2009年1月のお知らせ

特定求職者雇用開発助成金を12月から拡充。65歳以上の新規雇入れも対象に

高齢者や障害者など、就職が困難な求職者をハローワークや職業紹介事業者の紹介により雇用した事業主に対して支給される「特定求職者雇用開発助成金」が12月から拡充されました。

対象となる高齢者について、雇入れ日の年齢が従来は60歳以上65歳未満に限られていましたが、雇用保険の被保険者資格を喪失した日から3年以内であるなどの要件を満たしていれば、65歳以上であっても対象となります(「高年齢者雇用開発特別奨励金」として支給)。また、12月以降に中小企業事業主が障害者を雇い入れた場合の助成額が、従来の40万円〜120万円(対象者の区分に応じて決定)から60万円〜160万円へ引き上げられています。

尚、受給要件や支給額などについては、「田代元彦の業務日誌」 (1月7日) 高年齢者雇用開発特別奨励金 をご覧ください。


賃金の支払の確保等に関する法律、退職手当の保全措置、未払い賃金の立替払い制度など賃金債権の確保について

【賃金の支払の確保等に関する法律】
賃金の支払いについて、労働基準法では事業主に対して各種の義務を課し、それが履行されない場合にはそれぞれ罰則を設けています。しかし、会社が倒産し、事業主が支払い不能になってしまっては、いくら罰則規定があったとしても確実な支払いは期待できません。
そこで、「賃金の支払の確保等に関する法律」によって、賃金支払い義務を確実に履行させるための規制と、事業主が支払い不能になった場合に労働者が受ける損失を軽減するための措置を明確にし、賃金支払いにおける労働者の保護を図っています。この法律の中心となるのは、退職金の保全措置未払い賃金の立替払い制度の2つです。

【退職手当の保全措置】
事業主は、労働契約や就業規則などによって退職手当の支払いを明らかにしたときは、支払うべき退職手当の一定額以上について保全措置を講じるように努めなければなりません。
ただし、退職手当の支払いにあてるための資金が社外に準備されている制度(中小企業退職金共済制度など)を利用している事業主などは、この保全措置を講じる必要はありません。保全措置は、次のいずれかの方法によるものとされています。
  1. 保証方式
  2. 事業主の退職金支払い債務を金融機関が連帯保証する

  3. 信託方式
  4. 労働者を受益者とする信託契約を信託会社と締結する

  5. 質権または抵当権設定方式
  6. 退職金請求権の担保として、事業主と労働者の間で質権または抵当権を設定する

  7. 退職手当保全委員会方式
  8. 同委員会を設置し、退職手当の支払い準備の状況を事業主が報告し、労働者が理解することで、退職手当制度の運営について労使の関心と事業主の支払い確保への努力を促す
【未払い賃金の立替払い制度】
企業の倒産により事業主が支払い能力を失った場合に、国が未払い賃金を事業主に代わって立替払いするもので、その要件等は次のとおりです。

(1)事業主の要件
1年以上にわたって事業を行っている労災保険の適用事業主が、次の3つのどれかにあてはまる必要があります。
  1. 破産宣告を受け、または特別清算の開始命令を受けたこと(清算型の倒産)
  2. 会社更生手続開始の決定、民事再生手続開始の決定または整理開始の命令を受けたこと(債権型の倒産)
  3. 中小企業について、その事業活動が停止し、再開の見込みがなく、かつ賃金支払い能力のないことが労働基準監督署によって認定されたこと
(2)労働者の要件
上記1. または2. の申し立てがあった日、あるいは退職労働者により3. の認定申請があった日の6ヵ月前の日を基準として、その日以降2年以内に退職した労働者で、一定期間内に生じた未払い賃金が存在すること。

(3)立替払いの額
立替払いされる額は、未払い賃金の総額の100分の80に相当する額です。ただし、退職日時点の年齢に応じて次のような上限額があります。
  1. 30歳未満の者88万円
  2. 30歳以上45歳未満の者176万円
  3. 45歳以上の者296万円



2009年2月のお知らせ

介護未経験者確保等助成金のご案内

介護未経験者確保等助成金は、介護関係業務の未経験者を、雇用保険一般被保険者(短時間労働者を除く。)として雇い入れた場合で、1年以上継続して雇用することが確実であると認められる場合に、事業主への支援として助成する制度です。
(※平成20年12月1日以降の雇い入れが対象です。)

