谷川岳/西黒沢滑降
(2006.3.26)
メンバー:石田(一同心)、原(ARIアルパインクラブ)


 ずっと谷川岳のマチガ沢を滑りたいと思っていたが、機会と意気込みがなくいけずじまいであった。と、ひょんなことからバックカントリースキーでは僕よりも経験のある石田さんがマチガに誘ってくれたので、苦節3年、残雪期のスキー日和に谷川岳に向かった。
 しか〜し、なぜか気温が下がり、アイスバーンバリバリになってしまい、カリカリ言わせながらマチガを降りてすっとんだら怖いな〜ということで結局西黒沢を滑ることにした。西黒沢も初めてなのでまあご機嫌であった。


<熊穴沢の避難小屋付近から谷川岳>
2006.3.26 晴れ

 今日は天神尾根をトマの耳まで上がるだけなので、登攀用具はなし。最低限の道具だけザックに詰め込み、いつものようにフリートレックをザックにくくりつけて出発。さらに「天神尾根上がるだけなら普通のゲレンデブーツの方がいいよ〜」という石田さんの助言もあり、足元はプラブーではなくゲレブーである。まあバックカントリースキーヤーなんかはゲレブーにアイゼンつけて登ったりするわけだから別に特殊なことでもない。ということでバックル全開のゲレブーをガシガシ言わせながらロープウェーに乗り込む。ロープウェーにのってアプローチをする谷川岳は初めて。

 終点まで行き、さらにリフトでもう一段上がる。ここでスキーを履いてしまえばよかったのに、まあ上で履けば良いやといってそのままリフトにのったらこれが悲劇を引き起こした。リフトを降りる時に、リフトのベンチにブーツが引っかかり転倒。見事にリフトを止めた(^^;;;リフトを止めたのなんて何年ぶりだろう。後ろで一部始終を見ていた石田さんは割腹の大笑いをしていた。ちくしょー!

 さて、終点に降り立つ。ところが曇天高曇りで太陽は微塵もなく、さらに気温が低すぎ。絶好のクライミング日和だけど、スキーとなるとカリカリのアイスバーンが待っているコンディションでなんとも不安。この時点で、本当にマチガすべれっかな〜と不安になる。





<長い板を担いで天神尾根を上がる>
 ま、まずはトマの耳まで上がらないと始まらないということで、まずはスキーをつけてザックを背負う。熊穴沢の避難小屋までは滑って降りることができる。やせ尾根で滑り出しには少し緊張するが、フリトレであっても足元がゲレブーなので角付けできるし快適である。

 熊穴沢の避難小屋でスキーをはすず。ここからはひたすら登り。広い雪面をえっちらおっちら登っていく。トレースもいっぱいあるので迷うことはないが、雪の積もった天神尾根は広いので視界がないときにはワンドがほしいなと思う。オートルートで苦い思いもしているしねぇ。

 とにかくひたすら高度を上げていく。小休止を交え、ここら辺が天狗の止まり場かな、懺悔岩かなとか思いながらすすむ。傾斜が一気にきつくなると、トマの耳はもう近くである。一応傾斜がいい加減きつくなったところでアイゼンをつけた。バックル全開のゲレブーにアイゼンもかなり歩けるもんだなと思った。最近のゲレブーは軽いから、重さもさほど気にならなかった。










<トマの耳で。足元はゲレブー>
 曇天のままトマの耳の頂上へ。風も冷たい。いや本当に登攀日和であり、計画の選択を間違えているな〜と思いつつ、小休止してそそくさと滑り出す。本ちゃんクライミングでは一応僕がリードするのに、今日はスキーとあって石田さんは水を得た魚のようにターンを決めていった。目指すはマチガ沢4の沢のドロップポイント。西黒尾根を少し下っていく。

 ところが、西黒尾根の斜面もカリカリ。せっぴ覗いてみるも、マチガ側はさらに風が吹き上げてカリカリの様相である。この時点で何度もマチガにドロップしている石田さんは「こんなん快適じゃねーなー」。まあオイラもフリトレでカリカリ言わせてブルーアイスで吹っ飛ぶのもなんだし、西黒沢滑ったことないし、まあ今日は西黒沢滑りますかということで二人でひよった。



<格好良くターンを決める石田さん>
 さて、西黒沢への滑降。まずは出だしの大斜面でもう快適。斜度もきつく、フリトレが一番面白い具合の斜面である。バーンは固めだけど切れるので楽勝。細かくターンを決めながら本当に快適に滑り降りた。いやはや、バックカントリースキーは本当に面白いのだ。

 快適な大斜面を抜けるとさらに傾斜が急になり、ノド状の地形にたどり着く。標高が下がって気温が上がってきたのでザラメが厚く乗っかるようになった。雪崩れの心配は皆無のコンディションだけど、一応石田さんとの間を空けてすべる。斜度はかなり急だけど、フリトレはこれくらいでないと面白くない。フンフン言わせながら細かくターンを決めていった。

 んが!やはり短い板でノーストックだと傾斜がゆるくなった途端に地獄だった。熊穴沢上のドロップポイントから林間を抜けてくるラインと合流するあたりを過ぎるともう傾斜はない。そうすると、短いフリトレははまる・・・。もう一生懸命こいでこいで、それでも進まず、たまにはまり、これまでの快適なすべりがうそのような地獄であった。いやはや、やはりバックカントリーは長い板に限るのかなと悟る。フリトレは登攀+滑降のようなエキストリームに向いている気がする。

 ひいひいいいながらデブリの脇をすり抜け、やっと天神平スキー場からの一般滑降ルートに合流。僕がたどり着くと石田さんは「おっせーよー」といいつつタバコを吹かしている。くっそ〜。

 あとは整地されたコースをロープウェー乗り場まで。ロープウェー乗り場までくると、すっかり春の日差しになっていた。短い滑降だったけど、春スキー満喫であった。

<総括>
 バックカントリースキーのポピュラールートのトライであったが、楽しめた。天神尾根はトレースもばっちりで余裕だけど、広いので視界がないときには要注意。特にくだりは迷いやすいと思うので、少し長くても明瞭な西黒尾根とかを下ったほうが良いような気がする。
 西黒沢の醍醐味は最上部の大斜面。ここは本当に気持ちよい。天神尾根沿いであり、ギャラリーもばっちりいて格好良くターンを決めたいところ。その下のノドも傾斜が急になり、楽しめる。が、最下部の緩傾斜帯は短い板だと不愉快この上ない。というわけで、西黒沢は長いスキーで行きましょう、というのが今回の教訓であった。


<風の強い頂上で>





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