山日記 | |
山に明け暮れている | 私の人生。 |
私の青春。 | 私の足跡。 |
私に残されているものは | 私の存在。 |
私が書いた山日記。 | それ全部の証しは |
それ全部が | 夫と |
私の青春。 | 子供と |
1975年1月 | 友達と |
山日記。 | |
2002年6月 | |
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高尾山に想う | |
明るい陽気な顔の中に、さびしい心がある。 | 最初に登ったのが、中学の学校登山での高尾山。 |
だれにでもある。 | 成人式に列席しないで、初めての単独行での高尾山。 |
人に忘れられるのを、こわがる人々。 | きっと、寂しそうな、悲しそうな顔をしていたのでしょう、 |
独りになるのを恐れる人々。 | 父子連れに出会い、父親に言われたのでしょう、子供が私にチョコを |
私も人々の一人。 | 持ってきてくれました、「どうぞ」って。 |
あたたかい心にふれると、おもわず嬉しくなる私。 | |
1971年1月 | |
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山 | |
あなたのどこに魅力があるのですか? | |
若者達の心を引きつけ、離さない、あなたの魅力。 | |
若者達は、あなたの魅力を話してくれない。 | |
いいえ、話せないだけ。 | |
若者達はさがしている、 | |
あなたの魅力が、どこにあるのかを。 | |
本当に気まぐれな、あなた。 | |
若者達に、微笑みかける時もあれば、 | |
帰らぬ人さえにもしてしまう。 | |
でも、私にとっては、いい友達、あなたは。 | |
あなたに会いに行く時は、不安だけど、 | |
さよならする時は、なぜか、心が軽やかになる。 | |
それでも、あなたのどこに魅力があるのか、 | |
私には、わからない。 | |
1972年1月 | |
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登山行為 | |
登山行為は、 | 安川 茂男著 |
決して冒険的では、あってはならない。 | 「岩と雪の悲劇」全5巻・「山への祈り」・「チンネの星」 |
それは、自然の偉大さと、美しさと、 | 群馬県警察本部編「この山にねがいをこめて」 |
人の弱さを認識し、 | 富山県警察本部編「この山のあふれる誓い」 |
なおかつ、人の持つ、 | 長野県警察山岳遭難救助隊編「アルプスに賭けて」 |
勇気と協調性を知るべきである。 | 信濃毎日新聞社「この山なみの声」 |
佐藤 鉄章著「ある高校生の冬山遭難」 | |
山で人生をなくしてはいけない。 | |
なぜなら、それは、決して美しいものではないから。 | |
1973年6月 | |
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山に登る | |
ピーク目指し、山から山へと、 | |
長い長い道を歩き、疲れたら休めばいいさ。 | |
一人歩きを楽しみ、二人歩きもまた、良しとする。 | |
気のあった仲間で行くのも、又、楽しい。 | |
雪をこよなく愛し、冬山にはへばり、 | |
吹雪には、涙を流し、 | |
布団を恋しがって、ふるえている。 | |
春山の新緑にあこがれ、 | |
夏山の自由な山歩きを楽しみ、 | |
秋山の紅葉に心を奪われ、 | |
冬山の雪に泣く。 | |
1971年頃 | |
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単独行者 | |
それは、孤独をこよなく愛する人種。 | |
一人ぽっちで、自由に夢を追い続ける。 | |
それなのに、 | |
とても弱虫で、 | |
そして、 | |
さびしがりや。 | |
一人になりたくて、山にきたのに、 | |
人一倍、人を恋しがっている。 | |
1974年10月 | |
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山の四季 | |
春の山 | 秋の山 |
新芽の青々とした、 | 山肌は、真っ赤に燃え、 |
やさしく目にうつる緑。 | 山道には落ち葉がかさなり、歩くたびに |
太陽はあたたかく、身をつつみ、 | ものさびしい音がする。 |
山は、やさしく迎え入れる。 | 冷たい太陽に、寒さが身にしみる。 |
夏の山 | 冬の山 |
緑は濃くなり、山道には、 | さかえた頃の、 |
色とりどりの花が咲き乱れ、 | けがれを雪の下にかくし、 |
太陽は頭上から、がんがんと照りつける。 | 人をよせつけぬ、 |
登山者は、こころよい風と、 | きびしい姿にかわる。 |
冷たい水が、この上ない、 | 太陽も人を見放し、 |
おくりものと、思っている。 | 雪はようしゃなく、降りつづける |
そして、 | |
ひたすらに登る者達。 | |
1970年11月 | |
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鹿島槍ヶ岳の想い出 | |
陽の出と競争し、 | 山の本当の美しさを、 |
頂上直下で負けてしまったあの頃。 | 教えてくれた時の鹿島槍。 |
白馬が見え、 | ガスに包まれながらも、 |
槍が遠くにあり、 | 13人の仲間と騒いで登った時の鹿島槍。 |
剣が真正面に見える鹿島の頂き。 | 連日、雨の為、 |
その頂きに連ねる峰々に、 | 縦走が思うように行かず、 |
陽が徐々に照らしはじめる。 | それでも、なんとか五竜からたどり着き、 |
山が染まる。 | うれしさが、心からわき上がった時の鹿島槍。 |
陽の色に染まる。 | そして、冬の鹿島槍に憧れて、 |
ピンクからオレンジヘ、 | 種池小屋をベースに、 |
そして、陽の下の方には真っ白な海。 | 寒さをしのぐ為、中でツエルトを張り、 |
富士の島がはるか遠くに望まれる。 | 念願かなって、銀世界の時の鹿島槍。 |
そんな、鹿島槍だから、 | |
私にとっては、心の山、想い出の山。 | |
1976年12月 | |
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