給付の金額や要件など、健康保険の給付の内容は、これまでと変わりません。給付の申請などの手続きや相談は協会の各都道府県支部で行われますが、被保険者や事業主などの利便性を考慮して、社会保険事務所に窓口を設けることも予定されています。
【被保険者証は順次切り替えられます】
10月1日以降新たに協会けんぽに加入する人や被保険者証の再交付の手続きをする人には、協会から新たな被保険者証が発行されます。従来から政府管掌健康保険に加入している人については、10月以降順次、新たに被保険者証への切り替えが行われます。 この切り替え手続きは、一般の被保険者は会社(事業所)を通じて行われます。
なお、切り替えが完了するまでは、現在お持ちの被保険者証は引き続き医療機関などで使用できます。
【保険料率は1年以内に都道府県別に設定】
協会設立時(本年10月)における健康保険の保険料率は、9月30日までの政府管掌健康保険の保険料率である「8.2%(労使折半)」が引き続き適用されます。ただし、設立後1年以内に、都道府県ごとに地域の医療費を反映した保険料率が設定されることになっています。 したがって、年齢構成の高い県ほど医療費も高いため保険料率が高くなることや、同じ程度の医療費でも所得水準の低い県ほど収支バランスにより保険料率が高くなることが考えられます。 ただし、著しく不均衡にならないよう都道府県間での調整が行われ、保険料率が大幅に上昇する場合には激変緩和措置を講ずることになっています。
地域別最低賃金の答申状況 全都道府県で7〜30円引き上げ
2008年度の地域別最低賃金の改正について、9月11日までに、各都道府県の地方最低賃金審議会の答申状況がまとまりました。それによると、すべての都道府県で7円から30円の間での引き上げ(昨年度は7円から20円の間)となっています。
この答申を受けて各都道府県労働局は、時間額と発効日を正式に決定し公示する予定です。
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「管理監督者」の判断要素が示されました(チェーン展開する小売業・飲食業などの店長が対象)
最近になって、チェーン展開する小売業や飲食業の店長に対して、管理職としての職務権限や待遇が与えられていないにもかかわらず、適正な残業代が支払われないことが問題となっています。これを受けて厚生労働省は、このような店長らを対象に管理監督者であるかどうかの具体的な判断要素を示した通達を出しました。労働基準法では、法定労働時間を超える労働などについては割増賃金を支払わなければならないとしていますが、「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者」(法第41条第2号)はこの規制の対象外とされています。(ただし、深夜業については割増賃金が必要です)
この場合の「管理監督者」とは、同法の解釈例規では「部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者」を意味していて、「名称にとらわれず、実態に即して判断すべきもの」とされています。それに当たっては、「職務内容、責任と権限、勤務態様に着目する必要があり、賃金等の待遇面についても留意しつつ、総合的に判断する」ことになっています。
今回出された通達は、産業構造が変化し外食産業を中心にチェーン展開する企業が増えているなか、店長職の実態にそって判断できるように、「職務内容、責任と権限」「勤務態様」「賃金等の待遇」3項目について、具体的に管理監督者性を否定する「重要な要素」とそれを「補強する要素」を明らかにしています。(下表参照)
なお、下表に整理された内容は、いずれも管理監督者性を否定する要素にかかるものですが、これらの否定要素が認められない場合に直ちに管理監督者性が肯定されるものではなく、他の要素も含めて総合的に判断されることになります。
「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について」(通達)のポイント
管理監督者性を否定する重要な要素 | 管理監督者性を否定する補強要素 | |
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職務内容、 責任と権限 |
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勤務態様 |
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賃金等の待遇 |
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【よくある質問】年次有給休暇の期間一日当たりに対して労働者に支払うべき額は??
労働基準法に定められている年次有給休暇は、賃金の減額を伴うことなく労働者に休暇を付与するもので、その休暇に対しては決められた方法で賃金の保証をする必要があります。年次有給休暇の期間一日当たりに対して労働者に支払うべき額は、次の三種類のいずれかによらなければなりません。
- 平均賃金
- 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
- 健康保険法に定める標準報酬日額に相当する金額
また、3. の標準報酬日額に相当する金額による場合はあらかじめ労使間での書面による協定を締結しておかなければなりません。
【平均賃金】
平均賃金を選択した場合、原則として、年次有給休暇を与えた日以前3ヶ月間に支払った賃金の総額をその期間の総日数で割った金額が、当該年次有給休暇の日に対する賃金となります。年次有給休暇が2日以上の期間にわたるときは、その初日が起算日となります。
この方法では、年次有給休暇を取得するたびに平均賃金を計算しなければなりません
そのため、月給者については、「月給により算定した通常の労働日の賃金が平均賃金を上回る限り、その月給を支給すれば足りる」として、賃金計算の簡素化を図っています。
しかし、平均賃金は時間外労働などに対して支払われる割増賃金も含めて算定されますので実際に採用している事業所はほとんどありません。
【所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金】
この賃金には、時間外労働などに対して支払われる割増賃金や、臨時に支払われる賃金などは含まれません。この賃金の算定は、所定労働日一日あたりの金額を求めるものです。
たとえば、月給者の場合、所定労働時間に対する月給額をその月の所定労働日数で割った金額となります。
しかし、通常の賃金の選択を認めたのは、計算事務の簡素化を図る為ですので、この方法による計算をそのつど行わなくても、年次有給休暇を取得した日は通常通り出勤したものとして取り扱えば差し支えありません。
