朝日俳壇2/6


選者
の〜選句

朝日新聞の毎週月曜日。文芸欄ー俳壇を四選者が担当している。金子兜太・大串 章・長谷川櫂・稲畑汀子の四氏である。
掲載する以上、学ぶ値打ちがなければならない。7/18号より俳界の力量を誇る金子氏、大串氏に学んでゆく。
10句を入選とし、そのうち一席、二席、三席、次点 の秀逸句に寸評を加えている。
選句=創作でもある。

大串 章・選

@吹雪くごと日々俳諧に向ひをり
寸評)ひたすら俳句に打ちこむ毎日。「吹雪くごと」が闊達自在な俳諧心を感じさせる。

A雪女郎オートロックを抜けて来し
寸評)伝説的な雪女郎と現代的なオートロックの取り合わせが巧み。

B思ひ出を蒸発させて日向ぼこ
寸評)無念無想の日向ぼこ。「蒸発させて」が面白い。

C耳二つ離島の如く悴めり


D蝋梅の雨にその色溶けぬかと


E受験子の眼にエール贈りけり


F恐らくは家出少年息白し


G行商の荷を覗く子や日脚伸ぶ


Hガイドより綿虫先に来てをりぬ


I氷柱にも暮しの色が染みてをり


★10句の中の私の眼

☆B思ひ出を蒸発させて日向ぼこ
      〜「蒸発させて」無になった心境。
  
☆A雪女郎オートロックを抜けて来し
   〜さすが現代風「オートロック」。

☆E受験子の眼にエール贈りけり
   〜エールはメール。



金子兜太・選

@冬の蜂よくぞ手帳の日だまりへ
寸評)「よくぞ」などと修辞巧み。句材はどこにでもあるものだが。


A冬枯や耐える列島くの字なり
寸評)おだやかな句柄だが、いまの時どの言葉もきびしくひびく。


B大空に凧の澄み処(ど)の今に見ゆ
寸評)大空に澄みきった凧。


C熱燗や声に傷ある男達


Dたく刑のごと吊革に着膨れて


E大寒の波はむらさきがかる音


F姉といふ母に似しもの寒卵


G乾杯には間に合う男寒鴉


Hふと窓に寒月ふと片手あげ


I深雪晴待ちに待つたり岩見沢
寸評)郷土の暮らしをどしどし句にされよ。


★10句の中の私の眼

☆@冬の蜂よくぞ手帳の日だまりへ
   〜意表を突く「手帳」。
  
☆A冬枯や耐える列島くの字なり
   〜「くの字」に激痛を耐える様。

☆B大空に凧の澄み処(ど)の今に見ゆ
   〜日本列島どこに住んでいても放射能汚染を疑う昨今、凧を揚げた空を見つめて澄んでいてほしい、とのアイロニーを感受     する場面。