屏風敗退記と秋の便り 〜2000.9 前穂高岳/屏風岩/雲稜ルート〜
<上高地から明神への道すがら。山はそろそろ秋の色に変わりはじめる。>
9月は雨の月だ。実は6月よりも雨は多い。
台風も来る。秋雨前線も日本列島を覆う。9月に入ったとたん、週末は雨だらけになる。
というわけで、ストレスが溜まった山屋さんは、少しでも晴れ間が予想できると山に突入してしまう。
<徳沢の手前。梓川は見事な青空のもとにせせらいでいた。このときはこんなに晴れていたのにねえ(^^;;>
降水確率は50%だったけど、上高地はこんなに晴れていた。
でも、もう夏ではなかった。
そらは高く、薄く、雲も霞のようで、すっかり秋の空になっていた。
<前穂東壁といわし雲。奥叉白はすでに秋色になっている。夏を越えたこの時期、雪渓は一年中で一番少ない。>
空も秋なら、風も秋だった。
横尾までの道は夏であれば汗が噴き出すところだけど、この季節は湿気のないさわやかな風が肌を拭うので心地よい。
<横尾谷の渡渉後、あいかわらずぼける塚兄ちゃん。これでも一児の父>
雨が多かったので横尾谷の渡渉も心配だったが、渡れた。
水は冷たかった。
<1ルンゼから見上げる屏風岩。う〜ん、壮観>
さて、岩に取り付く。
全装備を背負っての登攀はキツイ。
と、一生懸命登っていると、みるみる雲が多くなり、T4尾根2ピッチ目でとうとう雨が降り始めた。
あんなにさわやかな秋空だったのに・・・。
「女心と秋の・・・・」とはよく言ったものだ。
<雨がぱらつく中、雲稜1ピッチ目を登攀する塚兄ちゃん>
雲稜に突入し、2ピッチ目で本降りとなる。
ぶーぶーいいながらあきらめて懸垂下降。気持ちも身体も寒かった。
その日は横尾でやけ酒の大宴会。でも、雨は激しく、フライを持ってこなかったのでテントは大いにしみ出したのだった。
翌日、急ぐこともない道を横尾から上高地までのんびりあるいた。
秋らしい葉っぱはないかな、と探していると、徳沢にこんなサービス旺盛の木があった。
<徳沢の紅葉。あと2週おそくに紅葉の盛りが訪れる。>
10月、晴れの特異日である体育の日を境に、なぜか晴天率が上がる。
秋空とともに紅葉も堪能できるはず。
今回は、そのプロローグだ。
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