【介護未経験者確保等助成金の見直しについて】
平成20年度第2次補正予算の成立により、制度が一部拡充されました。

雇い入れた介護関係業務の未経験者が、さらに「介護算入特定労働者(※)」である場合、助成金の支給額が倍額になります(下表参照。)。

※介護算入特定労働者とは・・・
介護関係業務の未経験者であり、かつ、以下のいずれにも当てはまる方をいいます。
  1. 雇い入れ日時点で25歳〜39歳である方
  2. 過去1年間に雇用保険被保険者でなかった方

助成対象期間(1年間)の助成額 支給対象期間(6ヵ月間)ごとの助成額
従来 50万円まで 第1期 25万円、第2期 25万円
拡充部分 (介護算入特定労働者の場合)
100万円まで
(介護算入特定労働者の場合)
第1期 50万円、第2期 50万円



在職老齢年金の計算について。総報酬制度導入後の年金はこうなります

【在職老齢年金の計算(60歳代前半の在職老齢年金)】
総報酬制導入後の60歳以上65歳未満の在職老齢年金は、老齢厚生年金の「基本月額」「総報酬月額相当額」との関係で月ごとに調整が行われます。

「基本月額」とは、配偶者加給年金を除いた老齢厚生年金の額の80%を12で割った額をいいます。

一方、「総報酬月額相当額」とは、その月の標準報酬月額とその月以前1年間の標準賞与額の総額を12で割った額を合算した額をいいます。

このように、総報酬制導入後は、賞与の額も含めて支給停止額を計算するようになるので、在職老齢年金は平成16年4月分から新しい計算方法に変わります。

総報酬制導入後の在職老齢年金の計算方法(60歳以上65歳未満)
  1. 総報酬月額相当額が48万円以下の場合
    • 基本月額が28万円以下の場合
      基本月額 - (総報酬月額相当額 + 基本月額 - 28万円) x 1/2

    • 基本月額が28万円を超える場合
      基本月額 - (総報酬月額相当額 x 1/2)

  2. 総報酬月額相当額が48万円を超える場合
    • 基本月額が28万円以下の場合
      基本月額 - {(48万円 + 基本月額 - 28万円) x 1/2 + (総報酬月額相当額 - 48万円)}

    • 基本月額が28万円を超える場合
      基本月額 - {(48万円 x 1/2) + (総報酬月額相当額 - 48万円)

【60歳代後半の在職老齢年金】
65歳以上70歳未満では、老齢厚生年金の基本月額(80%の年金月額ではなく、年額を単純に12で割った額)と総報酬月額相当額との合計額が48万円を超えるとき、その超えた額の2分の1が支給停止となります。


2009年4月のお知らせ

平成21年度から労働保険の年度更新は、6月1日〜7月10日に変更されます

従来は毎年4月1日から5月20日までとなっていた労働保険年度更新の申告・納付時期が、平成21年度からは6月1日から7月10日までに変わります。また労災保険料率が平成21年度から改定されます。


介護保険料率が引き上げられました。

協会けんぽ(旧政府管掌健康保険)の介護保険料率が今年3月分(4月30日納付期限分)から1000分の0.6引き上げられ、1000分の11.9となりました。

これにより、40歳から64歳までの介護保険第2号被保険者の健康保険料率は、医療にかかる保険料率(1000分の82)とあわせて1000分の93.9となります(被保険者負担分は、この半分の1000分の46.95)


平成21年4月より、雇用保険の保険料率が改定されました

雇用保険の保険料は、賃金総額に対して下記の料率を掛けた金額となります。

【雇用保険の保険料率の改定について】
平成21年4月より、以下のとおり雇用保険の保険料率が改定されました(但し、22年3月まで)。

一般の事業 農林水産及び
清酒製造の事業
建設の事業
負担別 被保険者 1000分の4.0 1000分の5.0 1000分の5.0
事業主 1000分の7.0 1000分の8.0 1000分の9.0
雇用保険料率計 1000分の11.0 1000分の13.0 1000分の14.0


高年齢労働者(保険年度の初日4月1日において満64歳以上の方)については雇用保険の保険料は被保険者及び事業主とも免除されます(かつ、賃金締切日が4月1日以降であること)。

但し、短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者、任意加入の高年齢継続被保険者については、保険料は免除されません。


