Surf and snowな季節と海の心得(2002.4.29)NEW




今年は暖かい。雪が融けるのが早い。

職場で九州から出向してきた上司から、昨冬に入る前に
「こっちはどれくらい雪が降る?」
と聞かれ、ここ3〜4年のことを思い出して、
「1月は積もるくらい降りますよ〜、大変ですよ〜、南国とは違いますよ〜、滑って死ぬ人も大勢いますよ〜」
と脅かしておいたのだが、見事に嘘つき呼ばわりされることとなった。

年末年始は結構雪が降って、山では遭難(?)された方もいたようだけど、年が明けてから全然降らず、そのまま春になってしまった感じであった。
3月の下旬など、もう暖か過ぎて、例年より雪崩に気を使わなければならず、結局、今年の最大の目標だった谷川/一の倉も鹿島槍/北壁も行きそびれた。う〜む、くやしいぜ。

いつも3月下旬から入山禁止になる谷川も、例年より一週間くらい早く融雪危険のため入山禁止になったりして、あ、こりゃあ4月は雪は駄目ね・・・と思いつつ、かねてから狙っていた丸東のアメリカンエイドルートを三連休の目標に設定してみた
(って、本当は雪など全然関係ないのだけどね(^^;;;)

しかもソロ。

ま、ソロといってもテケテケの僕はフリー・ソロなんてできるわけもなく、またそもそも「エイド」にフリーも何もあったもんじゃなく、確保はする。
はじめはマッシャーでやっていたけど、両手をフリーにしないとロープの送り出しができず、エイドのピッチなら良いけどフリーのムーブが出てきたときにゃあ対応できない。グリグリを使おうかな〜とも思ったけど、そもそも墜落したときに止めるために作られたものじゃないからちょっと心配。
ソロエイドもソロイストも製造打ち切りになってしまって買えない・・・。しょうがないので我が師匠からソロエイドを借りることにした。

4月に入ってから広沢寺にせっせと通い、ソロの練習をしてみた。

ガンガントレーニングして、自信が付いたら丸東にいきましょ、って思ってたのだけど、トレーニングの「仕上げ」と思っていた海金剛が悪天のため中止になってしまった。よって、結局3連休は、その海金剛に行った。
丸東は入梅前に狙うからいいのじゃ!と、自分に言い訳しつつ、でも結局度胸がないだけであった(こういう小心者はせいぜいい長生きするのだ)。

と、まあ、海金剛に行ってきた。

海金剛は南伊豆の駿河湾側、「雲見」という神寂びた名を持つ港町にある、海に面した断崖である。
釣り人も来る。でも、釣り人は船に乗ってくる。一方クライマーは海岸伝いに藪山の急斜面をかき分けて来る。ここらへん、同じ場所に達するにも生態の違いが出ていて面白い。
壁は結構立派で、10ピッチ強のアメリカンエイドルートが拓かれたりもしている。我が師匠も何本か拓いている。
僕が今回登ったのは黒潮ロックという海側のスケールの小さいチンケな壁で、4月下旬とはいえ南伊豆の元気な太陽が燦燦と照りつけて、一足早い夏だった。GW後半は雪の利尻に行くことを考えると、海辺の夏壁と雪稜を味わえるなんて、なんとも贅沢な季節だな〜と思う。

さてと、海辺で困ること。それは「キジ」である。
僕はよく山でクソをする。
普段慢性寝不足のせいか、山に入るとあらゆる面で体調が良くなる。んで、おなかの調子も快調になったりして、よく「うんこ、うんこ」と騒ぐ。
運良く下山まで持つこともある。
昨年の八ヶ岳/広河原沢/3ルンゼに行ったときなどがそうで、下山した美濃戸山荘で用を足した直後に、パートナーのテル君に「そういえば今回オレ、うんこ、うんこって騒がなかったよね〜」といったら、「うん!!!」と力強く頷かれた。そういえば谷川/一の倉でも登攀中に騒いだし、極めつけは甲斐駒/赤石沢Aフランケのハンギング・ビバーク中のハンギング・シットだった。ハーネスをしてテンションをかけながらなんとかパンツをめくって用を足すのはかなりの高等技術だった。特許でも取ろうかしら。

山の中は良い。壁では結構至難の業だけど、それでもなんだかマッチングするものがある。

海は困る。
困った。本当に。
登り返して山の中に入ろうかとも思ったけど、そんなことしている暇はないくらいの危機的状況だったので、冷や汗を垂らしながら潮溜まりでしゃがむことにした。ええい、どうせソロだから誰に気兼ねする必要もないし、良いのだ!あ〜一人でよかった。
と、エメラルドグリーンの海を眺めつつ、下腹部に力を入れ終わり、ふーっと緊張が抜けた瞬間、


ざっぱ〜ん!


ぎゃあっ!と足を跳ねのけたが、時すでに遅し。魚の餌となる予定だった例のものが、足を直撃したのであった。
ふんふん、こんなんだから海は嫌いだ〜、山はこんな意地悪しないもんね〜、ばかやろ〜!意地悪やろ〜!
と叫んでみるも、膝までおろしたズボンにすっぽんぽんの尻姿はなんとも情けなく、哀愁が漂う感じだったので、そそくさと尻拭いして身繕いし、一生懸命靴を洗った。まだフラットソールでなくて良かった。はだしだったらもっと良かったのに。

サーフ&スノーなGWの始まりがこんな調子でくじけたのであったが、海でクソをする時の心得だけは痛感した。

波に気をつけろ・・・

潮溜まりに散乱したものを貪るウミウシの姿を見つめつつ(本当です!ウミウシってあんなの餌にするんですね〜!!!これも発見)、海金剛という岩がまた一歩身近になった気がするのでした。かしこ。



しょうもない話でした・・・。







<セットしたアングルにアブミをかけたところ。ソロは怖いのだ>






produced by tthara

戻る

山のトップページに戻る