八ヶ岳/阿弥陀岳/広河原沢3ルンゼ
(2001.12.8)
メンバー:鈴木、原
(ARIアルパインクラブ)

 シーズン初めは例年八ヶ岳に入ることにしているが、今年はそれも飽きたので12月は谷川かな〜などと漠然と思っていた。でも、なんとなく谷川に向かうモチベーションも準備もできず、考えてみたら八ヶ岳にもまだまだ登りたいルートがあったので結局八ツで年末へのトレーニングを積むことにした。

 狙うは広河原沢の3ルンゼ。広河原沢や立場川本谷にはまえから一種の「憧れ」があり、入ってみたいと思っていた。と、スズテルも3ルンゼを狙っているということなので、それじゃあ組みましょう!ってな事になった。


<広河原沢から望む阿弥陀岳>
 2001.12.8 晴れ

 金曜日の夜は忘年会。日頃御世話になっている職場の仲間と一緒に飲むというのもサラリーマンにとっては大切な事象であり、また、酒を飲み始めると一番騒ぐのは僕だったりして、結局帰宅は24時前。急いで支度をし、1:30頃にスズテル邸に到着。週中、仕事がハードでほとんど寝ていなかったこともあり、直ぐに運転を交替してもらう(テル君サンキュですm(__)m)。そのまま舟山十字路へ。4:00過ぎ到着。舟山十字路まではほとんど着雪しておらず、スムーズだった。
 少しばかり仮眠し、明るくなる直前にむっくり起きだし、準備をする。今週末は寒気が入るとのことで、冷え込みは覚悟していたが、やっぱりかなり寒かった。天気はまずまずのようだ。

 さあて、行きますか、とインナーブーツのヒモをしめると、

「ブチ!」

 という鈍い音とともにインナーのガイドが取れた。・・・・。又か・・、これで三回目だ〜。コフラック・バーチカルめ〜!!
 思いっきりクレーマーと化してコフラックをいじめてやりたかったが、舟山十字路くんだりで一生懸命毒を吐いてもコフラックの担当者がモミ手をしながら菓子折を持って現れる訳もなく、しょうがないからゆるゆるのインナーのままで行くことにした。かかとが5cmも上がるプラブーでアイスクライミングするなんて・・・、哀れ・・。

 赤岳鉱泉まで一気に行く予定だったので、フル装備を詰め込む。当然それなりの重さになり、こんなんでアイスクライミングをするのか〜、などとブルーになるが、ま、年末山行のトレーニングと思えば前向きにになる。長い広河原林道を徒歩で進む。途中に何台か車が止めてあり、我々ももっと奥まで車で入りたかったと思うも、美濃戸からのタクシーはさすがに舟山十字路より先には入ってくれないだろうとあきらめる。林道上、雪はスネくらいだった。木曜日から金曜日にかけての冬型+南岸低気圧で結構雪が降ったようだ。

 林道を過ぎると山道になる。広河原沢本谷沿いの道は、踏跡もマーキングも豊富で迷うことはない。河原の中を歩いたり、側壁沿いを歩いたりしつつ行くと、広河原沢中央稜取り付きの道標を過ぎ、やがて右俣出合にたどり着く。クリスマスルンゼなどがある右俣は真右に折れる感じ。3ルンゼ方面は若干傾斜の強めの左側の沢。ここでギアとアイゼンを装着する。今回は久しぶりに縦爪を持ってきた。


<チンケなゴルジュ状の滝>
 さて、更に遡行を続ける。雪は多いが水流も多く、本当に凍っているのか不安になる。小さな滝を高巻いたり、ところどころアックスをふるいながら進むと、やがて右に10mX−くらいの滝がある二股に出る。これは上に向かって左側のチンケなゴルジュ状の小滝(5m)を行くのが正解(テル君が正解だった・・・)。右側の滝の方が立派で思わず取り付きたくなるが、そっちは行き詰まるらしい。ゴルジュ状の滝は半分くらいしか凍ってないが、なんとかアックスは刺さる。ここであまりにかかとが上がるので、ガイドのとれたインナーブーツをテーピングで固定する。若干調子がよい。

 さらに進むともう一本右側にルンゼを分け、凍っていない滝を高巻きつつ、5m-(?)くらいの滝に当たる。これもあまり凍っておらず、ドライツーリングさながらモダンミックスの引っかけを交えながらクリア。上部はまったく雪がなくなるが、アックスを引っかける岩は豊富。

