その1−1
『小さな恋』

光一くんと由香ちゃんは習字にかよっている。二人には可愛い妹がいて一緒に習字をしています。光一くんの妹は美紀、由香ちゃんの妹はあゆみ。
由香はおしゃべりなのでいつも文字を書きながら光一に話しかける。光一も由香のことが好きなので書きながら返事をする。
「きょうねー、クラスのルミちゃんがねーお菓子をくれたの、私が友チョコあげたのでそのお返しなのよ。一つあげるね」
由香が一つさしだした。
「うん、うれちいなぁ由香ちゃんがくれるものは何でもうれしいよ」
光一は一口でパクリと食べた。
「じゃぁ今度私がお菓子作ってあげるわ」
「うん、由香ちゃんが作ってくれるんだったら何でも食べるよ」
美紀「でも甘い物はだめだよ。兄ちゃんはお肉とかお菓子とかが好きだから、太ったんだから」
妹の美紀が言った。
由香はお家に帰って考えた。
そうか、少し細くなってもらおーっと……甘くないお菓子を考えた。
材料は次のとおり
小麦粉、パン粉、卵、ごま塩、とうがらし、しょうゆ
これらを混ぜ合わせて一つ一つウサギの形にしてオープンにかけるとふっくらとしたかわいいうさぎのできあがり〜
妹のあゆみは、宿題もしないで一生懸命なお姉ちゃんに驚いている。
習字の日がやってきた。
「光一くん、私の手作りのお菓子だよ」
「えーっ、うれちいな由香ちゃん大好きだー、好きだー愛してるよー!」
光一はワクワクしてお菓子を受け取った。お菓子を五つもらった。
パクッ、と口に入れた。
「ウウーッ、おーいーしーい」
顔がゆがんで思わずこぶしで机をたたいた。
「兄ちゃん、無理しないでよー」
妹の美紀がさけんだ。
「全部食べてよ、また作ってあげるから」
光一の顔に汗がにじんできた。自分のために一生懸命に作ってくれたんだから無理をしても食べなければ由香ちゃんにきらわれたらこまる。でもこんなにまずいものを食べるのは生まれて初めてだ。
「ウウーウウーッ、モグモグモグモグ」
三つ、四つと胸がつかえてはきそうになるのをこらえて五つ目を口に入れたとき光一は気を失った。
由香は喜んでもらってとてもうれしかった。さっそくバケツに水をくんできて倒れている光一くんの顔にぶっかけた。
「ザザーッ」
フーッハヒハヒハヒ、と目をあけた。
「由香ちゃん、おいちいおいちい。ぐえーっぐえーっ」
と言いながら起きあがった。
「そんなにおいしかったら、また作ってあげるね」
その言葉をきいた光一はまたバターンと倒れた。
その時、光一の体が少しほっそりとなってるように見えてきた。
それを見た由香はまたムクムク、ムクムクとファイトがわいてきたのだった。