朝日俳壇4/4



選者
の〜選句

朝日新聞の毎週月曜日。文芸欄ー俳壇を四選者が担当、金子兜太・大串 章・長谷川櫂・稲畑汀子の四氏による。
10句を入選とし、そのうち一席、二席、三席の秀逸句に寸評がある。
選句=創作でもある。これらから選者の力と俳風も見えてくるかどうか?


大串 章・選
@剪定や刃物の如き風の中
寸評)作者は岩沼市の人。葉書の消印は三月九日。「刃物の如き」震災に耐えられたことを祈るのみ。

A人間の覚悟とはるる春の地震  
寸評)明治三陸地震以来の大地震。改めて人間の覚悟が問われる。

B耕して耕して母死ににけり
寸評)生涯「耕し」続けた母の強さを思う。

C放心の春田津波のなすままに
・平凡

D蛇穴出でて飢餓海峡を泳ぎきる 
・平凡

E今は好まずぶらんこの揺れさへも
・平凡

F校庭の焚火を赦す余震かな
・不明

G白子干鯨の如く食ひにけり
・平凡

H大潮に島の若布の揺らぎをり
・駄句

I次の句を未だ知らざる朧かな
・駄句


★10句の中の私の眼

☆B耕して耕して母死ににけり
   〜耕しの反復。推量すれば、一つ目=田畑 、二つ目=生活 含蓄に富む秀句。
  
☆A人間の覚悟とはるる春の地震
   〜意図的にリズムを欠いてるが、「とはるる」が説明調。人間の覚悟や春の大地震 とかなんとか・・・。

☆@剪定や刃物の如き風の中
   〜寸評によれば作者の行方が案じられる。



稲畑汀子・選

@よく喋るしかし美人でシクラメン
寸評)一人の女性の印象を端的に述べて心地よい。シクラメンが効いている。
・「よく喋る」を先に置いているので、美人で淑やか(おとなしい)印象とは観賞できない。

A明日もまた登って来いと山笑ふ 
寸評)春の息吹を感じる季題の山笑うが妙。

B下萌の力大地を押し上ぐる
寸評)大地を押し上げて草の命が目覚める春である。力強い印象を読者に与えてくれる秀句。

C下りること忘れしごとく揚雲雀
・平凡

D山茱萸の黄や上棟の槌の音
・駄句

E逃げ終へし命を包む毛布かな
・平凡

F被災地に手を差し伸べん涅槃の日
・平凡

G天変に春星仰ぎ深悼す
・平凡

H眼差しのいつも吉野へ花衣
・駄句

Iクロッカス咲いて空地でありしかな
・駄句


★10句の中の私の眼

☆B下萌の力大地を押し上ぐる
   〜観念的な描写であるが、許容範囲?
  
☆A明日もまた登って来いと山笑ふ
   〜取り合わせ の多い中でめずらしい。

☆なし
   

金子兜太・選

@啓蟄や僧裸足にて脱兎如
寸評)穴を出る生き物のように僧も元気活発。

A杉花粉会へば涙と鼻汁(ぐち)ばかり
寸評)身の上話も長々と。

B八十歳昔覚えし卒業歌
寸評)「八十歳」が効く。
・平凡

C煙草吸ふ故に我有り真冬哉

D信長も秀吉も嫌桜餅
・由来がわからないので観賞できないが、良さそうな感じ。

E父怖き膳に浅蜊のかち合へり

F啓蟄の山は和尚と私ども
・平凡

G夜蛙や子らまつはりし頃の夢
・「夜蛙」とは?

H雪とけて村一ぱいの休耕田
寸評)一茶の「雪とけて村いっぱいの子供哉」本歌取り成功。
・本歌取りは好みでないが、謂い得ている。

Iやなぎの木ふじさんじつとながめてる
寸評)小学二年生。
・期待が膨らむ。


★10句の中の私の眼

☆@啓蟄や僧裸足にて脱兎如
   〜臨場感たっぷりの秀句。
  
☆A杉花粉会へば涙と鼻汁(ぐち)ばかり
   〜女性はいかなる境遇にあっても「おしゃべり」は事欠かない。それで長生き・・・。

☆E父怖き膳に浅蜊のかち合へり
   〜お箸が震う、やや滑稽も含む。

☆C煙草吸ふ故に我有り真冬哉
   〜喫煙者はますます窮地・極寒の体。

長谷川櫂・選

@草餅や一つは妻の帰り待つ
寸評)妻のために草餅をひとつ残しておく。それを「帰り待つ」といった。自分の気持ちでもある。
・平凡

A亀鳴くや一人のるすの時になく
寸評)留守番の静かな、淋しいような時間。どこからか亀の声が聞こえてきそう。

B料蛸や句会中断大地震
寸評)漢字の迫力が生きている。
・平凡

C亀にのり来よと文あり桜貝
・駄句

D酔漢のごろ寝のやうな桜餅
・駄句

E古備前の皿に目張のはじけたる
・駄句

F松島や花見を前に大津波
・平凡

G昼は畑夜は大脳耕せり

Hこつぱから生れし佛春を笑ふ
・平凡

I朝俳の選者に付けよ杉花粉
・この選者には既に付いている?。心意気は大切に精進してほしい。

★10句の中の私の眼

☆A亀鳴くや一人のるすの時になく
   〜発想の妙。平凡を脱している。
  
☆G昼は畑夜は大脳耕せり
   〜私は畑だけ耕しているから、汗駄句駄句・・・。

☆なし