東南アジア最高峰へ

 ボルネオ島だ!〜東南アジアの最高峰〜

 僕は海外旅行が好きだ。登攀ができれば最高だけど、そうでなくても他国の異文化の中に身をうずめて、いろんな物を見て感じるだけで充実した気分になれる。もちろん貧乏旅行が身上。

 昨年のヨーロッパに引き続き、今年も海外遠征するぞ〜!と意気込んで5月の連休に利尻に行った帰りにいろんな人に声をかけてみたのであったが、「う〜ん今年は国内でおとなしくしてる・・・」「今年はいいや〜」とみんなつれない(jj)今年はマッターホルンにでも登りたいな〜と思っていたのでちょっとガックリ。

 しか〜し、そういえばパートナーが見つかったら絶対に行かない山があったな〜、と思った。そう、アフリカ最高峰、セブンサミッツにも数えられるキリマンジャロ。昨年は4,000mを体験したから、ことしは5,000m代が良いではないか、というのと、高度順化さえうまくいけば二足歩行で頂上まで行けるキリマンジャロなんて一人でやむなく行くようなところであり、仮にパートナーが見つかったらもっと登攀要素の高いところにのぼるわ!ってなもんでなんとなく状況的におあつらえ向きだった。

 ところが・・・。6月に人事異動があり、新しい部署に移った。んで、前任者から引継ぎを受けると・・・、「夏ねぇ〜・・・、去年は休み取れなかったな〜・・・」

 ・・・・。あの、え・・・、休みが取れない?

 と、うろたえつつも、かすかな望みにすがりつつナイロビ行きのチケットを押さえた。
 しかし業務をこなしていくうちに前任者の言葉が確固たる現実となっていき、「いやしかし、もしかしたらお休みの神様が微笑んでくれるかもしれない」などとぶつぶつつぶやきつつ、息せい引っ張り生きていくこととしたのであるが、7月に入り断念。チケットをキャンセルした。
 「こりゃあ、おそらく取れても休みは3日。土日併せても5日くらいだろうな〜」
 と悟り、であれば5日で登れるところを探そう、と世界地図を見渡すと・・・
 そういえばあったではないか!前に山渓かなんかで特集されていた、ゴツゴツして、すっきりした岩頭が天高くそびえている山が。
 ボルネオ島にあるキナバル山。標高4,035mと、かろうじて4,000mに突き出ている東南アジアの最高峰。ありゃりゃ・・・、セブンサミッツに数えられているカルステンツピラミッドはどうしたんだっけ・・・、と考えてみたらカルステンツピラミッドはオセアニアになるのですね。ボルネオ島とは距離的に近い様な気もするけど、おそらく地理学的にそういった仕切がなされているのだろう。とにかく東南アジア最高峰。
 ボルネオ島は世界で3番目に大きな島で面積は日本の二倍程度。上部(北側)2/3くらいはマレーシアとそのなかの小国ブルネイ。下部(南側)はインドネシア。ちなみに世界で1番大きな島はグリーンランドだそうだ。キナバル山はマレーシア領の東側の若干緯度が高い地域にあって、コタ・キナバルというボルネオ島の玄関口にしてサバ州の州都からも天気がよければその姿を望むことが出来る。熱帯雨林にそびえているため、森林限界の標高が異様に高く、大体3,300mくらい。そこまでは鬱蒼とした樹林帯に覆われている。植生は当然日本とは違うけど、雰囲気は日本の雨の多い地方の低山という気もしないでもない。森林限界を超えると突如コケ一つないすっきりした荒涼とした岩稜帯になる。突如雰囲気が変わるので面白い。頭頂部はプラトー状になっており、そこから無数のピナクルが天に向かって突き出している感じで、さながら王冠のような山だ。各ピナクルはリス〜クラックが発達しているようで、非常に興味深い。ロッククライミングピッチもあるようだけど、あまり本数は多くないみたい。標高が4,000mで、アプローチに骨が折れるから、フリー屋さんはあまり来ないのかもしれない。けど、これが地上付近にあったら小川山とミズガキを併せたくらいの一大フリークライミングエリアとなるのだろうと思う。

 う〜ん、良いではないか。これはボルネオ島に向かうしかない、と決心した。





 航空券

 結局、休みが確定したのが出発10日前。あわてて航空券を手配。ひいきのFLEXインターナショナルにお願いすると、なんとかマレーシア航空のチケットが押さえられた。
 キナバル山へは、コタキナバルまでの直行便を使うと6時間でボルネオ島まで入ることができるのだが、生憎週に2便しかない。僕は土曜日出国、水曜日帰国だったため、コタキナバル直行便は使えず、クアラルンプール経由となった。マレーシアは初めてなのでクアラルンプールに寄るのもいいやね〜、と前向きに考えたてみたが、クアラルンプール空港は市街地から強烈に離れているため、3時間程度のトランジットタイムでは結局空港から外には出ることはできなかった。これならシンガポール経由でも同じだったのになぁ〜、とほぞをかむ。帰りは5時間程度トランジットタイムがあったが、夜であったし、コタキナバルで出国手続きを済ませてしまったこともあり、結局夜も空港外には出られなかった。
 ちなみに1週間前に押さえた航空券は往復8万円だった。あわてて取るとこんなものかな・・・。



