pages

卒業論文作成への手引き               
                           環境システム
学科セミナーK−ver.3(暫定版)

  この手引きは、セミナーK所属の学生諸君の参考になるようにまとめたものである。
他のゼミの諸君はそれぞれのゼミ担当教員の指示に従ってください。


T 卒論作成の日程
 1.論文題目(仮テーマ)の提出:5月下旬締切(掲示に注意すること)。
 2.論文提出:学部事務室に提出。提出に1秒でも遅れた場合は卒業不可
         締め切りは1月8日〜11日頃になるが、詳細は掲示を確認すること。
 3.口述試問:提出論文の内容について、1〜2月に実施。
 4.卒業論文作成の大まかな日程
 三年生の終わり頃には、セミナーUで読んだ論文などを参考に、卒業研究で取り上げる テ
ーマを決め、関連する地域の地図や論文などを入手しておく。春休みには、現地の予備調査、
既存の論文を読むなど、十分な準備をしておくこと。5月下旬の題目提出までには、卒業研究
の目的、方法などを十分検討し、論文の骨組み、構想を練っておく。そして、夏休みに本格的な
現地調査を行う。10月には、論文の下書きに入る必要があるが、それまでに気付いたこと、整
理したことをこまめにノートにまとめておくことが大切である。このノートは卒論作成に役立つは
ずでる。12月下旬には、清書に取りかかる。本文を書く以上に、図表の作成には時間がかか
る。図表は、忙しくなる前に作成しておくとよい。作成した図や表を見ながら作文をするとよい。

 なお、四年生になると、就職活動に思いのほか時間をとられることになるので、その 点も考
慮に入れて、早めに準備をはじめること。

  以上の日程を表にすると、概ね以下のようになる。
 
時期 仕事の内容
3年次冬 テーマ・対象地域の暫
定的決定
   4年次春休み 文献調査・現地予備
調査
4年次5月 テーマ・地域の最終決
4年次5月末 論文題目提出
4年次10月 下書き執筆開始・図表
作成
4年次11月 下書き原稿完成
4年次12月 図表墨入れ開始
4年次12月中旬 本文清書開始
4年次1月上旬 論文提出
    
U テーマの設定と調査法
 1.テーマの設定
 水文環境に関するもの、水と環境に関するものであることがセミナーKで卒業論文を書く条件
である。
 あまり大きなテーマ、また広い地域を対象とするテーマは、時間的に間に合わなくなったり、
まとめきれなくなる可能性がある。また逆に、極端に狭いテーマ、限定したテーマをでも、まとめ
にくくなることがある。
 4月下旬に提出した卒業研究のテーマは原則として大きく変更できないので、やや大きめ、広
めのテーマ設定を行い、卒業研究を行いながらさらにテーマを絞り込む方向で考えるべきであ
る。
 具体的にはセミナーなどの時間に発表してもらい、軌道修正を加えながら、よりよいものを目
指していく。

 2.調査法
 具体的には関連する実験、実習を履修することによって、基本的な調査法はマスターできるこ
とになる。しかし、目的によっては特殊な調査法が必要となることもあり、卒業研究指導等の中
で具体的に指示をする。

V 資料収集に関する注意
 1.文献の収集
  (1)文献検索
 独立行政法人産業科学総合研究所HPの「日本地質文献データベース」が便利である。ま
ず、検索にかかった論文を大学の図書館、図書資料室で探しコピーをする。その論文をよく読
み、その論文の最後に付いている引用文献を見て、さらに文献を探すことにより、研究の流れ
を把握し、自分の研究の方向付けをよりしっかりしたものにする。 
  (2)収集の方法
 大学図書館で探すか、関連分野の教員の蔵書を借用する。あるいは雑誌が本学にない場合
には他の大学の雑誌のコピーを本学図書館を通じて入手、あるいは直接その大学でコピーす
る。どこにあるかは国立情報学研究所の”NACSIS Webcat”から検索できる。

主な雑誌を以下に示す。
[日本}
 地学雑誌、地形、地球科学、地理、地理学評論、地質学雑誌、第四紀研究、気象研究ノート、
気象集誌、工業用水、応用地質、陸水学雑誌、水利科学、天気、東北地理、日本水文科学会
誌、日本地下水学会誌、火山、地域研究
[外国〕
 EOS(Transactions,American Geophysical Union)、The Journal of Geology, Journal of
Hydrology、Limnology and Oceanography、
  Progress in Physical Geography, Water Resources Research

