俳句俳句俳句
わがまま添 削
◎いくつかの句会に参加しています。さまざまな「句風」があり、普段自分の気付かない発見があります。
句会では、たいてい自分が5句投句して、人の句を5句選びます。およそ10句ほど選び出して、その内から5句を決めます。
「選句」も力量が問われることを心しておきたい。
一句として成立している作品のみ掲載する。
・判断基準
1、新鮮味 2、技法(上中下句の構成) 3、説明調の有無 4、含蓄 5、類句
・総合評価
☆秀逸 ◎優良 ○普通 △いまいち

23年 秋→冬
11/25 H公民館(用作公園、岡城址 吟行)
◎一切のかかわり捨てて木の実落つ
〜含蓄の一句。「木の実」を人に自分に暗喩したもの。生きておれば生活の周辺の関わりにおいて困難なことも多い。息絶える瞬間にそれらから解放されるのだ。適切な比喩。
○空は海雲は浮島寒の晴
一工夫した写生句であるが、ただそれだけのもの。空は海/雲は浮島/寒の晴/ と三段切れを避けたい。
添削例) 空は海雲浮島の寒の晴
△落ちてなお朱に染まりたる紅葉かな
〜写生句。落ちて間もない紅葉をとらえたもの。ただごと でもある。
添削例) 落ちてなほ朱に染まりたる紅葉かな
◎秋蝶の伝ふ石垣大手門
〜写生句。高楼は無く往時をしのぶ城壁の石垣を蝶が這い回るように飛んでいる、趣を醸す一句。もう少しインパクトを与えたい。
添削例) 冬の蝶石垣伝ふ大手門
○陽(ひ)と陰(かげ)と分かつ稲城(いなき)の幾何模様
〜一工夫の写生句。稲城が陽と陰を成している、それだけのもの。同じ幾何模様であっても心理的な受け止め方を表したい。
添削例) 陰(いん)と陽(よう)と分かつ稲城の幾何模様
◎落葉踏む古人(いにしへびと)の沓の跡
〜含蓄の一句。ここを歩いた古人はこのように落葉を踏んだことであろう。この落葉にその沓の跡を見る思いがする。
しみじみとした懐旧の一句であるが、折角なのでもう一歩聴覚を働かせれば臨場感を生む。
添削例) 落葉踏む古人の沓のをと
特選句
△三点句 石垣に刻は眠りて秋の風
〜古い石垣が秋風に眠っているようである、と詠んだもの。「刻が眠る」と「秋の風」の取り合わせであれば何の興趣も生まれない。また 眠りて の接続助詞「て」はそぐわないし、石垣は他の建物や擁壁にも使われているので、岡城址であればむしろ城壁に刻をきざみ 昔を偲びたい。
添削例) 城壁に刻きざみけり秋の風
△二点句 鯉はねて紅葉筏の水輪かな
〜写生句。鯉が跳ねた瞬間水面の紅葉筏を裂いて水輪が動いた。それだけのこと。
折角のきれいな紅葉筏を壊してしまった ことにして注意を惹きたい。
添削例) 鯉はねて紅葉筏のバラバラと
二点句 かのときの小指と小ゆび初もみぢ
〜自分の句。小四の頃、一度だけ隣保班で紅葉狩りに行った。何を約束したのかをすっかり忘れたが幼友達(女の子)と指切りをした。その後の消息は不明。結婚の約束ではなかった模様である。彼の刻 を子供表記「かのとき」とし、小指(男の子)、小ゆび(女の子)と表記。
12/1 K俳句クラブ
毎週木曜日に俳句講座(白板を活用)と句会を実施。約20名が笑いを交えて〜
句 会:兼題「師走」
五点句
ふる里の思い出多き師走かな
〜「思い出多き」に惹かれたようだ。
もう一つ具体的なモノやコトがなければ想像が巡らない。正月を前にしていい年が越せるように四苦八苦していた父母の姿を表してみる。
添削例) ふる里の亡き父と母師走風
三点句
