スパイ大作戦![2002.6.6]
スーパーでカゴも持たずに携帯電話片手に惣菜コーナーへ急ぐ女を見たら、それは私...
私の父はコロッケの卸し業をしている。
昔はいろんなことをしていた父だったので、子供ながらにイマイチ本職が分からず、
「お父さんのお仕事を知ろう!」みたいな小学校の宿題では
大工の絵を描いて提出したこともあった私だが、今なら分かる、父はコロッケの卸し業。
うんうん。私も大人になったもんだ。
さて、その父が珍しく私に頼み事をしてきた。
父が頼み事をすることはめったにないので(「ドラマ録画しといて!」くらいはあるけど)、
頼まれた時は快く引き受けることにしている。
さて、その頼み事は...コロッケの価格調査をしてほし〜い!
父の会社で卸しているコロッケが、お店ではいくらで売られているのか客として見に行き、
それぞれのお店の値段を教えてほしいとのこと。
安くしすぎているお店は要チェック!私の調べたデータを元に、適正価格で売るよう交渉するらしい。
会社の人はそれぞれの通常業務があるので、誰かいないかな〜と見つくろったところ、
ヒマそうな私が最適!何より、学生なので定期券があるのが魅力!と父は考えたらしい。
出歩くことが好きな私はあんまり考えずに「いいよ〜」と答えた。
母がなぜかバイト料を決め、1件500円となった。相場らしい。(なぜ母が相場を知っている???)
そうなると、 10件で5000円。1日これくらいは稼ぎたいもんだ。
ちゃんとお昼ゴハンも当然交通費も経費として請求できる。交渉でおやつもオッケーになった。
初日。その日はいつも使っている私鉄の沿線を調べることになった。
今日はほとんどが駅のスーパーだから楽チンかな〜。
10時半、出かけるところだった母に駅まで車で送ってもらい、早速駅のスーパーを見る。
覚えきれないデータはどうやってメモしよう...鉛筆とメモ帳じゃ、バレバレかな〜
と考えた私は、携帯電話の新規メールに打ち込んでいくことにした。
スーパーの他のコーナーをふらりと見つつ、惣菜コーナーへ立ち寄る(さりげなくね)
ポテトコロッケが50円、スペシャルコロッケが...全然覚えられない。
すぐに携帯電話の登場だ。メールを打っている感じで...よしオッケー。
何も買わずにスーパーから出てくる。
さあ、電車で次の駅へ移動だ...と思ったら、なんてことよ!マッタク!
肝心の定期券を忘れてしまったのだ。マヌケすぎる...。
交通費出るし、切符買っちゃおうかな〜、と一瞬思ったが、
定期がない私はただの女。なんの価値もない。
片道15分、200段の階段を上がって家まで帰るケナゲな私。暑い。暑い。暑いぃぃぃ!
さあ。しきり直しだ。次の獲物(?)は、隣の駅の小さい揚げ物・焼き鳥屋。
間口のせまい店。いらっしゃい!というおばちゃんの声。
これは...見るだけはツライッ。
結局ポテトコロッケ1つ68円を3つ買って、バイト先に差し入れすることにした。
店のおばちゃんにお金を払う。ちょうどガラスケースの中を見ると、使っていない値札が積まれていた。
一番上には『本日特売!ポテトコロッケ3つで100円』の値札が!なに〜!
早速チェック!私って目ざとい〜!自画自賛。
コロッケを持ってバイト先へ立ち寄る。
ちょうど12時でシフトの出入りが多い時間。ユ●キちゃん、○ちゃんがいた。
コロッケだよー!と渡し、コロッケの価格調査をやってるんだよ〜と事情を話すと、
「あ〜、あそこのコロッケってウッチーのおうちのコロッケなの?」おっ!知ってるお店らしい。
そして、「あそこって、毎週木曜日、3つ100円なんだよね〜」ナイッス!それを知りたかったんだよ!
何やら行列ができるほどらしい。大人気なんだね(でも今日の調査で安売りがなくなるね、きっと)。
情報ありがとう!ユ●キちゃん、○ちゃん!
その日はその後、駅のスーパーを中心に全部で13店舗チェックする。
初めのうちは『スーパーに入ったらカゴ持たないと変かな〜』とか
『たまには何か買わないとだめかな〜』と思い(A型の小心者だからね)
ペットボトルのお茶、お菓子、歯ブラシ(これは経費では落ちないよな〜)など
ムダなことをしていたのだが、当然のことながらスーパーにとっては大勢いる客の一人な訳で、
買わない客がいるのは日常茶飯事。そう自分に言い聞かせてだんだんと何も買わなくなり、
カゴも持たなくなり、入るなり惣菜コーナーに直行するようになった。もう職人だ。
調査パターン<スーパー編>
スーパーに入店→『お母さんどこかな〜?』と先に入店した母を捜している風にあたりを見回す
→惣菜コーナー発見!→徐々に近付く。そのとき!まるで携帯にメールが来たかのように
カバンからメールを取り出す(バイブのようにちょっと震えるとなお良し)→メールを読むフリ
→惣菜コーナーの前。まだ携帯を片手に持ちつつ、コロッケチェック!
→そしてまるでメールの返事を出すかのように、新規メールに値段を早打ち!
→もう、お店には用はない。もう一度惣菜コーナーを見て、
『ちぇっ、カニクリームコロッケ欲しかったのになぁ』みたいな表情をしつつ、お店を去る。
(あれ?お母さんは捜さなくていいの、とか言わないように!)
この動きさえ押さえれば、5分で済ませ、10分後の電車で次の駅へ移動できるのだ!!!
でも、同じ系列のお店ばかり一気に行ったから、
『注意!白いシャツにジーンズ姿、トートバッグを持って、帽子をかぶった女が
惣菜コーナーの前で携帯メールを早打ちしている姿が各店舗で目撃されています。
スパイの可能性大!』な〜んてファックスが出回っているんじゃないんだろうかと、
心配になってくる、やっぱり小心者な私。
二日目。今日の調査対象は、市内の住宅地の中のスーパー、お肉屋さんが多い。
初日のような楽チンさは望めないだろう...。
炎天下の中、電車、バス、そして歩く。ひたすら歩く。500円が目の前でちらつく。
「500円...意外に安いかも...しかし、なぜ母がギャラを決めたんだ...」
ヒーヒー言いながら、いろいろな場所へ足を運ぶ。
でも、市内と言っても今まで車、電車で通りすぎるだけだった場所がほとんど。
自分の足で行くとその場所が今までよりも自分の中に強く残るのだ。
ちょっと市内観光・ひとり遠足みたいな得した気持ち。
二日目も13店舗。よし!がんばった、私!次回は東京方面。
見かけた方はそっと声援を送ってくださいね。