2009年5月のお知らせ

平成21年3月31日以降、雇用保険制度が変わりました!(1) 雇用保険の適用範囲の拡大

短時間労働者及び派遣労働者の方の雇用保険の適用基準を以下のとおり緩和しました。

【旧】 1年以上の雇用見込みがあること
・1週間当たりの所定労働時間が20時間以上であること

【新】 6ヶ月以上の雇用見込みがあること
・1週間当たりの所定労働時間が20時間以上であること

※平成21年4月1日以降に、改正後の適用基準を満たす労働者を雇い入れた場合には、当該労働者に係る雇用保険被保険者資格取得届を管轄の公共職業安定所に提出する必要があります。


平成21年3月31日以降、雇用保険制度が変わりました!(2) 育児休業給付の統合と給付率引上げ措置の延長

※平成22年4月1日施行

育児休業給付は育児休業中と職場復帰後に分けて支給されていますが、平成22年4月1日以降に育児休業を開始した方については、給付金を統合して全額育児休業中に支給されることになりました。

また、平成22年3月31日までとされていた給付率引上げ(休業開始時賃金の50%)が、当分の間、延長されます。

※平成22年3月31日までに育児休業を開始された方は、育児休業基本給付金として育児休業中に30%、職場復帰して6ヶ月経過後に育児休業者職場復帰給付金が20%支給されます。


平成21年3月31日以降、雇用保険制度が変わりました!(3) 失業等給付に係る雇用保険料率の変更

失業等給付に係る雇用保険率が、平成21年度に限り0.4%引き下げられました。(一般の事業の場合、1.2% → 0.8%を労使折半)

※この他、事業主の方は二事業に係る雇用保険料率(一般の事業の場合、0.3%)を負担していただく必要があります。

【参考】平成21年度から労働保険の年度更新の申告・納付時期が6/1〜7/10になります。


2009年6月のお知らせ

平成21年3月31日以降、雇用保険制度が変わりました!(4) 就職促進手当の給付率引上げ等

※再就職した日が平成21年3月31日から平成24年3月31日までの間である人が対象となります。

(1)再就職手当
基本手当の受給資格がある人が、早期に安定した職業についた場合に支給される「再就職手当」の支給要件と給付率が次のように緩和されました。

従来 改正後
支給要件
(基本手当の支給残日数)
所定給付日数の
3分の1以上、
かつ45日以上
所定給付日数の
3分の1以上、
(「残日数が45日以上」は廃止)
給付率 30% 所定給付日数の3分の2以上の場合・・・50%
所定給付日数の3分の1以上の場合・・・40%

(2)常用就職支度手当
基本手当等の受給資格がある人のうち、障害者など就職が困難な人が安定した職業についた場合に支給される「常用就職支度手当」の給付率が、30%から40%に引き上げられました
また、再就職した日において40歳未満で、かつ同一の事業主に雇用保険の一般被保険者として一定期間継続して雇用されたことが無い人などが新しく対象となりました。


平成21年3月31日以降、雇用保険制度が変わりました!(5) 雇用保険料率の引下げ(平成21年度のみの措置)

雇用保険料率について、平成21年度に限り、失業等給付に係る率が1000分の4(労使折半)引き下げられ、以下のとおりになりました。

事業の種類 雇用保険料率 事業主負担 労働者負担
(失業等給付に係る保険料率のみ)
(a)+(b) 失業等給付に係る保険料率(a) 雇用二事業に係る保険料率(b)
一般の事業 1000分の11 1000分の7 1000分の4 1000分の3 1000分の4
農林水産
清酒製造業
1000分の13 1000分の8 1000分の5 1000分の3 1000分の5
建設業 1000分の14 1000分の9 1000分の5 1000分の4 1000分の5



中小企業緊急雇用安定助成金のご案内

平成21年6月8日より中小企業緊急雇用安定助成金が一部見直されました。

(1)助成対象となる教育訓練の見直し
事業所内における教育訓練について、半日単位の実施も可能となりました(但し訓練費は半額)。

(2)在籍出向者の休業等を支給対象に追加
出向元で雇用保険被保険者となっている在籍出向者が出向先において休業等をした場合は、今までは助成の対象となりませんでしたが、出向元と休業等協定を締結した上で休業等を実施した場合については、出向元で中小企業緊急雇用安定助成金の要件を満たし、かつ、出向先においても事業活動の縮小の要件を満たしている場合に限り支給の対象となります。

