朝日俳壇8/1
選者の〜選句

朝日新聞の毎週月曜日。文芸欄ー俳壇を四選者が担当している。金子兜太・大串 章・長谷川櫂・稲畑汀子の四氏である。
掲載する以上、学ぶ値打ちがなければならない。7/18号より俳界の力量を誇る金子氏、大串氏に学んでゆく。
10句を入選とし、そのうち一席、二席、三席、次点 の秀逸句に寸評を加えている。
選句=創作でもある。
金子兜太・選
@蠍座の尾が入りけり燧灘(ひうちなだ)
寸評)力みすぎて道具立て揃いすぎの印象もあるが、中七に潮の香濃く、且つ艶。
・鑑賞不能.。獰猛なサソリが灘の水平線に尾を浸している壮大な光景。しかし、艶っぽさは感じられない。イメージで何を表明しているのか、私の感性は及ばない。
A兵志願全裸とされし昔あり
寸評)バカバカしく残酷だったあの時代。
・平凡、類句多し。
B夕立の匂ひが先にやって来し
寸評)乾いた大地に。
・平凡、ただごと。
C走馬燈どこへも行けぬもの回る
・意味不明。走馬燈は回るもの。
D今日もまた避難の日なり夏落葉
・平凡
Eかくの如き大夕焼に我執去る
F汝が影も吾が影も汗拭ひをり
G延々と老の二人の蓮物語
H力こぶみたいな草や夏盛ん
・特異な表現。それだけのこと。
I俳諧は奇襲戦法羽抜鳥
寸評)奇襲の断定は少し強引だが、ためらいがちに。
★10句の中の私の眼
☆Eかくの如き大夕焼に我執去る
〜ひとときの、一期一会の変幻に見とれて脳みそは空っぽになる。
☆I俳諧は奇襲戦法羽抜鳥
〜意外性を求めるがなかなか〜。奇襲戦法もうまくいかない現実。
☆F汝が影も吾が影も汗拭ひをり
〜どこもかしこも汗、猛暑。うまく影を捉えた。
大串 章・選
@雲の峰牛の張り付く大カール
寸評)広大な山地の窪みに、牛が張り付くように散らばっている。スケールの大きな句。
A花街や流儀あるごと水を打つ
寸評)袂を左手で押さえ、たおやかに水を打つ。「流儀あるごと」が見所。
Bプールの子みんな潜りて水平ら
寸評)歓声も水しぶきもさっと消える。「水平ら」が的確。
C若竹の篩(ふる)ふ光と風を浴ぶ
・「浴ぶ」は「こゑ」の方が。
D蝉白く地球を歩み始めけり
E炎帝に灼かれし風の纏ひつく
・やや理屈っぽい。
F雪渓は青春のごと輝けり
・当季を詠いたい。
G海の日や山国生まれ山育ち
H舟降りて鬼灯市の中にをり
Iさりげなく婆に席立つサングラス
★10句の中の私の眼
☆@雲の峰牛の張り付く大カール
〜山稜の窪地に放牧牛。ほとんど動かない景を「張り付く」と観たところがうまい。「雲の峰」「大カール」が付き過ぎではあるが・・・。
☆A花街や流儀あるごと水を打つ
〜京都辺りでは、古来の風物が残る、貴重な風情。
☆Bプールの子みんな潜りて水平ら
〜捉え所がいい。
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