17 AGAIN  by EURYTHMICS
(17 AGAIN / ユーリズミックス)

〜なつかしの名曲との粋な関係〜



 Eurythmicsが解散してからしばらく、アニーだけをよく見るようになった。アニーの存在感はなんと言ってもあの爬虫類のような目にあるが、ソロのビデオクリップの中でも目が異様に語っていた。

 再結成後のアルバム「Peace」は、以前のEurythmicsのサウンドに比べると随分と深みを増したと思う。リバーブやコーラス系のエフェクトが主旋律にも多用され、「売れる定石」の路線を大きく踏み外していないと感じられる。古くからデジタルサウンドを駆使し、その先駆的な曲を作り上げてきた彼らであるが、たとえば「Sweet dreams」の挑戦的なベースの旋律に見られるような一種の「冒険」はこのアルバムでは感じられない。さすがのアニーも老いたのだろうか。その歌詞の内容も落ち着きを見せ、音楽を通して彼らが伝えたいことが変化したのだなと思う。従前のEurythmicsとは明らかに違う。

 新しいアルバム「Peace」で最もヒットし、シングルカットされている曲は「I Saved The World Today」であるが、僕が一番好きなのは一曲目の「17 again」である。Eurythmicsの有名なヒット曲「sweet dreams」の歌詞のなかに「・・・sevenseas・・・」という一節があるのだが、声に出してみると分かるが「17 again」の「seventeen」は、sweet dreamsの「・・・seven seas・・・」に掛けている。歌詞も、彼らの全盛期であった「sweet dreams」の頃を思いながら書かれているのがわかる。後半では「sweet dreams」の歌詞が、メジャーコードのこの曲にのせて歌われるのだ。過去のヒット曲を密かに盛り込むなんて、なんと粋なことをするのだろうかと、思わず唸った。

 きっと、Eurythmicsの二人が若さにまかせて突っ走ってきた過去の時間を、この曲に託したのだろうと思う。

 

Produced by TThara

戻る

トップページ(ミクロ・コスモス)に戻る