Live History #03 1978
MONKEY
【コラム】 モンキー・マジック伝説


 
このライブでは、ドラムのソロから入る。 まだ、ドラの音も“アチャー”の叫びも聞かれない。 ワウの効いたCharのギターが印象的である。

 タケとスティーブのツインボーカルで知られるこの曲であるが、この時点では、“He knew every magic trick under the sun”の部分は、タケだけが歌っており、“To tears the God〜”から再びスティーブの低音が加わるというパターン。 このパートはこのほうがメリハリが利いていて面白いのだが、後に全編ツインボーカルにリアレンジされている。 サビの“Monkey magic”の繰り返しの部分は、まず“Monkey magic”とタケが歌い、次にタケ+コーラスが歌うといった感じで、掛け合いのような雰囲気を出そうとしていたのかもしれない。

 アレンジ前のデモテープ段階の演奏は、ラジオ番組の”アブラカダブラ”の中で披露されているが(1979年11月7日 第5回放送)、このサビの部分は“Monkey magic”の連呼ではなく、
Moneky magicと歌ったあと別のフレーズが当てられている。 その点からも、当初はボーカル、コーラスという掛け合いの構成が取られていたのでは推測される。

 また、このライブの時点では、間奏のギターソロも、まだ旋律が確立していない。 Charがソロで、浅野氏がリフという演奏であるが、その理由は本文で述べた。 また、細かいことだが、後のライブバージョンで聞かれるようになった、サビのベースにおける「ンーバッンバッドゥワッバ〜」の「〜」のあたるビブラートは、 このときにはまだやっていない。

 そして、一番印象が違う部分が、蜘蛛の糸を飛ばすシーンと言えば分かっていただけると思うが、“With a little bit of monkey magic”の部分。 タケのファルセットのみで、なんとも弱々しい。 ドラムも単調にリズムを刻むだけで、曲が立ち止まってしまっている印象を与える。 この部分はこの後、大きくアレンジが加えられてゆく個所である。 同年の24時間テレビでは、タケのファルセットにスティーブの低音と、ミッキーか浅野氏によるコーラスも加わっている。 この24時間テレビでもまだ間奏のギターはこねくり回しているようなソロである。 ドラムソロで入るところと、ギターにワウが効いているのは、Charとのこのライブ演奏のアレンジに似ている。

 レコードの制作がかなり進んだ段階のこの年の後半のライブでは「Birth of the Odessay」からのメドレーでこの曲が演奏されるようになる。 演奏もかなり完成形に近づくが、“With a little bit of monkey magic”の部分はまだタケのファルセットとスティーブの低音というパターンである。

 しかし同年テレビ番組“Music Fair”に出演した際には、タケが通常の高さを歌い、高音パートのコーラスとスティーブの低音がそれを支えるというパターンが確立されている。 また、“He knew every magic trick”の部分もスティーブのボーカルが加わり、全編ツインボーカルの形が完成する。

 ‘79年。 曲の出だしにドラの音、トミーの“アチャー”が必ず加わるようになる。 ライブでの見映えも十分考慮した演出であろう。 間奏の浅野氏のギターも聞きなれた伸びやかなソロが完成している。 またテンポも一段と速くなり、ライブで最高にノれる曲のひとつとなってゆく。

 80年に入り、やはりこの曲もスティーブの低音が無くなることで、軽いものになってしまう感は否めない。 ただし、中国でのライブでは、スティーブの低音を補うかのように“he knew every magic〜”の箇所は高音コーラスが強調されている。 サビの部分もコーラスが強調されている。 またこのライブ演奏では、ホーンズがフィーチャーされており“With a little bit of〜”の部分でも、ホーンズのオブリガードが印象的である。 また、トミーのドラムの手数がやたら豊富で、その辺りも楽しめる演奏となっている。 スティーブの代わりに低音というかユニゾンで歌っているのは、吉沢であろうか?
 また、吉沢になってから、"He knew every magic tric”のベースラインが、公式盤同様の複雑なパターンを弾いているのが確認できる。 スティーブはボーカルをこなしながらなのでライブでは簡略したパターンを弾いていたのかと思われたが、78年のCharとのライブで、ボーカルを取ってないにもかかわらず簡略パターンで弾いているのは意外であった。

 そして‘85年のファイナルツアー。 ’78年のライブ同様、ドラムソロから演奏が始まっている。 サビの部分、まずコーラス厚めの“Monkey magic”が来て(ホーンの音も入る)、そのあとタケ(+ユニゾン?)の“Monkey magic”が追っかける感じで、製作初期の頃とはパターンが逆になっていることが分かる。

 そして再結成の1999年には、印象的な中華風のストリングスがシンセによって再現されておりファンを喜ばせてくれた。(参照「中華ストリングス」byフミヒロ氏)
 この名曲も、ゴダイゴの歩んできた歴史と共に様々な変遷を遂げていることが分かる。


 また、後年、さまざまなアーティストにより、リメイク、リミックスされた別バージョンが楽しめる曲でもある。



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