気まぐれな秋の空（２０００．１１．５）




すっかりホームページのメンテをしなかったら、そこら中から苦情をもらった。
「ま〜だ〜？」とか、「あの山行の写真、早く載せろよ〜」とか、結構みんなうるさい。

と、自分でもさすがにさぼったな、と思う。なぜか？
時間がなかった訳ではない。９月の週末は雨で全滅。第１週のバットレス敗退の後、せっせと広沢寺通いだった。三連休も広沢寺。もう、新人の頃のようにゲレンデでトレーニングに明け暮れた。で、最終週に業を煮やして無理矢理屏風に入ったら、結局これも雨天敗退だった。
ちまたでは墜落事故で足首骨折をしたフクちゃんの呪いだ〜、とか言われているが、本当に雨だった。だから山行に行けなくて、じゃあ時間はあるじゃねえかってところなのだが、これが不思議なことに雨でどよ〜んとした日は「さ、ホームページつくろう！」なんてすがすがしい気分にならんのであった。
「う〜ん、めんどくさいからいいや」
とかいって、コンピューターには向かわず、「芸術の秋」とつぶやきつつ音楽にいそしむなどして週末を過ごしていた。

９月はそうして過ごした。秋雨前線が早く消えていなくならないかな、と祈りつつ。

そして１０月になると、例年のことなのだけど晴れの日が多くなる。
晴れの特異日として知られている体育の日（今年から月曜日になっちゃったから特異日ではなくなったのかな。）を境に、それまでぐじゅぐじゅしていた空がすっきりと晴れ渡る。ほんとうに魔法がかかったようだ。
そして、空が見えるようになると、夏にくらべて驚くほど高くなっているのに気づく。
「天高く、馬肥ゆる秋」
っていう、あれである。秋の空は高い。

高いというのが一つの特徴で、もう一つの特徴が「気まぐれ」である。

本当に気まぐれだ。
午前中に晴れていたといって油断してはならない。お昼に近くなるにつれて雲がもくもくと沸きだし、あっという間に暗くなったと思うとシトシト降り出すのだ。こんなことは秋にはよくある。１０月に入ると少なくなるが、それでも、ある。

そしてまた、秋の雨というのが陰気臭い。
ま〜、夏の夕立などというのは気持ちのよいものである。それころ風呂桶をひっくり返したような勢いの良い雨がじゃあじゃあ降り注ぎ、熱気の帯びたあたり一面を冷やしてくれるようでかえって心地良い。登攀中に降られるのは勘弁だけどね。
これが秋の雨ときたら、シトシト、シトシト、シトシト、シトシト・・・・・、
「おめ〜、なにがそんなに悲しいんじゃ！人生前向きでなけりゃあかんぜよ！ひらけるものもひらけん！」
と、説教かましたくなるくらい陰気臭い。
しかも、細い雨だから「う〜ん、雨具着ようかな、どうしよっかな」と、こっちも迷う。で、迷っている間に、なんだかんだで濡れる。で、寒い。
迷惑千万である。
降るなら降れ！と、言いたい。そうすればこっちもそそくさとカッパを着るのだ。

でも、この女々しい雨にも似合うものがある。

紅葉である。

秋の細い雨が降ると、紅葉は異様に美しくなる。
色が濃くなるのだ。そして、空気中のチリも落ちるから、コントラストがはっきり浮かび上がる。
大樺沢では、濡れた紅葉が綺麗だった。
そのとき、じめじめした雨のための不機嫌もふっとんだ。それくらい綺麗だった。

秋の気まぐれな空とつきあうのも楽しいかもしれない、と、思った。僕の心も気まぐれだったりして・・・。




さて、我がARIアルパインクラブでは１１月からアイゼントレーニングが始まります。

あの、張りつめた白い世界がはじまりますなあ〜

楽しみじゃ。




produced by tthara

戻る

山のトップページに戻る