帰国

帰国

<タンジュンアルリゾート内のボートハウスの前で>
 なんだかんだ言いつつ、プール付き、スポーツクラブ付き、バスケットコート付き、ジャグジー付きの高級リゾートホテルを満喫し、これなら街まで出ずともニヴェルが迎えにくるまでの時間は有意義に潰せるわい、と、レイトチェックアウトサービスの手続まで済ませる。朝食はツアー・デフォルトで付いているブッフェ形式で、うまいがしかし趣旨は日本で出張の際に宿泊するちょっと良い目のホテルのそれと大して変わらなかったが、昼食ではこの旅で初めて、マレーシア料理定食コース以外のマレーシア料理であるところのヌードルを食べ、感動した。ホテル内の素晴らしいレストランで食べたためちょっと値段がはって、これまた感動の涙であった。

 目がくらむほど高い天井のゆったりとしたエントランスホールのソファーでなんとか落ち着いたそぶりでニヴェルを待つ。待ち合わせ15分前に来ていること自体このミスマッチホテルに浮き足立っている証拠なのだが、とにかく今度は遅れず14:00にニヴェルは迎えに来た。おお、やっと我が身を取り戻せる・・、とそそくさと車に乗り込む。そういえば、数年前に死んだ愛猫も、病院に連れていくときには絶叫しながらケージに入ること拒んだにもかかわらず、病院での診察が終わって帰るときにはそそくさと自らケージに入って「ふう〜終わった。早く帰ろうよ〜」と言いたげな目でこちらを眺めていたことを思い出した。同じだ。

 コタ・キナバル空港に着く。ニヴェルともお別れである。5日間だけど君のおかげで良い旅ができたよ、写真をおくるね、奥さんとボーヤによろしく、と言って別れた。ニヴェルは、またコタ・キナバル
に来てくれ、と言っていた。

 あとは帰るだけじゃ、明日は仕事か〜と思いつつコタ・キナバルからクアラ・ルン・プールへの飛行機に乗り、国内線でも機内食だもんね〜ルンルン、と食するとなんだか辺りの人々がわさわさトイレにかけ込み、すぐに長蛇の列ができた。どうしたんだろうな・・、と眺めていたが、クアラ・ルン・プール空港に着陸するころには我が腹もまるで腸捻転を起こしたようにゴロゴロ鳴り出した。飛行機から降りた途端トイレにかけ込む。もしやあの長蛇の列は・・・。そう、機内食があたったのだ。おかげでクアラ・ルン・プールでのトランジットタイムは腹の中が空っぽになるまで繰り返しトイレにかけ込む羽目になった。たぶんもう二度とマレーシア航空には乗るまい・・・。

 これまで現地食にやられることもなく体調バッチリだったのに、最後の最後で喰らった。クアラ・ルン・プール空港の冷房空間が極寒のキナバル山に感じられ、さらにトイレでお気に入りの木彫りのイルカのペンダントも落とし、気分は奈落の底に急降下ってな感じで東京行きのマレーシア航空に乗り込んだ。そんなヒドイ目にあったにも関わらず、もはや腹にはなにも入っていない状況にかこつけて機内食に手をつけてしまう我が貧乏性を自嘲しつつ、夜空を飛んで成田についた。狭い更衣室でスーツに着替え、荷物は宅急便で自宅に送り(なんと横浜の自宅にその日に着いた)、シャワー浴びたいな〜と呆けつつ成田エクスプレスで出勤の途につくのであった。


<朝日に照らされるドンキーズイヤーズピーク>












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