雨で岩に行けなかった週末、土曜日の夜7時に山に分け入るというオーバーナイトハイク入りで縦走してきました。雨の中、丹沢の主脈を走り回って、結構面白かった。
<コース>
焼山登山口〜焼山〜蛭ガ岳〜丹沢山〜丹沢三ツ峰〜宮が瀬
<ガイド>
(概要)
丹沢の裏玄関である焼山登山口から、丹沢の最高峰蛭が岳を経て丹沢三ツ峰へ下るこのルートは、なだらかな樹林帯から鬼が岩の岩場、丹沢三ツ峰のアップ・ダウンなど変化に富んだ山行が楽しめる。焼山登山口から姫次までは東海自然遊歩道として整備されており歩きやすいが、後半の尾根歩きはアップダウンもきつくそれなりの体力を要するので、体調、天候などには注意したい。
(最終バス停〜登山口)
橋本から神奈中バスで三カ木(約30から50分)へ入り、更に東野行きのバスに乗り換え約20分で焼山登山口につく。神社の前のバス停から3分ほど東野方面へ歩くと、焼山登山口の標識がたっている。
【第一日】
(登山口〜蛭が岳)
焼山登山口の標識から狭い林道を15分ほど歩くと登山道分岐があらわれる。登山道は沢沿いの緩やかな登りから徐々に傾斜を増し、やがて右方より西野々からの道を合わせる。しばらく急な登りが続き、傾斜が幾分ゆるんだところで鉄塔の展望台が建つ焼山山頂にたどり着く。山頂から先は時折下りを交えたなだらかな登りが続き、左方より鳥屋からの道、右方より平丸からの道を順に合わせ、黍殻山を左からトラバースするように進む。トラバースの間、黍殻山山頂への道を右側へ二度ほど分ける。さらに進むと水場の標識が現れる。ここで水を補給するにはやや急な道を1分ほど下る。水場をやり過ごすとすぐ大平への道を左に分け、黍殻山避難小屋の建つ広場への分岐に出くわす。この広場は開けた草原となっており、所々に休憩台が設置されていて昼食などをとるのに最適である。広場の脇を抜けなだらかな登りを続けると、東野からの道を右から迎え、さらに進むともう一本東野からの道をあわせる。ここが八丁坂の頭である。なだらかな登りがかすかな下りに変わるとすぐに姫次につく。
姫次は晴れていれば丹沢の主要峰から富士山までの眺望が楽しめる開けた広場になっており、季節には様々な植物が草木の緑に色彩を添える。また、焼山登山口からここまでは東海自然遊歩道として整備されており、年少者や初心者のハイカーも比較的安全に歩くことできる。
神の川方面への東海自然遊歩道に別れを告げ、蛭が岳方面へ進む。やや急な下りを10分ほど続けたあとはなだらかな道がしばらく続く。やがてちょうど小屋が一軒建てられるような広場である原小屋平(原小屋山荘跡)にたどり着く。ここの水場は複雑に入り組んだ枯沢をかなり下るので、引き返すときには道に迷わないよう注意が必要である。なだらかな林間コースを進むと平坦な地蔵平にたどり着き、ここから土留めの丸太が所々階段状に組まれている急登になる。一カ所、神ノ川方面に激しく崩壊している箇所があるので注意が必要である。息を切らしながら急登を続けると、樹林帯が突然開けたところが蛭が岳山頂である。
蛭が岳は丹沢の最高峰であり、開けた山頂からの眺望は急登の苦しさが一気に吹き飛ぶほどで、特に一段と高く大きく見える富士山が印象的である。山頂には最近改築されたばかりの真新しい蛭が岳山荘が建ち、ベンチ等も整備されている。
蛭が岳山荘は通年営業で小屋番が常駐し食事もとれる。まだ切り出したばかりの新鮮な木材で囲われている小屋内は、くつろぐに十分なたたずまいである。ただしシーズンを問わす週末は大変混雑するので、宿泊には窮屈な寝床を覚悟する必要がある。近隣の小屋の宿泊状況をチェックし、体力的に可能なら例えば丹沢山山頂に建つみやま山荘まで足を延ばした方が十分に休める場合がある。