したがって、月給の場合は年次有給休暇について賃金を減額せず、時間給の場合はその日の所定労働時間分の賃金を支給すれば足ります。
ただし、出来高払い制その他の請負制によって定められた賃金については、その賃金計算期間において出来高払い制その他の請負制によって計算した賃金の総額をもとに一日あたりの金額を算定する必要があります。
【標準報酬日額】
標準報酬日額は、健康保険法で定められています。健康保険被保険者の賃金を算定の基礎として保険者が決定した標準報酬月額を30で割った金額が標準報酬日額となります。
したがって、標準報酬月額が変更にならない限り、標準報酬日額は固定されていますので、そのつど計算する必要はありません。
事業主のための賃金の法律 「休業手当」
【休業と休業手当】
「休業」とは、労働者が労働契約に従って、労働する意思があり、また、労働を提供できる状態にあるにもかかわらず、使用者によって労働の提供を拒否されたり、使用者の責任により労働の提供が出来なくなったりした場合をいいます。したがって、事業の全部または一部が操業停止となる場合だけでなく、特定の労働者に対し、その意思に反して就労を拒否する場合も含みます。
労働基準法によれば、使用者の責任によって休業させた場合には、労働者の生活を保障するという観点から、使用者は労働者に対して、休業期間中、平均賃金の60%以上の手当を支払う義務があり、これを「休業手当」といいます。
休業は労働契約等において労働することが義務づけられている日について発生するものですので、就業規則や労働契約などにより、本来労働義務の無い日として定められている休日については、休業手当の対象とはなりません。
【休業が使用者の責任になる場合】
「使用者の責任」の範囲については、一般的に、天災事変などの不可抗力による場合を除いては責任を負うものとみなされます。具体的には次のような場合です。
- 資金、資材が調達できず、また、事業所設備の欠陥や不良のために休業した場合
- 年次有給休暇の計画的付与による一斉休業となった為に、年次有給休暇を有しない労働者を休業させた場合
- 労働組合のストライキがあった際、ストライキに参加しない非組合員などが就いている業務が存続していて、かつ、その業務に就くことが客観的にみて可能であるにもかかわらず、使用者が休業命令を出した場合
- 労働者を懲戒解雇にするべきか否かについて調査し決定するまでの間、出勤停止の措置をとる場合
【休業手当の内容と支払方法】
休業手当も労働基準法上の賃金とみなされますので、通常の賃金支払日に支払うことが必要です。また、一労働日のうち、一部を労働し、一部を使用者の責任により休業したときは、労働した時間に対して支払われた賃金が平均賃金の60%より少ない場合は、その差額以上を支払わなければなりません。
例えば、平均賃金が1万円の労働者の場合、労働した時間に対して支払われた賃金が6千円以上であれば休業手当を支払う必要はありませんが、賃金が5千円であったとすると、休業については、少なくとも1千円を休業手当としてこの労働者に支給しなければならないことになります。
【よくある質問】 賞与にかかる保険料は給付にどう反映されるの??
賞与を支給すると、それに対して通常の賃金と同じように労働保険料(労災保険料・雇用保険料)や厚生年金保険料・健康保険料がかかります。ところで、賞与にかかる保険料は、年金や手当金などの保険給付にはどのように反映されているのでしょうか??保険料の対象となる「賞与」とは、各制度によってその意味がやや異なっています。労働保険では、「賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うもの」(労働保険徴収法第2条第2項)とあるように、通常支払う賃金と区別されていません。
一方、厚生年金保険や健康保険では「(賞与とは)賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受ける全てのもののうち、3月を超える期間ごとに受けるもの」(厚生年金保険法第3条第1項第4号、健康保険法第3条第6項)とあるように、賞与は通常支払う賃金(報酬)とは区別されています。「3月を超える期間ごとに受けるもの」とは、言い換えれば「年に3回まで」支給されるものです。また、保険料は実際の支給額の1000円未満を切り捨てた「標準賞与額」に保険料率を乗じて算出され、この標準賞与額には一定の上限も有ります。
このように、どの制度においても賞与は保険料の対象となりますが、対象となった賞与はどの保険給付にも反映されるわけではありません。
【労災保険】
労災保険の主な給付額を決める基礎となる「給付基礎日額」は、労働基準法で定める平均賃金に相当する額とされ、「臨時に支払われた賃金及び3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金」は算入されません。つまり、年3回までの賞与は給付額には反映されないことになっています。ただし、労働福祉事業の一環として行われる次の特別支給金は、災害発生日、または診断によって病気にかかったことが確定した日以前1年間に支給された賞与などの「特別給与」を算定基礎とします。
- 障害特別年金、障害特別一時金(差額一時金を含む)
- 遺族特別年金、遺族特別一時金
- 傷病特別年金
【雇用保険】
基本手当などの雇用保険の各給付額を決める基礎となる「賃金日額」には、「臨時に支払われる賃金及び3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金」は含まれません。つまり、これも年3回までの賞与は給付額には反映されないことになっています。【健康保険】
傷病手当金や出産手当金など、健康保険のいわゆる現金給付の基礎となる「標準報酬日額」には標準賞与額は反映されません。
【厚生年金保険】
老齢厚生年金、障害厚生年金および遺族厚生年金の額を計算するときに算入される「平均標準報酬額」には、平成15年4月以降の被保険者期間の標準賞与額が反映されます。(「平均標準報酬額」とは、総報酬制が開始された平成15年4月以降の各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、その間の被保険者期間の月数で除して得た額を言います)また、在職老齢年金制度の年金支給停止額を決める「総報酬月額相当額」には、直前1年間の標準賞与額の総額を12で除した額が加算されていますので、賞与額と支給停止額が連動します。
以上をまとめると、年金など長期的な給付には賞与は反映されますが、短期的な給付には反映されないしくみとなっていると言えるでしょう。