(3)1年間の支給限度日数の緩和
改正前 改正後
3年間で300日(最初の1年間で200日を限度)
※連続した利用が可能です。
3年間で300日(1年間の限度日数は撤廃
※連続した利用が可能です。

(4)障害のある人の雇用を維持した場合の助成率の上乗せ
雇用調整の対象被保険者が障害のある人であった場合、障害のある人に係る助成率を5分の4から10分の9へ上乗せします。


2009年7月のお知らせ

中小企業事業主が就職困難者等を雇い入れた場合の支給額がアップします。(平成21年2月6日以降の雇い入れが対象)


特定求職者雇用開発助成金
障害者などの就職困難者をハローワーク又は有料・無料職業紹介事業者の紹介により継続して雇用する労働者(一般被保険者)として雇い入れる事業主に対して、賃金相当額の一部の助成を行います。

対象労働者 助成額
大企業 中小企業
高年齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母等※ 50万円 60万円 → 90万円
身体・知的障害者※ 50万円 90万円 → 135万円
重度障害者、45歳以上の障害者、精神障害者※ 100万円 160万円 → 240万円
身体・知的・精神障害者(短時間労働者) 30万円 60万円 → 90万円
その他の短時間労働者 30万円 40万円 → 60万円
※短時間労働者を除く。


高年齢者雇用開発特別奨励金
雇い入れ日の満年齢が65歳以上の離職者をハローワーク又は有料・無料の職業紹介事業者の紹介により一週間の所定労働時間が20時間以上の労働者として雇い入れる事業主(1年以上継続して雇用することが確実な場合に限ります。)に対して賃金相当額の一部の助成を行います。

対象労働者 助成額
大企業 中小企業
短時間労働者以外の者 50万円 60万円 → 90万円
短時間労働者 30万円 40万円 → 60万円
(注)短時間労働者以外とは、一週間の所定労働時間が30時間以上の者をいいます。
   短時間労働者とは一週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の者をいいます。


※雇い入れ日はアルバイト、試用期間等を含め最初に就労した日となります。

その他、助成金の支給には一定の用件がありますので、詳しくはお気軽にお問い合わせ下さい。



育児休業給付の改正のお知らせ(平成22年4月1日)

■2つの給付金の統合
育児休業給付は、現在、育児休業中に休業開始時賃金の30%(育児休業基本給付金)、職場復帰して6ヵ月経過後に同20%(育児休業者職場復帰給付金)と、分けて支給されています。したがって、職場復帰しても6ヵ月以内に退職した場合、職場復帰給付金は受けることができなくなってしまいます。
育児休業を取っても、やむを得ない事情で職場復帰が果たせなくなったり、復帰しても6ヵ月以内に退職しなくてはならなかったりする場合もあると思われます。今の制度では、このような場合に「満額」の給付金が受けられないため、働く人に対する育児休業中の所得保障の観点からは十分機能していないのではないかという指摘もありました。
そこで、今回の改正では、平成22年4月1日以降に育児休業を開始した人については、2つの給付金がまとめて育児休業中に支給されることになりました(職場復帰給付金は廃止)。つまり、育児休業が終わって職場復帰後6ヵ月経過を待たなくても、従来の職場復帰給付金を含めた額の給付金を受けることができます。

■給付率引上げ措置の延長
現在の職場復帰給付金は、平成22年3月31日までは、本来10%の給付率が暫定的に20%に引き上げられていて、2つの給付金の給付率はあわせて50%となっています。
今回の改正により、この引上げ期限が平成22年4月1日以降当分の間廷長されることになりました。前記のとおり、2つの給付金は統合されて基本給付金のみとなりますので、統合後の基本給付合の給付率が、現在の30%から50%に変更されることになります。



2009年8月のお知らせ

割増賃金率引上げの対象となる時間外労働について(改正労働基準法のポイント)

「改正労働基準法」が平成22年4月1日から施行されます。今回はおよそ6年ぶりの改正で、
  1. 時間外労働の法定割増賃金率の引上げ
  2. 年次有給休暇の時間単位付与
  3. 特別条項付き協定で定める事項の見直し
などが主な改正内容となっています。


