Live History #01 1977
DEPARTURE
《特別寄稿》 『ゴダイゴ号、その後の物語』
by Mika@Hamakitan


 
私には、その曲が、まるで、ゴダイゴ号の行き先を暗示しているかのように思えました。 

 「What More Can I Say」

 それは1984年に発表されたアルバム『Flower』の収録曲。 あえて嵐の中へと旅立つ一艘の帆船、そしてその死を歌った歌。 客船(ゴダイゴ号)と、ヨットのようなこの帆船では、船の規模からして違うのかも知れませんが・ ・ ・ でも ・ ・ ・。



「What More Can I say」  words by Will Williams (対訳:山本安見)

A lonely sail goes out to sea
Deep into eternity
The wind so impatient
Seizes his prey and
Moans and sighs with glee

Not for joy or happiness
The rebel sails for storm he begs
Billows are playing
The mast is always creaking  
Bending painfully

He is no fool like all the rest
He has a reason, he has a quest
In Alien lands in stormy seas
As if there lurks calm and peace


 I love him I love him

 What more can I say
 I love him I love him
 What more can I say


Reflections in the water said
The salty waters found him dead
His thoughts were the only key to unfold
The secret of his death

He gave me hope to live again
And taught me how to see again

He opened up a world to see
A search for truth eternally


I loved him I loved him

What more can I say
I loved him I loved him

What more can I say 




  
一艘の帆船が旅に出た
永遠の奥底へと……
短気な風は

そのえじきをつかみ
歓喜の唸り声をあげる

喜びや幸福のためでなく
その反逆児は嵐に向かって船を出す
大波はたわむれるように荒れ狂い
マストは始終きしみながら

苦痛に身を屈める

彼は他のみんなのように愚かではない
彼は理性と探求心を持ちあわせている
異国の地の嵐逆巻く海で

まるで そこに静寂と平和が潜むかのように


僕は彼が大好きだ 大好きだ

それ以上 何がいえるだろう?
僕は彼が大好きだ 大好きだ

それ以上 何がいえるだろう


水面に映った影が告げた
海の水は彼の死を知っていた
彼の思考は 彼の死を探る
たったひとつの手掛りだった

彼は僕にもう一度生きる希望を与えてくれた
そして 心の眼で見ることを教えてくれた

彼は世界中の人々の目を開け
永遠の真実を追い求めることを教えた


僕は彼が大好きだった 大好きだった
それ以上 何がいえるだろう
僕は彼が大好きだった 大好きだった
それ以上 何がいえるだろう



アルバム『Flower』収録  JASRAC許諾第0111040504号    

 ゴダイゴ号は、暗示どおり、翌年に沈没してしまいました。 たくさんの、たくさんの乗客を乗せたまま。 そして、沈没後、しばらくして我に返って、詞を読み返して。
 
 サビの繰り返しが、私たちの心の叫びに聞こえて、涙が出ました。



     I love him I love him    What more can I say
      I love him I love him    What more can I say…



       “私たち”は”彼ら”が大好きだ 大好きだ
       それ以上 何がいえるだろう…



 −−−そして、その後の物語−−−

 これは、私の想像上のお話です。


 かつて、世界中を大航海した、伝説の客船があった。 ところが、ある日突然、沈没してしまった。

 しかし、その船は、そのまま海のもくずと消えたわけではなかった。すぐに引き上げられ、今は記念船として港につながれ、観光客に開放されている。 いつ来るかも知れない船出を待ち望みながら、昔からのなじみのお客さんが、ちらほら来るだけ。

 かつて勇壮に船を操っていた、あの乗組員たちはどこに行ったのだろう。 船長 無線士 機関士 航海士 事務長…


 船の中に入ると、ほこりをかぶったテーブルの上に、一冊のアルバムが、ひっそりと、置いてある。彼らを愛してやまない、乗船客たちが集まって作った、船の写真集。  ページをめくると、そこには、こう記されていた。


 
「・ ・ ・ 彼らの記録を 一冊の本の中に 納める事にした。

        今また、彼らの偉大なる功績に 人々は注目をしだしている。

            いずれ又 彼らが同じ一つの次元で合う事を ここに望みたい。」

 それは、無線士からのメッセージだった。




 そして、ついにある日。 何処からか、小さく汽笛の音が聞こえた。 とても懐かしい気持ちがして、それはあの船の旅立ちを告げる、汽笛の音だということに気がついた。 ポケットの中を探してみると、いつのまにか、4つに折ったチケットが入っている。


 皆が、待って待って待ち続けた船出だった。 ただし、チケットにはこう書いてあった。

 『期間限定のサンセット・クルーズ』

 それでも、皆は狂喜乱舞して船に乗りこんだ。

 船のエンジン音を聞くのは、沈没から、実に14年ぶりのことだった。 甲板に立てば足元からエンジンの軽快な響きが伝わってくる。 懐かしくも、新しい響き。
 序々に傾いていく夕日に向かい、乗船客たちは、壮大な船出に、心を躍らせた。

 あの乗組員たちと、同じ船の中にいる。それだけで、もう、十分だと思っていた・・・

 ・・・クルーズは二回だけで終わってしまった。

 乗船客たちは、忘れられたのだろうか。 14年前、共に投げ出された海の冷たさを。

 それは自分でもわからない。 ただ、心の中に、小さな火がついた。 皆、その火を持ち寄って、今日も船に集まる。 港につながれたままの船の中で、波に揺られながら。

 気付けば、いつのまにか、船長が乗っているみたいだ。 船の中は暗くて、よく見えないのだけど。 みんなの火を合わせて、もっともっと大きくかざせば、はっきり見えるかもしれない。  無線士も機関士も航海士も、そこに ・ ・ ・。

 いつか、船いっぱいにあかりが燈れば、きっとまた汽笛が鳴る。 それまで、ずっと待っている。 ずっと、ずっと待っている。


 エンジンルームの鍵を持っている、あの人を。



(完)





■参考資料 FC会報6号
        アルバム『FLOWER』
        写真集「后醍醐」




※写真集「后醍醐」の序文からの引用につきましては、Laugh Off主催のTATTAさんよりご快諾をいただき掲載させていただきました。 TATTAさん、ありがとうございます。

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