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人間の体の中で血液の流れが重要であるように、地球上の水の流れは、地
球上の諸現象にとって重要な意味を持つだけでなく、底に住む人間の活動に とっても重要な意味を持っている。地表付近で水はその姿を液体から水蒸気 に変えて、熱を運ぶ。また山に降る、ほとんど蒸留水に近いきれいな雨は、山 の斜面を流れ、あるいは地下に浸透して、いろいろなミネラルを溶かし込み、 川を流下して海に入る。時には激しい雨が降り、濁流、洪水となって砂や、大き な岩をも運ぶ。その過程で、我々の人間活動が出す不要物、廃棄物を海まで 運び出してくれる。水は流下する途中で、あるいは海に出てから、大気中に蒸 発する。そして大気の流れとともに移動し、凝結、降水となってふたたび山に雨 となって降ってくる。このような地球上の水の循環を「水文循環」とよんでいる。 この循環は地球表面が常に変化し続けていることを意味し、その動き、循環の 中で我々人類の生存が可能になっているということである。
「方丈記」の冒頭に「ゆく川の流れは絶えずして・・・」とあるように、多くの日本
の河川の流れは絶えることがない。そのような流れがあるからこそ、我々の生 活が成り立つわけであり、汚れたものを海洋に排出することができる。
廃棄物は、海洋で、あるいは地表面から海へ流れ出る前に、「分解されるも
の」は分解されることになる。しかし「分解できないもの」あるいは「分解が間に 合わないもの」は海洋中に、あるいは地表面に蓄積されることになる。有害物 質が分解できないものであれば、それは蓄積されることになり、病(環境破壊) となる。水文循環系、血液循環系を破壊することは、われわれ人類にとって、 まさに命取りとなりかねない愚挙であるといえよう。
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