また以下の紀要等も参考になるであろう。
 大学院紀要(立正大字)立正大学大学院
 大学院年報 立正大学大学院文字研究科
 ANNUAL REPORT OF THE INST.OF GEOSCIENCE,THE UNlV.OF TSUKUBA
 SCIENCE REPORTS OF THE INSTUTUTE OF GEOSCIENCE、 THE UNlV.OF TSUKUBA
 筑波大学水理実験センター報告 筑波大学水理実験センター

 単行本の場合、本学になければ、他大学・公共図書館を利用するしかない。
その際は、図書館のカウンターで相談をすること。場合によっては国会図書館で閲覧する。

 なお、コピーにあたっては必要な手続きを取っておこない、コピーしたものには、必ず雑誌名、
巻号、発行年など記入しておくこと。

 2.統計データの収集
 (1) 自然関係の統計
 気象庁月報、気象庁年報、雨量報告、気温報告、日本気候表、気象要覧、理科年表、積雪累
年気候表、流量年表、流量要覧、雨量年表、全国地下水(深井戸)資料台帳、全国深井戸地
質資料台帳、工業用水統計表、地下水位年表、水質年表、日本河川水質年鑑、ダム堆砂統
計、海水位資料、下水道統計、水害統計、上水道統計、河川便覧、水経済年報

 (2) 人間活動に関する統計
 国勢調査報告、人口動態統計、事業所統計調査報告、工業統計表、全国物価統計調査報
告、住宅統計調査報告、日本統計年鑑、日本の統計、世界統計年鑑、国際統計要覧

 地方自治体にはいろいろな資料が保管されている。しかし、大部分の資料は、公表されてい
ないケースが多い。これらを収集するためには国・地方行政体のそれぞれの部課をたずね、依
頼をしなくてはならない。
 資料収集にあたっては、図書館を別にすれば、ほとんどの役所で、身分を明らかにし(学生証
を準備)、目的を述べ、必要な資料を具体的に示し、依頼しなくてはならない。その際の手続き
については先方の担当者に確認して、必要な書類を準備して行くこと。
                  
 3.地図の入手
 国土交通省国土地理院発行の地図は、大きな書店で購入する。急ぐ場合には、たとえば池
袋の旭屋、東京駅のブックセンター、日本橋の武楊堂などで購入することが出来る。また急が
なければ、ステラ2Fの書籍コーナーから注文して取り寄せることも可能である。なお、熊谷付
近のものは、熊谷市内の八木橋デパートの書籍コーナーで購入は可能である。古い時代の地
形図が必要な場合には、国士地理院のコピーサービスを利用する。

 4.その他の地図
 産業科学研究所の旧地質調査所が発行している地質図は東京地学協会(電話03-3261-
0809)にて購入することができる。どのような地質図があるかについては同研究所のHPを参照
のこと。
 大縮尺の地図(1/2500などの地図)は、それぞれの市町村役場の都市計画課や土木課など
で販売してもらえるので、詳細なデータが必要ならば入手したほうがよい。
 特殊な主題図を国・地方行政体などが作成している場合があるので、訪ねてみるとよい。
   
W 記述の形式

 1.論文の用紙・印刷形式
 ワープロを用い、A4版の用紙を用い、一行35字一頁30行で打ち出す。その際、上部に2.5c
m、下部に3cm左側3cm、右側2.5cmの余白を設けること。用いる字体は明朝体とし、ポイント
は12とする。
 枚数の最低制限はない。ただし自分の研究成果を読み手に正確に伝えるために、必要にし
て十分な記述が不可欠である。十分に卒業研究の内容が伝わらないようでは「卒業論文」とし
ては「不可」となる。従来の研究などの文献レビューだけでも数ページは最低必要となると思わ
れるので、卒業論文全体のページ数は50ページ程度にはなるのでなかろうか。
 また最初の目次にはページは打たない。

 2.装丁
 本学科所定の表紙(ステラ売店にて販売)を用い、所定の様式に従い論文題目・学籍番号・
氏名を記入、表紙にのり付けするとともに同じものを内表紙とする。続けて和文要旨、欧文要
旨、目次、本文、参考文献の順に綴じること。
また売店が正月休みに入るので、表紙は12月中に売店で購入しておくこと。 