【第2日】
(蛭が岳〜丹沢山)
今日は丹沢山から丹沢三ツ峰を経て宮が瀬に下る。
蛭が岳は東西南北に尾根を従えており、丹沢山へは東へのびる尾根を進む。山頂を出るとはしばらく開けた草原の中を下り、中ノ沢乗越を経て、丹沢では珍しい岩稜帯の鬼が岩を通過する。鬼が岩の登りは短いが傾斜もあるので雨天時にはスリップに気をつけたい。若干下って登り返すと棚沢ノ頭に着き、さらに進むと不動の峰にたどり着く。不動の峰は丹沢第二の高峰であるが、山頂は樹木が散在しあまり視界も良くない。少し丹沢山方面に下ると休憩舎が建っている。笹の斜面を下っていくと早戸川乗越の鞍部にでる。登り返すと道はすぐ樹林帯に入り、つるべ落としの急登となる。所々丸太が組まれた道はやがて傾斜が緩み、みやま山荘が建つ丹沢山山頂に到着する。
丹沢山山頂はベンチが整備されており、ピクニックを広げるにはもってこいだが、広い山頂は四方を樹木に囲まれており展望はきかない。また、人慣れした野生の鹿が多く生息しているので、この辺りでよく見かけることがある。
南に続く登山道は塔ノ岳への道で、丹沢三ツ峰へは北東方向へのびる尾根へと進む。丹沢三ツ峰尾根はブナなどの林相が美しい山稜であるが、その名の由来となった太礼ノ頭、円山木ノ頭、本間ノ頭の3ピークの他にもいくつか顕著なピークが連なり、登下降を繰り返す縦走にはそれなりの体力が必要である。
広い登山道を下りはじめるとすぐに右手に堂平方面への道を分ける。ここから若干の登りになり、まず一番目のピークである瀬戸沢ノ頭にたどり着く。ピークを越えると鞍部まで一気に下り、丹沢三ツ峰への登りとなる。まず最初に太礼ノ頭を越え、丸太の階段が組んである急な登りを経て三ツ峰の最高峰である円山木ノ頭(1360m)にたどり着く。ひと下りして再度急激に登り返し、無名のピークを越えさらに登ると本間ノ頭である。本間ノ頭をすぎるとしばらく単調に下り続け、道が再び登りに変わるとすぐに松小屋ノ頭の小ピークに達する。さらに進んで金冷シの岩場を慎重に通過した後、やや登って板小屋沢ノ頭に達する。板小屋沢の頭は従来ピークの北側(左側)を巻く道が付けられていたが、1998年4月に崩壊し、現在は狭い尾根伝いにピークへ直登する道が付けられている。登下降とも悪い道なので細心の注意を払うこと。右に丹沢林道への道を分け、高畑山、御殿森ノ頭をそれぞれ巻いて、あとはひたすら下り続けると宮が瀬ダムの水面が視界に飛び込み、やがて舗装された丹沢林道に出る。
(下山口〜バス停)
林道を左へしばらく歩くと、三差路のバス停にたどり着く。
(交通)
JR横浜線、京王線橋本駅から神奈川中央交通バスで三カ木へ。そこから同バスの東野方面行きのバスに乗って焼山登山口バス停下車。帰路は三差路バス停から神奈川中央交通バス本厚木駅行きで終点本厚木駅へ。
(宿泊)
蛭ガ岳山頂には蛭ガ岳山荘(пF020−252−3203)があり、丹沢山山頂にはみやま山荘(пF0463−88−2144)がる。また黍殻山には無人の避難小屋があるが、寝具、火器、食料などを携行する必要がある。
(コースメモ・アドバイス)
水場は黍殻山避難小屋手前の水場で補給しておくこと。原小屋平の水場は複雑に枝沢が合流してくる沢筋をかなり下る必要があるので、補給に15分〜30分は見ておいた方がよい。蛭ガ岳山荘ではミネラルウオーターなどの飲料水を売っている。不動ノ峰直下の休憩舎から北側に5分ほど下ったところにも水場はあるが、枯れている場合もありあまりあてにはできない。丹沢三ツ峰尾根には水を補給できる場所はない。逆コースは丹沢三ツ峰尾根の激しいアップダウンから入ることになり、体力的にきつい。