何もせず心せかるる師走かな
〜「何もせず」一年が過ぎた感じがいい。
「心せかるる」は「師走」の意とダブル。師走でも普段の生活を、
添削例) なにもせず出涸しすする師走かな
年老いて又年重ね師走かな
〜80歳をすぎるとこの気持ちが強くなるのか。
「又年重ね」負の説明調を明るく、
添削例) 年老いてまたまた歳を師走空
わだかまり凍りしままに師走かな
〜いったん胸につかえたわだかまりは溶けにくい。
季重なり でも差し支えないケースだが、この言葉もある。
添削例) わだかまり未(いま)だ解(ほぐ)れぬ師走かな
二点句
置去りの自転車一つ師走かな
〜通りすがりの光景かな。「自転車一つ」の発想がいい。
ただこんな光景はよく見かけること。置きっぱなしにして錆びだらけの状景、
添削句) 錆尽くす自転車ひとつ師走かな
何もせず又年重ぬ師走かな
〜老年の感懐。
「又年重ぬ」がやや理屈っぽい。自問の感じで、
添削句) 何もぜず齢はいくつ師走の夜
一点句
師走なりあれやこれやと気はもめる
〜節季の気ぜわしさを詠う。
「師走」の説明に留まる。「気はもめる」が言い過ぎ。
添削例) 師走の夜あれやこれやと床の中
朝夕の日ざし短く師走かな
〜どんどん日が短くなる。
「朝夕の日ざし短し」も時季の説明。慌ただしい師走であっても普段通りである、
添削例) 朝起きて夜は布団に師走かな
地区民の師走の行事寺掃除
〜据わりの悪い「師走かな」を避けた表現。
「地区民」が余分、こんなとき切字「や」を働かす。字余りも、
添削例) 恒例の師走の賑はひ寺掃除
刻のたつ速さも覚ゆ師走かな
〜時間は止まってくれない。
「速さも覚ゆ」が説明。時間が見える感じを出す。
添削例) 砂時計刻に押さるる師走かな
人はみな小走りになる師走かな
〜これも忙しい感じ。
反語的表現で効果を出す、
添削例) 人はみなゆつくり話せ師走空
雑踏をひとり歩きし師走かな
〜「雑踏」がいい。人混みに紛れている感じが効果的。
私の選句
・ 師走なり布団の中のここちよさ
〜気忙しい師走にあって、布団にゆっくり横になっている。起きればあれこれやることは待っているのだが・・・、そんな気分を抱きながらのひととき 含蓄の一句。
・ 婚礼も間近に控え師走かな
〜この忙しい時期に、尚更せわしい婚礼。忙しさを「婚礼」で表現した手柄の一句
私の投句
* 師走の空一歩を競ふ交差点
〜季語「師走空」を敢えて字余りにしてみた。「師走空一歩を競ふ交差点」ではリズムに乗りすぎて味わいが薄くなる。日頃でも青信号を待ちわびるが、年末は一層焦る気分が募る。
* 十二月一円コロコロレジの前
〜諧謔の句。年が押しつまってくると、少額ながら出費も嵩む。一円も塵も積もれば〜であるけれど、すぐに財布がやせ細ってゆく。一円でも不足すると物が買えない。原句は「十二月逃げゆくお金レジの前」であったが、これでは言いたいことを言い過ぎて味が落ちる。この時節お金の素である一円が頻繁に動いている様が伝わればそれでいい。レジの前で取り落とすと必死で逃げまくる、そこを擬態語に託した。
12/8 K俳句クラブ
句 会:兼題「マフラー」
五点句
マフラーをあれこれ吟味の鏡かな
〜店の試着室で選ぶひととき。
中七は字余りにしたくない。
添削例) マフラーをあれこれ選ぶ鏡かな
四点句
マフラーを嫁にもらいし香りよし
〜若嫁にもらって嬉しい気分がみえる。
説明調を避けたい。
添削例) 香りよきマフラー嫁にもらいたり
三点句