(1)1ヶ月60時間超の時間外労働が引上げ対象
今回の改正は、長時間労働を抑制し、労働者の健康確保や、仕事と生活の調和を図ることが大きな目的となっています。

そこで、現行法令「2割5分以上」と定められている時間外労働の割増賃金率について、1ヶ月に60時間を超えて時間外労働をさせた場合には、その超えた時間の労働については「5割以上」の率に引き上げられます。ただし、改正法で定める中小事業主(下表参照)の事業については、当分の間、法定割増賃金率の引上げの適用が猶予され、施行から3年経過後に改めて検討することとされています。

また、1ヶ月60時間を超える時間外労働について、労使協定により割増賃金の支払に代えて通常の労働時間の賃金が支払われる有給の休暇を付与することもできます。

ここでいう「1ヶ月」とは暦での1ヶ月のことをいい、その起算日は、毎月1日、賃金計算期間の初日、時間外労働協定における一定期間の起算日などとすることが考えられますが、起算日は「賃金の決定、計算及び支払の方法」として就業規則に記載する必要があります。そして、1ヶ月の起算日から時間外労働時間を累計して、60時間に達した時点より後に行われた時間外労働が5割以上の率で計算した割増賃金の支払の対象となります。

割増賃金率の引上げが猶予される中小事業主の範囲(改正労基法第138条)
事業の種類 資本金額(または出資の総額)/常時使用する労働者数
小売業 5千万円以下、または50人以下
サービス業 5千万円以下、または100人以下
卸売業 1億円以下、または100人以下
上記以外の事業 3億円以下、または300人以下


(2)休日労働との関係
いわゆる法定休日(週1回または4週間4日の休日)における労働については、現行法で「3割5分以上」の割増賃金率が適用されますが、法定休日以外の休日における労働は時間外労働に該当するため、残業などの時間外労働と同じように「60時間」の算定対象に含めなければなりません。したがって、就業規則などにより、事業場の休日について法定休日と法定休日以外の休日の別を明確にしておくことが望ましいでしょう

(3)深夜労働との関係
深夜労働(原則午後10時〜午前5時)については、現行法で「2割5分以上」の割増賃金率が適用され、時間外労働が深夜に及んだ場合には、時間外労働の「2割5分以上」と合わせて「5割以上」の割増賃金の支払が必要となっています。

今回の改正により、深夜労働のうち、1ヶ月について60時間に達した時点より後に行われた時間外労働であるものについては、深夜労働の法定割増賃金率と60時間を超える時間外労働の法定割増賃金率とが合算され「7割5分以上」の割増賃金の支払が必要になります。

ただし、前記の中小事業主については、当分の間、1ヶ月について60時間を超える時間外労働の時間外労働ぼ法定割増賃金率の引上げが猶予されていることから、現行どおりの割増賃金率が適用されます。


雇用調整助成金と中小企業緊急雇用安定助成金の支給要件の特例措置を設けました。

厚生労働省はこのほど、雇用調整助成金と中小企業緊急雇用安定助成金の支給要件について、休業などを行う理由が新型インフルエンザの発生や感染拡大の影響で、、客数や受注量などが減少した場合も対象とする特例措置を設けました。

この特例では、生産量(または売上げ)現象の比較対象期間についても、直近の「3ヶ月間の平均」から「1ヶ月」に緩和。また、新型インフルエンザの国内発生が確認された今年5月16日まで遡って支給申請をすることが出来るようになりました。


2009年9月のお知らせ

本年9月から協会けんぽの保険料率が都道府県ごとに変わります。

協会けんぽの健康保険料は、現在、全国一律の保険料率(8.2%)となっていますが、平成21年9月から都道府県ごとの保険料率に移行します。

*都道府県ごとの保険料率の適用は、9月分の保険料(一般の被保険者は10月納付分、任意継読破保険者は9月納付分)からとなります。
*40歳から64歳までの方(介護保険第2号被保険者)は、これに全国一律の介護保険の保険料率(1.19%)が加わります。


都道府県ごとの保険料率導入の背景

従来の全国一律の保険料率のもとでは、疾病の予防等の地域の取組により医療費が低くなっても、その地域の保険料率に反映されないという問題点が指摘されていました。こうした中、平成18年度の医療制度改革においては、旧政府管掌健康保険について、国民健康保険や長寿医療制度と同様に、都道府県単位の財政運営を基本とする改革が行われ、都道府県ごとの保険料率は、こうした改革の一環として導入されました。

