朝日俳壇11/7
選者の〜選句

朝日新聞の毎週月曜日。文芸欄ー俳壇を四選者が担当している。金子兜太・大串 章・長谷川櫂・稲畑汀子の四氏である。
掲載する以上、学ぶ値打ちがなければならない。7/18号より俳界の力量を誇る金子氏、大串氏に学んでゆく。
10句を入選とし、そのうち一席、二席、三席、次点 の秀逸句に寸評を加えている。
選句=創作でもある。
大串 章・選
@小鳥来て心の鈴を鳴らしけり
寸評)季節をたがえず飛んできた小鳥を見て、心に響くものがあったのだ。
A今年また団栗に描く夫のかほ
寸評)俳諧味横溢の一句。
・ありきたり。
B制服を腕まくりして秋麗
寸評)「制服」を腕まくりしているところに、蛮カラな校風もうかがえる。
C露の身のまだ励まねばならぬこと
D黙示録心に風のしむごとく
E鯊船を避け鯊船の行きにけり
F秋麗に発車のベルの音はなく
G秋夕焼雲のゴンドラ浮かべては
H廃屋に柿もぎにくる娘かな
I十三夜十字架高くありにけり
★10句の中の私の眼
☆@小鳥来て心の鈴を鳴らしけり
〜小鳥の声を「心の鈴」としたうまさ。
☆B制服を腕まくりして秋麗
〜男女いずれでもいい。「うでまくり」のひねり。
☆C露の身のまだ励まねばならぬこと
〜たった一度の人生、の宿命をかかえて欲望は尽きない。
金子兜太・選
@毛虫焼くサンダル穿きの山の神
寸評)「サンダル穿き」が気が利いていて、山の神も御赤面か。
A歩き出しさうな案山子の一途なる
寸評)案山子も使命感を持っているのだ、と言いたい作者。
B玉入れの玉のぶつかる天高し
寸評)玉入れの語感澄む。
C頼りなき色を色とし藤袴
D代役の女形大うけ村芝居
E診察に稲刈りのこと聞かれけり
F寒露なり旧鉱山に芝居小屋
G朝市の葱玲瓏と荒むしろ
Hそれぞれに常の場所ある夜長かな
I放屁虫確かに主張致しけり
寸評)上五が少し平板だが、今次大震災に向かう意気込みを。
★10句の中の私の眼
☆@毛虫焼くサンダル穿きの山の神
〜サンダル履きの人が、山の神に成り変わっているところが面白い。
☆A歩き出しさうな案山子の一途なる
〜稲雀が来ている 案山子の立場になっているところ。
☆Hそれぞれに常の場所ある夜長かな
〜「常の場所」は、家族の中のそれぞれ、更にそれぞれの家庭の過ごし方など想像が広がる。