地球上の水の流れとその存在状態を、特にその循環に着目して解析、かつ
総合する学問が水文学である。そのうち、海水にかかわる部分はかなり広い 範囲にわたるので海洋学が主としてこれを扱い、特に人間活動に密接な関わ りを有する地表とその付近における水を水文学では扱う。自然界には河川、湖 沼、地下水、氷河など様々な形で水、真水が存在している。地表に落下した降 水は斜面を流下して集まり河川を形成し、そして河川から海へ流れ込む。その 過程で、時には水は地下に浸透してゆっくりと流れ、湧泉として姿を地上に現 し、そして、その後河川へ流れ込む。海面から、あるいは地表面から水は蒸発 し、大気中に戻り、また降水として地表面に落下する。そのような循環系を水 文循環(hydrologic cycle)とよぶ。量的にみると、地球上に存在する水のうちの ほとんどは海水である(96.5%)。続いて雪氷、地下水、湖沼、土壌、大気 中、河川の順に存在している。
水文学の主な対象は、河川、地下水、湖沼などである。それらの循環、ある
いはその水体への水の出入り、収支が水文学の対象と考えてよい。そして水 文学はその循環に付随して引き起こされるいろいろな現象も、その対象として いる。
水文学は地球物理学の一つの重要な分野であり、地球物理学、地球化学、
地質学、地理学、陸水学、地下水学などの幅広い理学系の研究者が、科学的 水文学(Scientific Hydrology)に関する研究活動を地道に行っている。
また技術系の人々によって、応用を意図する工学的水文学(Engineering
Hydrology)の仕事も数多くなされてきている。
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修論」のページをご覧ください。
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