虫のたわごと




その4 「祭りとは関係ありませんが」






私はよくスキーに行く。






雪が降ると、どうにもならないくらいに滑りたくなる。







朝からメシも食べずに滑っている。(ホントはスキーのやりすぎで、メシ食うカネない)





ああ!!いい板が欲しい。






というわけで、先シーズン、久しぶりに板を買った。




欲しくてショップへ通った。




ニューモデルなのに、








半額にしろ!






24回払いにしろ!!

いろいろ言った。




当然
ムリ





それでも欲しい。




うおっ!高い!!!デモ用の板だ。




「見るだけだ、買わない」




と決めていたのに、

なんじゃこりゃ!右手が勝手に動いている。


しかも
勝手に板を握りしめ、


さらに驚いたことに、
口が勝手に動いた。




そして声が出た。
「買うぜ!」



妻になんの相談もなしに買った。








どうしよう、

ヤバイ、
ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、スゴイヤバイ






ところが性懲りもなく、しばらくすると、もう1本欲しくなった。






これも高い!!!





俺は絶対にもう一本板なんて
買わないぞ




特に、この、
赤いスラローム用のなんて絶対に買うもんか。




といいながらショップに通った。




しばらくすると、あれほど買わないと言っていたあの
赤いスラローム用の板に張り紙がしてあった。








「オキラク様お買い上げ」




なんじゃコリャ!こんなもん買わんぞ!と言いながら、板を持ってレジに立っていた。




それから、この手が、この口が
勝手にしてしまったことが家族にバレるまで、長くて、苦しい、涙なしでは語れないドラマが始まったのであった。






まず、板は車に積みっぱなしとしても、滑る前にはワックスをかける必要がある。










家族が寝静まった深夜。




こっそり外へ出て、スキーをバイスにセットして、アイロンを取り出してワックスがけ。




おおぅ!!寒い!!
寒すぎて、スキー専用のアイロンはなかなか温まらず、ワックスが溶けない。




かじかむ手でなんとか一連の作業を済ます。




真っ暗な夜中に、ランタンの灯りで作業はすすむ。




ああ!まるで、かってのNHKの朝の連続テレビ小説の
「おしん」じゃないか・・・・・









しかし、秘密はいつかは暴かれるもの。








そして運命の日はやってきた。







つづく










 え? 続くんですか?(管理人)