 3.論文の体裁
 学術論文の体裁は一言で言い尽くせないが、多くの公表された論文が、ひとつの目安になろ
う。さらに、「日本水文科学会誌」「陸水学会誌」「地理学評論」などの雑誌論文を参考にして欲
しい。卒論の段階では、形式の模倣はむしろよい結果を生むことになる。
 なお、卒業論文の中に不要な事柄、関係のないことを書いてはならない。必要にして十分な
記述が望ましい。また、十分な研究成果があがらなかったことなどをくどくど弁解することもよく
ない。

 4.文体・文字
 文体は、「・・・である。」「・・・であった。」「・・・と考える。」のようにし、「です」・「ます」調は避け
る。また、自分・私僕は使わずに、「筆者」とすること。
 文章は自分の調査の結果から導きだされたもの、聞き取り調査の結果わっかたもの、他人の
論文や資料などにあったものなどの違いが明確になるようにしなくてはならない。
 論文は、ワープロを使用する。ワープロを使用することによって修正が容易となる。
 誤字・脱字・送り仮名に注意。自信のない字は、辞書で確認するくせをつけておくこと。
 文章は、主語・述語を明確にして、重複を避けること。また、非常に長い文章をよくみかける
が、これはよくない。できるだけ、短い文章にして、しかし・一方・さらに・同様の事例は・また・な
どの語句を用いて、文と文を関連づけるようにすべきである。術語の統一がない論文もめだ
つ。
 提出の前に、誰かに読んでもらい修正を加え、意味不明の文章を提出することがないように
する。

 5.注
 他人の論文の一部をそのまま引用したり、ある程度まとめて引用する場合には、必ず注をつ
けて明示すること。このことは、学術論文の必須事項である。これを行わない場合には、その論
文は盗作となり、最悪の場合、卒論の評価は「不可」となる。
 下書きの段階できちんと引用部分とその論文名などをメモしておくこと。
 6.引用文献
 引用文献表を最後につけることになるが、その形式は以下の通り。
   (単行本の場合)
   著者名(発行年)書名、発行所名、全ページ数または参照ページ数
   (雑誌論文の場合〕
    著者名(発行年)論文名、雑誌名、巻号、引用開始頁−終了頁
   (論文集に所収された論文の場合)
   著者名(発行年)論文名、論文集の編者名、論文集名、発行所名、引用開始頁−終了頁
   (一度注にあげた文献を再度注にあげる場合) 
   例 15)前掲7)pp.23−32

 注番号は、文章中の該当箇所の右片上に半括弧で示し、章・節にかかわりなく、全体で通し
ナンバーとする。研究者名が誰であっても、敬称はつけないのが慣例である。
 以上は、主に文献の注の説明であったが、6)のように語句の解説や、文章の補足説明を注
にいれてもよい。特に、下書きの段階で、論文の規定枚数をオーバーしていることが判明した
場合には、一部を注に落とすことによって、それをクリアーするという方法もとれる。これは余り
お奨めできる方法ではないが、脚注のスペースが不足するようであれば、白紙(ぺージ数は打
たない)を次ぺージに入れて、注を書き増すことも可能である。

 7.孫引き
 孫引きとは、自分が読んだA氏の論文の中に紹介されているB氏の説を、B氏の原本までさか
のぼって調べずに引用することである。これは決して好ましいことではないので、さける  こと
が望ましい。ただし、B氏の論文の入手が難しく、しかもその引用が必要な場合には、自分の原
稿には「B氏の説によれば、・・・」として、注にはA氏の論文名を書くぺきである。

 8.句読点・かぎ・かっこ・改行
 句読点は。、を用いること。

 9.数字・アルファベット・ルビ
  数字・アルファベットは、1マスに2文字入れる。また、地名・人名などで読みにくい字には、
ルビをふること。

 10.ぺージ数
 各ページ欄外右上にべージ数を打つ。ぺージ数は、目次や図表・写真および空白の紙には
打たない。
ページは、審査する教員が口述試問のためにメモをとる際、必要なものである。