保険料率は都道府県ごとの医療費の違いが反映されるため、今後、疾病の予防等により地域の加入者の医療費が下がれば、その分の保険料が下がる仕組みとなります。


都道府県ごとの保険料率の仕組み

都道府県ごとの保険料率については、中高年齢層の割合が高い等の年齢構成の違いによる医療費の差や、所得が低いため保険料率が高くなる等の所得水準の違いが、そのまま反映されるのではなく、相互扶助や連帯の観点から、こうした違いを都道府県間で調整した上で保険料率が設定されます。

また、都道府県ごとの保険料率への円滑な移行を図るため、平成25年9月までは、都道府県間の保険料率の差を小さくした上で、保険料率が設定されることとなっています。平成21年度は、実際の保険料率と全国平均の保険料率(8.2%)の差が1/10に調整されています。

<参考>都道府県ごとの保険料率(平成21年9月分〜)
北海道 8.26 青森 8.21 岩手 8.18 宮城 8.19 秋田 8.21 山形 8.18 福島 8.20
茨城 8.18 栃木 8.18 群馬 8.17 埼玉 8.17 千葉 8.17 東京 8.18 神奈川 8.19
新潟 8.18 富山 8.19 石川 8.21 福井 8.20 山梨 8.17 長野 8.15 岐阜 8.19
静岡 8.17 愛知 8.19 三重 8.19 滋賀 8.18 京都 8.19 大阪 8.22 兵庫 8.20
奈良 8.21 和歌山 8.21 鳥取 8.20 島根 8.21 岡山 8.22 広島 8.22 山口 8.22
徳島 8.24 香川 8.23 愛媛 8.19 高知 8.21 福岡 8.24 佐賀 8.25 長崎 8.22
熊本 8.23 大分 8.23 宮崎 8.20 鹿児島 8.22 沖縄 8.20



今年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料率が引き上げられます。

今年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料率が0.354%引き上げられ、15.704%(一般の被保険者)となります。事業主負担分および被保険者負担分は、この半分の7.852%です。

なお、協会けんぽの健康保険の保険料が、今年9月分(10月納付分)から都道府県ごとの保険料率に移行します。

平成21年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表
等級 標準報酬月額
(円)
報酬月額
(円以上〜円未満)
一般被保険者
全額(円)
15.704%
折半額(円)
7.852%
1 98,000     〜 101,000 15,389.927,694.96
2104,000101,000 〜 107,000 16,332.168,166.08
3110,000107,000 〜 114,000 17,274.408,637.20
4118,000114,000 〜 122,000 18,530.729,265.36
5126,000122,000 〜 130,000 19,787.049,893.52
6134,000130,000 〜 138,000 21,043.3610,521.68
7142,000138,000 〜 146,000 22,299.6811,149.84
8150,000146,000 〜 155,000 23,556.0011,778.00
9160,000155,000 〜 165,000 25,126.4012,563.20
10170,000165,000 〜 175,000 26,696.8013,348.40
11180,000175,000 〜 185,000 28,267.2014,133.60
12190,000185,000 〜 195,000 29,837.6014,918.80
13200,000195,000 〜 210,000 31,408.0015,704.00
14220,000210,000 〜 230,000 34,548.8017,274.40
15240,000230,000 〜 250,000 37,689.6018,844.80
16260,000250,000 〜 270,000 40,830.4020,415.20
17280,000270,000 〜 290,000 43,971.2021,985.60
18300,000290,000 〜 310,000 47,112.0023,556.00
19320,000310,000 〜 330,000 50,252.8025,126.40
20340,000330,000 〜 350,000 53,393.6026,696.80
21360,000350,000 〜 370,000 56,534.4028,267.20
22380,000370,000 〜 395,000 59,675.2029,837.60
23410,000395,000 〜 425,000 64,386.4032,193.20
24440,000425,000 〜 455,000 69,097.6034,548.80
25470,000455,000 〜 485,000 73,808.8036,904.40
26500,000485,000 〜 515,000 78,520.0039,260.00
27530,000515,000 〜 545,000 83,231.2041,615.60
28560,000545,000 〜 575,000 87,942.4043,971.20
29590,000575,000 〜 605,000 92,653.6046,326.80
30620,000605,000 〜      97,364.8048,682.40



