朝日俳壇9/26




選者
の〜選句

朝日新聞の毎週月曜日。文芸欄ー俳壇を四選者が担当している。金子兜太・大串 章・長谷川櫂・稲畑汀子の四氏である。
掲載する以上、学ぶ値打ちがなければならない。7/18号より俳界の力量を誇る金子氏、大串氏に学んでゆく。
10句を入選とし、そのうち一席、二席、三席、次点 の秀逸句に寸評を加えている。
選句=創作でもある。

大串 章・選

@西鶴忌地球忙しく回りけり
寸評)矢数俳諧で一昼夜23500句詠んだという井原西鶴。ちょっと急がしすぎはしないか。

A手に稲穂のせて刈る日を決めてをり
寸評)稲穂を手に乗せ、刈る日を丁寧に吟味している。鋭い眼差。

B雲はまだ嶺を崩さず秋暑し
寸評)真夏と同じように雲の峰が輝いている。まさに秋暑し。
・やや平凡。

C大夕焼奈落の底の我と知り


D初嵐転校生の多くして


E台風の経済効果論ずる子


F稲の花僅かばかりの命かな


G北よりの葉書に秋の声のあり


H雨さへも爽やかにして旅の朝


I絢爛と芒輝くとき来たる


★10句の中の私の眼

☆@西鶴忌地球忙しく回りけり
   〜多作自慢。たぶん季語も春夏秋冬駆けめぐったことだろう。
  
☆G北よりの葉書に秋の声のあり
   〜長い列島。北海道と沖縄の季節の運行は一ヶ月ずれてしまう。

☆A手に稲穂のせて刈る日を決めてをり
   〜ふっと見かけた光景が佳句を生んだ。



金子兜太・選

@阿蘇寝釈迦なんでもない夜の虫しぐれ
寸評)中七のとぼけた言い方が来て、寝釈迦のおわす阿蘇の広大な秋夜が伝わる。


A船旅や完全無欠天の川
寸評)この句も独自なひと言「完全無欠」。


Bゆふされば月撮る妻のかひな哉
寸評)「月撮る」がもたらす現代味。


C山からも津波襲いし野分かな


Dはにかみも死語となりつつ白露かな


E夏草や一村去りし被爆の地


F地震の地の月光白し真つ平


Gひっそりと無花果を煮て店を閉づ


H野良猫の潜むゴーヤの日陰かな


I素振りして手に豆つくる子規忌かな
寸評)とにかく子規といえば野球だ。


★10句の中の私の眼

☆@阿蘇寝釈迦なんでもない夜の虫しぐれ
   〜「なんでもない夜」の措辞。なんでもない ようだが実感がある。
  
☆A船旅や完全無欠天の川
   〜まさに船上では障害物がなく、一望にくっきりと天の川。

☆Bゆふされば月撮る妻のかひな哉
   〜万葉ことば「ゆふされば」と「月撮る」の面白い噛み合わせ、焦点を「かひな」の意外性。