EPISODE 10.
暴れん坊坂東太郎の下半身!
第5章 剛毛的白波股間漕破! 



 さあ諏訪峡もいよいよクライマックス。渓谷が深みを増し川幅も急に狭くなってきた。前方からは轟音が響いてくるが全く先が見通せない。先に行ったラフトの連中が瀬の下でクリアを称え合ってパドルを頭上でカチンカチンと合わせるのであるが(これを瀬を越える度にやっている)、そのパドルのほんの先しか見えないのである。かなりの落差と見た。

「ちょっと見てくる!」

 と、言って艇を置いて岸を歩いて行って驚いた。ザッツ・ホワイトウォーターがそこに待ち受けていた。大滝である、滝壷である。
坂東太郎さん、小学生だなんて侮っていてゴメンナサイ。 下半身はもう、立派な大人なんですね。
 流れが押し寄せる股間を思わせるこの滝壷には、それこそボウボウと、いや失礼、ゴウゴウと白波が立っているのである。

 ラフティングのツアーでも最大級の見せ場なんだろうな。岩の上にはカメラマン(というか金髪女性、たぶん外人ラダーマンの彼女かな?)がスタンバッテこの瀬を落ちて行く一行を写真に収めるべく狙いを定めている。こりゃ我々全員一度自分の目で見ておいたほうがよさそうだ。

「おーい、みんな見に来―い!、見といたほうがイイぞぉ―!」

「うげげげ! なんッスか、ここ!?」


「ガハハ―! な、笑うしかないだろ、こりゃ!」

「どうやって行くんですか!」

「どうも、こうも、行くしかないもん! 

どこ通っても滝壷だよ、タ・キ・ツ・ボ! な、笑うしかないだろ!」

「ハ・・ハハハ・・・・・・」

 フーリーの力ない笑いを無視して、いざ挑まん、坂東太郎(の大事なところ!)。



「よーし、ここで勇姿を撮影してやるから、順番に来―い!」

 先ずは『ゲンゴロウ二郎』カータが行く。

「うお―――っ!」

 と雄叫びを残し、真っ白な波飛沫の中、一瞬でメットしか見えなくなる(右上画像)

水中で左サイドにローブレイスを入れているのだろう、


左岸の岩をガリガリとパドルが削る音が聞こえる。

 
白波の中からゲンゴロウ丸が腹を出して出現した時には、カータは泡だらけの滝壷を必死の形相で泳いでいたのであった。

 次はササヘー。

 “かぬっチャ”(=カヌーをするならリゾートで)を信条にする彼は、こういった激流、岩場がことのほか嫌いである。なにしろ去年多摩川御岳で死ぬ思いをして以来、ハードコースは嫌だと言っている。

 が、ここは見事にクリアである。先ほどの竜ヶ瀬にしてもノー沈で来たのは私を除いてはこのササヘーだけである。

 見ていると彼は姿勢が良い、視線も前方を捉えている。なにより重心の置き方がうまいのだ。スキーやスノボで巧みに斜面を下ることに長けているだけのことはある。それとコース取りも予め出来ているようである。
 瀬の中で無理に切り返さなくて済むようにエントリーの段階でコースを狙って攻めている。いずれにせよ見事に突破である。

 続くフーリー。 多くは期待すまい。

 案の定、白波の中から出て来たものは、ひっくり返った赤いダッキーと、土左ェ門のように全身を投げ出した格好のフーリーの姿であった。怪我もせず無事に流れ出て来ただけでも

『土左ェ門プク三郎』、上出来である。


見事なディフェンシブポーズ!(笑)

またも、絵に描いたような一家離散沈


 『ニシキ鯉太郎』ミャータが続く。珍しく真顔だ。カータとは逆に右方向に傾く。必死にリカバリーしようと踏ん張るが、複雑に入り組んだ流れの中では変則ロールを決めるミャータのブレイスも歯が立たず撃沈していった。


「クッソ―、悔し―!行けそうやったのに―!」

 確かに、あと一歩という感じであった。

 ラストは僕がスプレースカートを剥ぎ取られながらも、無事クリアして

「さすが、隊長!」

 と、喝采を浴び、坂東太郎の剛毛的白波股間の下半身を漕破して、諏訪峡を抜けてゴールインしたのであった。




 


 こうして正しい知識と、まだまだ未熟とは言え着実なスキルの向上を支えに、正しい川原キャンプの実践と、激流チャレンジの水上・利根川ツーリングは無事終了した。

 去年と較べると格段にお天気に恵まれた今年の夏のツーリング。一方で、時に自然は猛威を振るうことを思い知らされた今年の夏。今後もいろいろなフィールドに出向くだろうが、みながそれぞれの判断で正しい選択を重ねてゆけば、間違いの無い楽しいアウトドアをエンジョイ出来るに違いない。

 いくつになっても自然からは学ぶことが多いというのは、ある意味素晴らしいことではないだろうか。ツーリング中の安全のためにも個々のスキルアップと川の知識、救助の知識の取得は欠かせない。

 これからも母なる自然の大きな懐に抱かれて、みんなで成長を続けて行きたいものである。
 
 女性陣も次回は坂東太郎に強姦されないよう腕に磨きをかけて、次回はぜひ、全員でチャレンジしよう。











                        (完)




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