ボルネオ島へ

 成田からボルネオ島へ

 今担当している仕事は夏がかきいれどきで、そんな時に休みを取ろうとするとたとえ3日間とはいえ引継ぎ準備が大変。旅行に出るときには必ず前日の寝不足が近年の常になっているところであるが、出発日は1時間くらい寝ただけだった。ま、成田までのリムジンバスの中でも、飛行機の中でも寝まくれば良い。
 今回はマレーシア航空ということで、成田は第2ターミナルだった。僕は第2ターミナルは初めて使ったが、噂どおり死ぬほど狭かった。満員すし詰め状態って感じで、チェックインにも時間はかかるし、パスポートコントロールをとおるのにも延々と並ばなければならなかった。経済大国日本の表玄関たる成田がこんなんでは幻滅ですな。外国人にも相当な不評を買っているに違いない。
 若干早めの到着だったので、チェックインカウンター二階のレストランで飛行機でも見ながらコーヒーでもすするかな〜と思ってエスカレータを上がると、やはり最悪に混んでいた。おまけにあまり飛行機はみれないしぃ〜。まったくサービス精神というものがないのだなこれが。
 そろそろ時間になりそうなころ、搭乗ゲートへ。今回は一人旅なので気楽と言えば気楽。自分のペースで事を運べば良く、搭乗ゲートの待合室でグースカ寝た。
 マレーシア航空のサービスがまずまず。シンガポール航空同様、エコノミーのシートにもそれぞれディスプレイが設置されていて、映画やゲームのプログラムも豊富。機内食もまあまあだし、ほかほかのパンが出てくるあたりはシンガポール航空と似ている。というか、かなりシンガポール航空を意識しているな〜と感じられた。ま、マレー半島の大部分をしめるマレーシアが、そのマレー半島の先端の、小国とはいえ経済発展著しく世界的にも高い評価を得ているシンガポールにライバル心を抱くことなどごく自然な衝動かとも思ったりする。面白いな〜。でも、マレーシア航空は離陸前に配られるおしぼりが駅弁についているケチなウエットティッシュ様のものでちょっとがっかり。ホットなタオルが出てくるシンガポール航空の方が一枚上手、って気がしたけど。そうそう、食事も少しシンガポール航空の方がよかったかな。
 約6時間のフライトでマレーシア/クアラ・ルン・プール空港へ到着。例のごとく爆睡してたから、まるでワープをしたよう。着陸寸前のマレー半島の大地は赤茶けていて、ところどころキレイに植林が施されていた。日本と同じで高温多雨多湿だから、木々は直ぐにたくましく育つのだろう。郊外はなんにもない感じだけど、中心部はさすがに高速道路や高層ビルといったインフラが整備されていた。
 クアラ・ルン・プール空港では、サテライトターミナル(Cゲート)に到着。immigrationのあるメインターミナルとはシャトルトレインでつながれており、その間5分くらい。成田の第2ターミナルのシャトルの10倍くらいの長さ。空港はそれくらい贅沢に広大な敷地で、ターミナルビルはその中に近代的な外観を持ち、plentyな空間を備えている。まったく成田とは正反対!とはいえ、広大な空港で翼を休めている機体の数々を眺めていると、やはり航空会社のバリエーションは成田より少ない。つまり、まだ世界はアジアの中では日本に色々な意味で興味をもち、日本に就航したいと思っている、ということだろう。そういうモメンタムがある時に、成田をニーズに応えられるキャパを備えた空港を整備することは非常に重要だと改めて思ったりする。ま、阿鼻叫喚の第2ターミナルビルを体験したからこんなことを思うのかもしれないけど。
 トランジットタイムは3時間程度。空港から街までは、成田〜東京間ほどではないにせよ、それに近いくらい離れていてクアラ・ルン・プールの町中に出るのは諦めた。ここからコタ・キナバルまでは国内線になるので、immigrationを済ませ、空港内を探検し、軽く食事をして過ごした。
 時間になり、国内線のゲートをくぐって搭乗口へ。当たり前だけど、機内はほとんどマレーシア人だらけだった。国内線なのに食事が出た。そういえば、仕事で中華航空の国内線に乗ったときも、1時間くらいのフライトだったけど軽食が出たな〜、と思い、コスト削減!とかいって飲み物しか出さない日本の国内線がいかに高コスト構造なのかを想像したりするのだった。
 コタキナバル空港は、なんとなく新しくなる前の沖縄の那覇空港に似ていた。南国っぽい赤いネオンに飾られたこじんまりとした空港。搭乗ゲートは5つしかない。一応国際空港で、成田からも直行便が週に2便でているのだけど、やっぱりローカルっぽかった。
 荷物を取って外に出ると、名前の書かれたカードをもって立つ現地のスタッフがうじゃうじゃいて、うっひょ〜、我がリエゾンはどこじゃ〜、と途方に暮れそうになったが、丹念に探すと僕の名前を持つ青年を見つけた。近寄って挨拶。向こうも挨拶。早速車に案内してもらい、トランクにバッグを詰めて乗り込んだ。
 彼の名前はnivel。童顔で20前後にも見えるが、年は31才で既婚。このまえ男の子が産まれたそうで、パパであった。ニヴェルは今、エキゾチックボルネオ社の寮に住んでおり、ほう〜、世帯寮まで完備しているとはなかなかの大企業だなと思ったら、実はまだ独身寮に住んでいるとのこと。奥さんは実家に住んでいるそうで夫婦別居状態。お金をためてそろそろ家族全員で住める居を構えたいそうだ。結婚事情も日本とマレーシアではなかなか違う感じ。同じ街にいるのに簡単には一緒に暮らす家も見つからないんだろうね〜。早く奥さんにごはんを作ってもらいたいとつぶやくニヴェルは新婚さんそのものだった。
 車はエキゾチックボルネオ社のもので、ホンダのオデッセイ。ニヴェルが「カーステが付いているんだよ〜」と自慢していた。日本だったら純正でカーステが付くものを、こっちだとそうじゃないのかな・・・。ともあれ、ニヴェル自慢のカーステは大活躍で、今回の旅の間、ニヴェルが気を利かせて日本の曲が入ったカセットテープをかけてくれた。10年前くらいのポピュラーソングで、浪漫飛行とかを懐かしく聞いた。浪漫飛行は、赤道に近くの独立峰への旅にマッチするものがあった。
 さて、初日の宿は空港から車で5分のパレスホテルというホテル。ホテルに付くなり荷物をベルボーイが持ってくれるわ、チェックインもニヴェルがやってくれるわで、その間、僕は偉そうにロビーのソファーに座っていた。チェックインを済ませ、鍵と朝食のチケットをニヴェルが持ってきてくれて食堂とホテルのシステムを簡単に説明してくれた。本当に大名旅行だな〜。 「それでは、明日8:00にロビーに迎えにきますので」と言い残して、ニヴェルは去っていった。その後、ベルボーイとともに4Fの部屋まであがった。
 部屋は、まずまずといったところ。パナソニックの古いテレビが据え付けられていたが写らなかった。でも壊れているのはテレビだけで、エアコンもキチンと動くし、文句はない。昨夜の寝不足も手伝って、シャワーを浴びるなりベッドに突っ伏した。



<ニヴェル 結構童顔だったりする>











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