 登山パーミッション等

 キナバル山は世界遺産に指定されていることもあり、登るにはキナバル国立公園の入場料の他に登山料がかかる。また、キリマンジャロ同様、登山にはかならずガイドを雇わなければならない。さらに入山は許可制になっていて、事前に申請が必要。申請と同時に料金を支払うこととなる。
 今回は出発まで一週間しかなかったので、いつもの僕の海外旅行であれば絶対に使わない現地の旅行代理店にこれらの手続を任せた。で、ついでだし、5日間と短い期間でのアタックなので、いつもの調子で現地で自力でなんとかするというスタイルだとワンミスが命取りになるので、滞在の5日間の宿と交通手段を手配してしまうことにした。
 現地のエージェントは「エキゾチック・ボルネオ社」。ボルネオ島では結構ステイタスのある旅行会社のようだ。FLEXインターナショナルの担当者に紹介してもらった。
 現地エージェントの担当者は堀さん。一週間という短期であり、頻繁に現地とやりとりしたかったので主にメールを使って調整をしたが、ボルネオ島のインターネット事情はあまり良くないのか、エージェントのPC環境が悪いのか、こちらからのメールが一日経たないと受信できないということもあり、そんな時は国際電話をかけた。
 1週間後に出発という切羽詰まった状況であったため、直ぐに国立公園や山小屋と調整してくれてitenalyを作ってくれた。ツアーの内容に比べて値段はリーズナブルに感じられ、とても好感のもてる待遇だった。お薦めエージェントである。連絡先は以下のとおり。


HORI Hiroshi 堀 弘 (Exotic Borneo Sdn. Bhd.)
Tel: +60-88-245920
  Fax: +60-88-245902
Add:P.O.Box 470 Likas Post Office, Kota Kinablu, 88856 Sabah, Malaysia.



 itenaly

 エキゾチックボルネオ社(EB社)の堀さんが用意してくれた旅程はざっと以下のとおり。


8/31 東京発(10:30)コタキナバル到着(21:40)。空港にEB社ガイドが出迎え。車で5分のパレスホテルへ送迎。

9/1 コタキナバル出発。ポーリン温泉観光をしてキナバル公園本部へ。キナバル公園内・ツインベッドキャビン宿泊。ガイドも宿泊。
※朝食(パレスホテル)、昼食(キナバル国立公園本部ゲート手前のレストラン)、夕食(キナバル国立公園内のレストラン)付き。

9/2 登山手続きをして登山ガイドと合流。山小屋(ワラスハット)まで。ワラス小屋泊。
※朝食(国立公園内レストラン)、ボックスランチ(レストランで用意)、夕食(ラバンラタレストハウス。ワラスハットから徒歩3分)付き。

9/3 午前3時に出発してローズピーク登頂。その後、サウスピークを狙い、山小屋経由登山口へ下山。登山ガイドと別れ、EB社ガイドとともにコタキナバルへ。タンジュンアルリゾート泊。
※朝食(ラバンラタレストハウス)、昼食(キナバル公園ゲート側のレストラン)付

9/4 タンジュンアルリゾートチェックアウト14:00。ガイドがホテルに出迎え、空港へ送迎。
※朝食(タンジュンアルリゾート)付
 16:45コタ・キナバル発 19:10クアラルンプール着 23:30クアラルンプール発

9/5 7:30東京着 そのまま出勤!


 トレッキングの二日間以外、全行程エキゾチックボルネオ社のガイドが付いてくれて、すべての移動に関し、車で送迎してくれた。車は僕一人。ちょっとリッチな気分。ガイドの名前はニヴェル君。年は31才で新婚さん。5か月の息子さんがいるそうで、結婚して子供ができたせいか、とてもやる気に満ちている感じの好青年だった。堀さん曰く「日本語ガイド」であったが、確かに日本語はしゃべれるけど片言で、またニヴェル自身も日本語は苦痛のようで、結局会話はほとんど英語だった。ちなみにニヴェルは九州に一年間仕事に来ていたことがあるそうで、日本語はその時に覚えたとこのこと。英語は現地訛が入っていてところどころ聞き取りにくかったけど、ま、問題なかった。ニヴェルによると、マレーシアでは英語がしゃべれないとまともな仕事に就けないのでみんな勉強するのだそうだ。

 とにかく移動から食事まで面倒を見てくれる大名旅行で非常に楽であった。朝は定刻にニヴェルがホテルに迎えに来てくれて、そのまま車で次の場所まで移動してくれて、食事時にはレストランに連れてってくれて席に座ると食事がでてきて・・・、 結局、

・4泊分の宿泊(パレスホテル、ツインベッドキャビン、ワラスハット、タンジュンアルリゾート)
・3日分の食事(朝×3、昼×3、晩×2)
・最終日の朝食(タンジュンアルリゾート)
・KT空港〜パレスホテル パレスホテル〜ポーリンスパ経由〜キナバル国立公園 キナバル国立公園〜タンジュンアルリゾート(KT)
 タンジュンアルリゾート〜KT空港  までの送迎車(貸し切り状態)
・国立公園の入場料、トレッキングパーミッション取得料及び登山ガイド料
・EBガイド料(登山以外)
・ポーリンスパ入場料

 がついて、締めて2350RM(リンギット)。1RM=約30円くらいだから、総額約7万円くらい。僕のいつもの貧乏旅行から考えると、目んタマ飛び出るくらい高価だけど、最終日のタンジュンアルリゾートは5つ星の超一流ホテル(だった・・・。現地で知った)、パーミッションの取得や交通機関の手配など、付加的な手間を考えると安いかなとも思う。事実、ビールと水の代金以外、現地ではほとんど現金を使わなかったからお得だったかもしれない。航空券と合わせると、5日間の旅行総額15万円。ま、そこそこの値段になってしまったか・・。







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