 両側はさらにゴルジュ様に切り立ってくる。息を切らしながらしばらく進むと3ルンゼの出合。これを右に折れ、一層傾斜の強くなったルンゼ内を進むと、少し切り立った2mくらいの氷瀑が見える。どうやら一発目のW+はこの滝で、週中の雪で下部が完全に埋まっている(jj)。アックスを二回くらい振るってクリア。

 週中の雪はルンゼ内を覆い、ここら辺からラッセルがきつくなる。3ルンゼに入っているパーティーがたくさんいたので助かったが、2人だったら死んでいただろう。まだ雪崩の心配はなかった。
 やがて核心にたどり着く。四段くらいのナメ状。これもW+とトポに書いてあるが、たしかに部分的に立った部分はあり、ザイルを出している先行パーティーもあった。疲れがたまった重い足に重いザックにテーピングでかろうじて固めたインナーブーツではなんとなく心細かったが、前を行くスズテルから「ザイルなくても大丈夫ですか?」と聞かれると、「うん、大丈夫!」と元気に答えてしまう。強力なパートナーだとこっちもパワーが沸いてくる感じで、よし!と気合を入れて氷瀑に向かう。登ってみれば大したことはなく、むしろ僕のプレデターだと氷が立っている方がささりが良いため、ナメチックなところのほうがノーザイルだと嫌だった。

 四段のナメを越えると広い二股。左側には8mくらいの氷柱がそびえており、大体X〜X+くらいだと思う。きわめてそそられるが、今の足回りと重たい荷物ではとても取り付く気にはならず、左側の細いナメに進む。Vくらいで抜け口だけすこし立っている。

 これを越えるとまた広い二股。今度は全体的に傾斜もある。頂上に抜けるには左側のルンゼを進むのが正規のルートのようだけど、先に行ったパーティーが深雪ではまっているのを見て我々は右に進む。右方向は南稜のP3ルンゼの入り口に出るトレース。我々は南稜を登って阿弥陀の頂上に立つことにした。
 まずはトラバース気味に右上し、ルンゼを一本越えて(このルンゼを詰めてはならない)、リッジ状を越えるとP3ルンゼに入り、南稜P3と南稜のバンドが見えるのでそれを目指して進めばよい。二足歩行で十分いけるけど、積雪が多い時には雪崩には注意すべき。

 さて、南稜P3ルンゼに入る。ここからは南稜のトレースなのでルートファインディングの必要はないけど、一応南稜の核心であるP3ルンゼであり、気を緩めるわけにはいかない。おまけにフル装備で氷瀑を登ってきた疲れた足である。実際、P3のクリアはきつかった。でも、二年前にきたときにはなかったしっかりしたフィックスがかかっており、若干安心だった、が、なんでバリエーションルートにこんなもん据え付けるのだろうという気がしないでもなかった。誰なんでしょう・・・、こんなものつけるの。

 P3を越えると晴れたパノラマが広がる。これまで切り立った蒼氷の世界にいたものだから、太陽の光と冷たい青い空に気分が良い。疲れた足を引きずりながら、休憩をいれつつP4をクリアし、阿弥陀本峰に立った。雪が多かった。
 

<総括>

 広河原林道には舟山十字路近辺に大きなゲートが出来ていたが、手で簡単に空けられる。四駆であれば最後の堰堤まで行けるが、最後の堰堤付近には駐車スペースが少ないので注意が必要。また、積雪量によってははまる可能性があるので要注意。
 広河原沢のつめはあまり迷うところはない。河原を忠実に詰めればよい。
 右俣との出合いは思いのほか狭い。上に向かって左の、若干登り気味の流れが左俣、3ルンゼ方面。
 今回は降雪後ということで最初のW+が埋まっていたが、そっくりむき出しになっていたら結構な長さになるし、技量によってはアンザイレンが必要だと思う。が、アイスクライミングを含め、ルート上にはさほど特筆すべきところはない。むしろ終了後のルートファインディングに気を使うべきかもしれない。P3基部から南稜を下山して青ナギから船山十字路に戻るのであれば最後の滝を越えて右に進むのだが、岩やルンゼが入り組んでいるのでトレースがない場合にはしっかり地形を把握しながら進む必要がある。
 下山は中岳沢を使った。数年前の大事故がなまなましく、これまであまり使っていなかったけど、やはり早い。雪が落ち着いているときには有効だと思うが、くれぐれも降雪後や緩み始める時には立ち入るべきではないと思う。







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