音楽による自画像
〜Kreisleriana Composed by Robert SCHUMANN〜


クライスレリアーナ(ロベルト・シューマン作曲)


 

 シューマンといえばクララとの熱愛が有名な作曲家で、ショパンと同じ時代を過ごしている。
 このクライスレリアーナは、日本語に直せばさしずめ「クライスラー語録」といったところで、全8曲からなる。クライスラーとは、小説家E.T.Aホフマンが創造した架空の人物。そのクライスラーにまつわる逸話、8集といったところが、このクライスレリアーナという名曲である。

 この曲はショパンに贈られている。本当はクララに弾いてもらいたかったらしいが、クララは激しすぎると感じたのかこの曲をあまり好まなかったようだ。でも、ところどころに優しさと愛情が込められているのは確か。ただ、激しさもただならない。この激しさもクララへの愛情であるとしたら、シューマンという人はやはり芸術家に特有の病的な部分をもっていたのかな、などと思ったりする。

 僕がこの曲を弾いて初めに感じたことは、シューマンという人はよほど手の大きな人だったのだな、ってこと。なんたって、難度の高い和声がこれでもか!と続く。旋律自体はショパンラフマニノフのように技巧を駆使しているという気分はないのだけど、この和音にはまいる。手の小さい僕はなんとかアルペジオでごまかすのだが、女の人が弾くのは大変だ。

 この曲を勉強しているときに、ホロヴィッツの録音を参考にした。やはり偉大なピアニストだな、と感じたのは、それまではホロヴィッツとえば豪快なイメージがあったのだけど、この繊細な、ある意味病的な(^^;;;曲も見事に表現しきっているところ。作曲者シューマンの意図をありのまま汲んでいる、そんな弾き方だと思った。
 




Produced by TThara

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