 11.図表・写真
 収集したデータ、統計資料をそのまま使わず、必ず論述にふさわしいように整理し、明瞭な特
徴があらわれるようにしなければならない。また、図にして示すことにより、より効果的に表現で
きる場合もあるので、工夫が必要である。
 図表はパソコンのしかるべきソフトを用いて、きれいに印刷したものを用いてもよい。上質紙
にロットリングなどで墨入れしてもよい。図表には、下記に示したように図表番号、タイトル、出
典、スケール、方位などを、記入すること。
 図の場合は下に、表の場合は上にタイトルを書く。トレーシングペーパーをもちいて図表を書
いた場合には、上質紙にスティック糊で張り付けること。水っぽい糊は乾燥すると、ガワガワに
なってせっかくの苦労がむくわれないことがある。図表の大きさは、必要に応じて縮小し、A4版
の卒業論文に綴じ込むことが出来るようにする。天地左右に適当な余白がなければならない
ので縮小することが多くなると思われるが、その際文字が小さくなりすぎて読みにくくならないよ
う十分注意すること。
 図表は 黒一色が望ましいが、地質図などのように凡例が多い図は、色鉛筆などを用いるこ
とも必要である。その際、地質図や土地利用図などのように、色の用い方には一般的な取り決
めがあるので、それに従うこと。
 図表を書いた紙は、本文で引用したページのすぐ後に綴じこむようにする。従って、本文で引
用しない図表は、いかに価値があっても卒論にのせる必要はない。
 写真は、図表とは別に独自に写真−1、写真−2として示してもよい。写真は、上質紙に貼り、
タイトル、簡単な説明、撮影場所、撮影日時など記入しておく。光沢のある写真は、写真同士が
付着することがあるので、紙をはさむなどの工夫がいる。

X 記述の内容
 卒論は、「はじめに」と「おわりに」の間に、3〜4位の章で構成されるのが普通である。「はじめ
に」「本研究の目的」「研究方法、あるいは調査方法」「結果」「考察」「おわりに」といった章立て
が一般的である。
 特に「はじめに」では、どのようなことを、どのような方法でアプローチするかについて述べる。
まず、テーマに関する自分なりの問題意識を簡潔明瞭に述べる。具体的にいうと、このテ ーマ
を卒論でとりあげた理由、このテーマが水文学的に、あるいは環境科学的に、多少おおげさで
あるが現在の環境問題にとってどのような意義があるかなどについて、述べなければ ならな
い。次に、このようなテーマについて、水文学(あるいは隣接分野)ではどのような研究 がおこ
なわれてきたかを述べる。いわゆる既往の論文のレビューである。これは、過去に研究に学
び、また自分の研究の位置付けを把握することになる。その意味でも重要な部分である。少な
くとも、10論文以上(欧文を含む)を読み、簡単なコメントをするなりして、自分の論文がどのよう
な立場をとるかを明示する。
 次に、「本研究の目的」を簡単に述べ、具体的に本研究でどこまで明らかにするかについて 
述べる。「研究あるいは調査方法」では研究目的を達成するために用いる方法、調査法につい
て述べる。「結果」では調査などによって得られたデータを分かりやすい形にまとめて、紹介す
る。「考察」では「結果」から目的がいかに達成されたか、得られた結果から何が言えて、目的と
するものがどのように明らかになったか、について述べる。「おわりに」で今までの内容を要約
するとともに、明らかになった点を強調し、残された問題点を整理しておく。
 フィールド選定の理由も示したほうがよい。「本研究の目的」「研究あるいは調査方法」のいず
れかの章で述べることになる。

Y 口頭試問
 卒論の下書きなどを見直すなどして、準備しておくこと。予め指定した時間内に概要説明を行
ってもらうので、その時間内にまとめて発表できるようにしておくこと。日程・時間は1月中旬に
は掲示されるので、遅れないように注意しておくこと。

Z その他の注意事項
 4年生は就職活動などで大学を留守にすることも少なくないと思われるが、できるだけ掲示板
を見るようにすること。また4年生同士で情報交換を密に取るようにしていただきたい。
 現地調査などで、人手が要る場合には、同級生や下級生に協力してもらうこと。

 最後に
 野外調査時には、交通事故に十分注意し、また現地の方々に迷惑をかけないよう、礼儀正し
く行動すること。
 室内実験、野外実験・調査時には、事故を起こさないよう十分注意をし、使った機器類はきれ
いな状態にして、定められた場所に返却すること。
 また夜間、休日の研究棟への立ち入りは事務室に届け出て、学部長の許可を得る必要があ
る。事故や急病など、万が一の事態に備え、休日の利用は、出来るだけ単独で行わないように
すること


  なお,この手引きは、立命館大学吉越昭久教授が奈良大学在職中に作成された「手引き」を
参考に、鈴木が手を加え簡略化したものである。



                   
トップへ
戻る