カータが、ここに挑んだのは、我々が犀川で初ツーリングした翌月。 しかも、台風の直後だったそうで、彼のツーリング・レポートを読ませてもらうと、その苦戦ぶりがうかがえる。
その名も「地獄CANOE日記」
(以下、抜粋)
・・・急流にて川の真ん中にある岩をよけようとしたら、バランスを失って、横転・・・
・・・Tシャツに短パンびしょびしょ、ぶるぶる震えながらたばこを一服・・・
・・・友人が「あー、眼鏡落とした!」とSCREAM・・・
・・・左岸には激しい崖が見える!・・・フンガーと曲がろうとするが、右岸の岸壁に激突!・・・
・・・パドルだけは離さないように・・・船にしがみついて・・・流され続けました・・・
・・・何とか岸へたどり着いたとき...二人は..無言でした・・・寒いっ・・・
・・・俺の眼鏡もない!・・・
・・・マジ真剣モードに突入・・・
こりゃ、マジにやらんと死ぬで・・・
なんだか、とっても楽しそうな雰囲気の伝わる好レポートであった。初心者2人でファルトのニ人艇というだけでも楽しそうだが、9月で台風の後というのもタイミングとしては最悪、いや最高だ(もちろん、他山の石話。これを読んでる良識あるパドラーの皆様は決して真似なさいませんように)。 まぁ、6月のこの時期は大丈夫。
「でも、さっき助けてくれた人、今日は普段のこの時期の倍の水量やって言うてたゾ!」
サンちゃんは、すっかり腰引けモードに入っているのだった。

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上流の鉄橋を行くSLを見送って、さぁ次の流れに挑もう。
スタート地点の大きな川原を過ぎると、切り立った崖の自然豊かな流れが続く荒川上流部。ところどころのポイントでロデオ艇が楽しげに練習している。我々一行は、インフレータブルのサンちゃんが、どうにも安定が悪いのか、クルクルと回ってしまってなかなか前に進まず苦労しているが、それでも次々と流れをクリアしてゆく。
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岩畳に囲まれた狭い回廊のような流れの長瀞。しかし観光ライン下りの区間なので、水深もあって流れに任せて快適に下っていける。
そうこうしているうちに、岩畳がぐっと狭まってきた。流れが急に早まりだす。前方に大岩、そして瀬の到来を告げる轟音が聞こえてくる。
「よーし、オレからいくゾ!」
すでに流れに乗っている我々は、スカウティングもせずにその瀬に挑む。なにしろ、このコース最大の瀬“小滝の瀬”は先ほど越えてきたという認識があったから・・・
ところが、迫る急流に乗っかりながら、カータは
(あぁ!ここや! ヤバイ!)
と瞬時に思い出したという。カータの脳裏には昔の記憶が走馬灯のように蘇っていた。
“・・左岸には激しい崖・・・フンガーと曲がろうと・・・右岸の岸壁に激突・・・”
そう、まさに、ここが、長瀞最大の瀬“小滝の瀬”であった。
カータ、遅いっちゅーねん!!
こんな時こそカーナビで調べとかんか!(って、無理か!?)
川幅が一気に狭まり、ゴウゴウと白波が立つ。一気に急流と化した流れは一面、真っ白。同時に頭の中も真っ白! ドカンと落ち込み、頭から大波を食らう。バックウォッシュ、いや次の大波か、バウがはじかれ、目の前で空を突き刺す。繰り出すパドル。タイミングよく波頭を捉えないと、たちまち艇が波に呑まれ翻弄される。 襲う大波に抗いつつ、無理だと思えば身を任せ、波を乗り越えたり、潜ったりしながら、2,3段と続く瀬をクリアしていく。
瀬を越えたすぐ後に、左岸に大岩が迫る。素早くインコースを選んでエディを捉えてターン。すぐさま上流を向いて、後続をケアする。
(絶対、サンちゃんは、流れてくる!)
確信持って、レスキュー体制を取っていた。
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