ニューフェイス短歌


                                   人生の歌

                                                                              


 私を支援してくれている名古屋の中年女性。忙しいのでなかなかゆっくりたしなむ暇がないという。しかし一瞬にして十首は軽い作家。今のところ公募など見向きもしない。小説も充分書く力を持つ女性。
ときどき忘れた頃にメールで送ってくるので、これから掲載していきたい。


3月18日・着

ありし日の母言ひにけり淡々と地獄極楽この世にありと


北陸の惨状見れば遠き日に戦火逃れし父母を偲びぬ


安息の土地を求めてたどり着く山の麓の開拓原野


草を刈り木を切り倒し株を掘る父の背中を今も忘れじ


子に飯を腹いっぱいに食はせたい父が答へし入植理由


開拓の二文字をやっと受け入れて我が物とする父母逝きてのち


ふるさとが平和に見ゆるとメールあり大揺れ続く都の地より


戦争があったからじゃと力無く笑ふ父あり土くれの中


☆亡き父母に寄せる痛恨の心情が心を打ちます。 



4月4日・着

救援の物資や義捐受けずして大地に生きし父母蘇る


空襲に追はれし親に連れられて幼き子らの物なき生活(くらし)


ふるさとはすでに安らぐ土地なくもたどりつきたる開拓原野


青雲の志持ちふるさとを出でしことなど父のつぶやき


空襲の大阪の街守(も)りし手に鍬を握りて硬き手となる


振り上げて打ち込む鍬にひとすじの希望の光父は託せり


容量を超えたる苦労をひいられし戦中生まれの戦後の育ち


4月12日・8:00着

父母送り3年経ちぬ還暦を過ぎし我今来し方思ふ


  々   ・18:00

南下する地震に心落着かず桜前線北陸あたり


止め方を知らず運転するやうな原発事故は収拾つかず


戦ひに破れし国を立上げて自然科学に怯えてをりぬ


ナミダとは波阿弥陀仏のことなりや北の惨事に諸手を合はす


思ひ切り咲いて散るべし桜花無念の思ひあふるる海に


☆地震も次第に南下しつつあります。


4月22日・着

矢面に立ちて数多のつぶてあり嗤わば嗤え誹らばそしれ


心根に荒びし思い引きずれるかの極貧の戦後の生活(くらし)


豊かさに驕る者への鉄槌は原始へ帰れ原始へ戻れと


風あれば安心したり怯えたり自分勝手な私を嗤う


寒き夜の布団に丸く縮まれば一つの胎児匂玉なれ


弥生なか梅満開に桃も沿う  きよし