Live History #05 1979
MAGIC II

【コラム】 ゴダイゴ革命


 
ゴダイゴを語る上で音楽考察以外の特筆ポイントとして、そのマーケティング手法があったと思われる。 FC会報36号にCM制作会社の中島信也氏によるCM業界におけるゴダイゴの功績を記した一文がある。 CM音楽の制作手法に、業界内では「ゴダイゴ以降」という言葉があると紹介されている。 つまりゴダイゴによって、従来のCM音楽制作の手法に革命がもたらされたという主旨だ。

 CM音楽制作だけでなく、マーケティング手法においてもゴダイゴは革命をもたらしたと言える。 日本の音楽の歴史を塗り替えたのが、この時代に作られた『Magic Monkey』、つまり、タイアップによる音楽成功法をデベロップメントし、そしてサクセスした、記念すべきアルバムではないだろうか。


 これは、ゴダイゴの産みの親ジョニー野村の発案によるものだと推測される。 バンドとして売れるまでライブは控え、CMやTVなどあらゆる音楽メディアにて活動の幅を広げるというポリシーに徹していた当時、その戦略が見事大成功したのが『Magic Monkey』ではないかと思われる。 日本でTVドラマの主題歌という売り方でヒットチャート上位を占めた曲は「ガンダーラ」が初めてであったと言っていいだろう。 もちろん、そこに至るまでに、「ハウス」「青春の殺人者」「水滸伝」「キタキツネ物語」「いろはの“い”」と、多くの劇伴音楽を手がけ、同手法で売り込んでいるが、大成功したのは『Magic Monkey』であった。

 もちろん、マーケティングが当たったバックボーンには、ゴダイゴの音楽制作面における安定したテクニックと心地よいメロディがあったからこそ。 確かにタケカワのメロディは、当時の日本において“圧倒的に違う”(ミッキー吉野)ものであったかもしれない。 がしかし、これに匹敵するミュージシャンも多く存在していたことも否定はしない。

 「Monkey Magic」のデモテープがラジオで放送されているが(「アブラカダブラ」第5回放送)、そのメロディは、よくできたビートルズのバラード曲のようで、まだまだ「Monkey Magic」の強烈なイメージは存在していなかった。

 それが、西遊記、中国を思わせるべく、ふんだんにアイディアを詰め込んだ演奏アレンジを加え、さらにその曲たちが、映像の世界とあまりにもマッチしていたことで、強力なイメージとして多くのリスナーの脳裏に叩きこまれることになった。 こうして「山の頂上で卵が割れて猿が生まれた」で始まる不思議な意味を持つ英詞、特異なメロディ、練られたアレンジによる従来の日本になかった「違和感」がリスナーに、とてもかっこよく聞こえたのである。

 タイアップによる相乗効果、ビジュアル的に補完され増幅されるイメージ。 このビジネスモデルは今日における音楽ビジネスのスタンダードとも言える。 その先鞭をつけたのが、他ならないゴダイゴであったことは、その歴史を語る上で落とせないポイントであろう。



参考文献: ■FC会報36号「CM音楽とゴダイゴの関係にみるゴダイゴ」(中島信也氏)
       ■「ゴダイゴBOX」(日本コロムビア)ライナーノーツ
        ■ラジオ「アブラカダブラ」(日本放送1979年11月07日



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