雪だるま赤いマフラー首に巻き
〜写生句。白と赤の対比の写生句。
詩的に表現したい。
添削例) 首に巻く赤いマフラー雪だるま
薄着でも毛糸のマフラー暖かく
〜あまり着ぶくれなくてもマフラーだけであたたかい気分。確かに・・・。
マフラー(冬)、暖か(春)の季重ねを避ける言葉はあるか、毛糸でなくてもあたたかい。
添削例) 薄着なるマフラーつけて颯爽と
マフラーをほおかぶりして畑仕事
〜写生句。畑の風は特別。顔まで隠して仕事に励む。
二点句
ふかぶかとマフラーでかくす身の疲れ
〜「身の疲れ」を人に知られたくない心理を詠う。であるから「ふかぶかと」が極めて効果的。
中七の字余りを改めたい。
添削例) 疲れたる身をマフラーで深々と
マフラーや海辺にひとりほつれ髪
〜自分の句。
花柄のマフラーもらい笑みうかぶ
〜きれいな模様のマフラーをもらって思わずニッコリ。
「笑みうかぶ」が説明的。
添削例) 贈られしマフラーうきうき花模様
風に乗りマフラー押さえ走りゆく
〜写生句。風に追われて走った場面。
それだけのこと。興味を惹く物事がない。急ぐ場面であれば、
添削例) 風に乗りマフラー外し走りゆく
私の選句
・ふかぶかとマフラーでかくす身の疲れ
・雪だるま赤いマフラー首に巻き
私の投句
*マフラーや海辺にひとりほつれ髪
〜海を見つめる一人のマフラーの女性。こんなところに一人何を思っているのだろうか、人生を思い巡らしているのかそれとも失恋なのか?と想像をかきたてる。「ほつれ髪」で女性を示す。
*岸壁のマフラーの女(ひと)立ち上がる
〜波止場にしゃがんでいた女性が、ふと立ち上がった瞬間を活写。立ち去るのかそれとも海へ身を・・・、そのあとの動作に興味をそそる。
12/22 K俳句クラブ
句 会:兼題「クリスマス」
三点句
白髪でも楽し嬉しのクリスマス
〜年を取ってもなんとなくウキウキ感は漂う。白髪でも の「でも」が説明調。一人でなく夫婦でも良い。
添削例) 共白髪楽し嬉しのクリスマス
舞う雪の寒さ忘れるクリスマス
〜雪で寒いのだが、クリスマスの雰囲気が溢れて気分がいい。「寒さ忘れる」が説明調。
添削例) 浮き浮きと雪の舞いちるクリスマス
二点句
クリスマス町ゆく人は急ぎ足
〜年が押しつまった時季のクリスマス。気忙しい感じも良く出ている。主題は「クリスマス」であるが、こんな詠い方もある。
サンタまでカーナビ付けたソリに乗り
〜サンタは実は親。車をソリになぞらえてうまい。説明調「まで」「付けた」を改めたい。
添削例) カーナビのソリでひそかにサンタ様
大ばばもケーキ囲みてクリスマス
〜大婆=祖祖母。四世代家族の風情をうまく表現している。
私の選句
・サンタまでカーナビ付けたソリに乗り
〜新しい発想。
・サンタさんきつといるよねお母さん
〜幼時から低学年までの子供が抱く疑問。成長につれてそれが膨らんでいくけれど、プレゼントが嬉しいことには変わりがない。
類句は多いと思う一句だが。
私の投句
*ウソつきはいけませんよとサンタ様
〜子供たちにはいつも「ウソをついたらいけません」と教えているが、実は子供にはサンタクロースのウソを教えている。でもこれは子供の夢を与えるため。軽く「ウソ」をテーマにしたもの。
*仏壇にケーキを供へクリスマス
〜日本人は都合に応じて、神や仏を崇める習性が染みついている。多くの家庭は仏教であり仏壇があるので、キリストの祝いであっても仏壇に供えて平気な顔をしている。これが普通である。