2009年10月のお知らせ

時間外労働の限度に関する基準が改正されます


「特別条項付き協定」の割増賃金率
労働基準法では、使用者は労働者に1週40時間、1日8時間を超えて労働させてはならないとしていますが、労使間で時間外労働に関する協定(いわゆる「36協定」)を締結し、これを行政官庁に届け出たときは、1週40時間、1日8時間を超えて働かせることができると定めています。ただし、この協定で定める時間外労働については、告示により一定の限度時間(下表参照)が定められており、その限度時間を超えてさらに時間外労働を行わせる場合には、延長に関する「特別条項」を付けた協定を締結する必要があります。(特別条項付き協定)

期間 限度時間(※)
1週間 15時間
2週間 27時間
4週間 43時間
1ヶ月 45時間
2ヶ月 81時間
3ヶ月 120時間
1年月 360時間
※対象期間が3ヶ月を超える1年単位の変形労働時間制の場合を除く

特別条項として明示する項目には、延長できる時間数のほかに延長しなければならない特別の事情などがありますが、今回の改正により、限度時間を超えて働かせる場合の割増賃金率も加えられました。特別条項に盛り込む割増賃金率は、
  1. 1日を超え3ヵ月以内の期間
  2. 1年間について限度時間を超えて労働させる期間
ごとに定めなければならない
こととされています。そして、1. 及び 2. の期間の双方について特別条項付き協定を締結する場合には、それぞれ限度時間を超える時間外労働に係る割増賃金率を定めることが必要となります。
なお、この改正内容は、平成22年4月1日以降に特別条項付き協定を締結する場合、もしくは更新する場合に適用されることになっています。

法定を超える割増賃金率の設定と時間外労働の抑制(努力義務)
時間外労働は、本来臨時的なものとして必要最小限にとどめることが望ましいとされています。そこで、今回の改正では、時間外労働を抑制する観点から、特別条項付き協定において限度時間を超える時間外労働に係る割増賃金率を定めるに当たっては、政令で定める率(25%)を越える率とするように努めなければならないこととされました。
また、特別条項付き協定を締結する場合には、限度時間を超える時間外労働をできる限り短くするように努めなければならないことも付け加えられました。


地域別最低賃金が全国平均で10円の引上げとなりました(地域別最低賃金の答申状況)


平成21年度の地域別最低賃金の改正について、このほど各都道府県に設置された地方最低賃金審議会の答申状況がまとまりました。(下表参照)
それによると、現行どおりとなる2県(新潟・岐阜)を除く45都道府県で時間額が1円から25円の間での引き上げとなっていて、全国加重平均では、昨年度と比べて10円アップの713円となっています。この答申を受けて各都道府県労働局は、時間額と発効日を正式に決定し公示する予定です。

都道府県 時間額 引上額 発効日 都道府県 時間額 引上額 発効日
北海道 678 11 10月10日 滋賀 693 2 10月1日
青森 633 3 10月1日 京都 729 12 10月17日
岩手 631 3 10月4日 大阪 762 14 9月30日
宮城 662 9 10月24日 兵庫 721 9 10月8日
秋田 632 3 10月1日 奈良 679 1 10月17日
山形 631 2 10月18日 和歌山 674 1 10月31日
福島 644 3 10月18日 鳥取 630 1 10月8日
茨城 678 2 10月8日 島根 630 1 10月4日
栃木 685 2 10月1日 岡山 670 1 10月8日
群馬 676 1 10月4日 広島 692 9 10月8日
埼玉 735 13 10月17日 山口 669 1 10月4日
千葉 728 5 10月3日 徳島 633 1 10月1日
東京 791 25 10月1日 香川 652 1 10月1日
神奈川 789 23 10月16日 愛媛 632 1 10月1日
新潟 669 - - 高知 631 1 10月1日
富山 679 2 10月18日 福岡 680 5 10月16日
石川 674 1 10月10日 佐賀 629 1 10月1日
福井 671 1 10月1日 長崎 629 1 10月10日
山梨 677 1 10月1日 熊本 630 2 10月18日
長野 681 1 10月1日 大分 631 1 10月1日
岐阜 696 - - 宮崎 629 2 10月14日
静岡 713 2 10月26日 鹿児島 630 3 10月14日
愛知 732 1 10月11日 沖縄 629 2 10月18日
三重 702 1 10月1日