楽器の対比

 日本の伝統音楽に用いられている楽器は、大部分その源が外国にある。
 日本に伝来すると、日本の国民性に合致するように改良され、日本の楽器となった。
 したがって日本は東洋の種々の楽器の終着点のようなものでありが、反面日本独自の楽器はほとんど残らなかった。






T 弦楽器

 一般に弦楽器は、形態上からチター属、リュート属、リラ属、ハープ属の四種に分けらているが、日本にはチター属とリュート属が大部分で、和琴、箏、琴などは前者に属し、雅楽の琵琶、三味線、胡弓などが後者に属する。

 日本の弦楽器の特徴として、音程は自由であり、押し方によって微妙な音程調節が可能である。
 また、バチさばきなどによっても多彩な音の変化が可能である。






U 管楽器

 管楽器は普通木管楽器と金管楽器に分けられるが、日本の伝統音楽においては金管楽器は全く用いられず、木管楽器といっても竹を材料とするのが主である。
1.縦吹き……尺八、一切節など
2.横吹き……篠笛、能管、龍笛、狛笛、神楽笛、明笛など
3.リードのあるもの……篳篥、笙など
4.ラッパの類……法螺貝など

 西洋管楽器は円筒形か円錐形で、ベルと呼ばれる先端は広がっていて、よく響くように作られている。
 音程が決まっていて、それに対して日本の管楽器は、母音の歌い回しが出来るよう、音程が定まっていない。






V 打楽器

 日本で用いられてきた打楽器の特徴は以下のようなものである。

  • 音高を問題にしないものがほとんどで、リズム、音色を重視している。
  • 「掛声」を伴う場合が多く、これが重要な意味を持ち、音楽の構成要素の一部となっている。
  • 手で打つ場合は、片手を用いるのに限られ、桴で打つ場合は手を併用しない。
  • 打楽器を主体とした合奏形態を作っている音楽がある。

 西洋の打楽器は叩いた瞬間の響きが極めて大きく、そのように作られ、または改良されている。
 これに対して日本の打楽器は打撃音が小さく、胴は中膨らみか円錐形でよく響くようになっている。

 また、西洋にある鍵盤楽器に相当する楽器は、日本の伝統音楽にはない。






W 特徴の対比

 西洋楽器の特徴
 1.子音の発音がハッキリ出て、力強い
 2.音量が大きく、音域が広い
 3.音の移行に自由が利き、音程がよい
 4.より、直接的に感情表現ができる

 和楽器の特徴
 1.“揺”や“送り音”など母音の歌い回しが出来る
 2.音圧が低く減衰が激しい(余韻、間の表現が出来る)
 3.音の立ち上がりが弱い


 日本の音楽の表現というのは、感情を込めるのに音量ではなく音を潰し、内なる感情を込めて、遅ればせに発音する傾向がある。
 そしてフレーズを中膨らみにし、語尾を細めたり曖昧にして、全体の表現を押し殺す表現をする。
 その為、日本の楽器の傾向として、どこか陰鬱な音色の楽器が多い。

 それに対して西洋は、より感情を明確に表現する為に、音の立ち上がりがよく、明朗な音色の楽器が好まれたようである。