EPISODE11.
ミレニアム開幕、長瀞スプラッシュ!
第3章 激流突入! 



 カータが、ここに挑んだのは、我々が犀川で初ツーリングした翌月。 しかも、台風の直後だったそうで、彼のツーリング・レポートを読ませてもらうと、その苦戦ぶりがうかがえる。
 その名も
「地獄CANOE日記」

(以下、抜粋)

・・・急流にて川の真ん中にある岩をよけようとしたら、バランスを失って、横転・・・

・・・Tシャツに短パンびしょびしょ、ぶるぶる震えながらたばこを一服・・・

・・・友人が「あー、眼鏡落とした!」とSCREAM・・・

・・・左岸には激しい崖が見える!・・・フンガーと曲がろうとするが、右岸の岸壁に激突!・・・

・・・パドルだけは離さないように・・・船にしがみついて・・・流され続けました・・・

・・・何とか岸へたどり着いたとき...二人は..無言でした・・・寒いっ・・・

・・・俺の眼鏡もない!・・・
・・・マジ真剣モードに突入・・・ 
 こりゃ、マジにやらんと死ぬで・・・


 なんだか、とっても楽しそうな雰囲気の伝わる好レポートであった。初心者2人でファルトのニ人艇というだけでも楽しそうだが、9月で台風の後というのもタイミングとしては最悪、いや最高だ(もちろん、他山の石話。これを読んでる良識あるパドラーの皆様は決して真似なさいませんように)。 まぁ、6月のこの時期は大丈夫。

「でも、さっき助けてくれた人、今日は普段のこの時期の倍の水量やって言うてたゾ!」

 サンちゃんは、すっかり腰引けモードに入っているのだった。


 上流の鉄橋を行くSLを見送って、さぁ次の流れに挑もう。

 スタート地点の大きな川原を過ぎると、切り立った崖の自然豊かな流れが続く荒川上流部。ところどころのポイントでロデオ艇が楽しげに練習している。我々一行は、インフレータブルのサンちゃんが、どうにも安定が悪いのか、クルクルと回ってしまってなかなか前に進まず苦労しているが、それでも次々と流れをクリアしてゆく。

 岩畳に囲まれた狭い回廊のような流れの長瀞。しかし観光ライン下りの区間なので、水深もあって流れに任せて快適に下っていける。

 そうこうしているうちに、岩畳がぐっと狭まってきた。流れが急に早まりだす。前方に大岩、そして瀬の到来を告げる轟音が聞こえてくる。

「よーし、オレからいくゾ!」

 すでに流れに乗っている我々は、スカウティングもせずにその瀬に挑む。なにしろ、このコース最大の瀬“小滝の瀬”は先ほど越えてきたという認識があったから・・・

 ところが、迫る急流に乗っかりながら、カータは

(あぁ!ここや! ヤバイ!)

 と瞬時に思い出したという。カータの脳裏には昔の記憶が走馬灯のように蘇っていた。

 “・・左岸には激しい崖・・・フンガーと曲がろうと・・・右岸の岸壁に激突・・・”

 そう、まさに、ここが、長瀞最大の瀬“小滝の瀬”であった。

 カータ、遅いっちゅーねん!!

 こんな時こそカーナビで調べとかんか!(って、無理か!?)

 川幅が一気に狭まり、ゴウゴウと白波が立つ。一気に急流と化した流れは一面、真っ白。同時に頭の中も真っ白! ドカンと落ち込み、頭から大波を食らう。バックウォッシュ、いや次の大波か、バウがはじかれ、目の前で空を突き刺す。繰り出すパドル。タイミングよく波頭を捉えないと、たちまち艇が波に呑まれ翻弄される。 襲う大波に抗いつつ、無理だと思えば身を任せ、波を乗り越えたり、潜ったりしながら、2,3段と続く瀬をクリアしていく。

 瀬を越えたすぐ後に、左岸に大岩が迫る。素早くインコースを選んでエディを捉えてターン。すぐさま上流を向いて、後続をケアする。

(絶対、サンちゃんは、流れてくる!)

 確信持って、レスキュー体制を取っていた。



 次に、ミャータ。ドカンと落ち込みバウが跳ね上がったかと思ったら、もんどりうって轟沈。真っ白な激流の中、必死にカヌーにしがみつくミャータの姿が見える。しかも後ろ向き。左岸の岩が迫る。

流れに背を向けて
カヌーに捉まるミャータ


「あー!あー岩、あー・・・」

 岩を気にして振り向きつつ、悲壮な声を上げて僕の目の前を流れていくミャータ。ごめん、次のサンちゃんが心配だから、君は自分でリカバってくれ。 心の中で黙祷。
 来た、サンちゃん。 みるも無残に1発目の大波を食らって轟沈。 軽いインフレータブルはその瀬のバックウォッシュに囚われて、白波に揉まれに揉まれ続けている。

 そこへ後続のカータ艇がやってくる。サンちゃんを避けようとカータもバランスを崩したか、その瀬でカータも撃沈。ゲンゴロウ丸の黒い腹が白波に映える。


絡まるように瀬に揉まれるサンタ艇、カータ艇

岩に激突するカータ艇。 カヌーにしがみつく腕が必死

 カータ艇の突入で波が乱れたか、サンちゃんのダッキーも渦を振りきって流れ出して来た。絡まるように流れ来るサンタ艇とカータ艇。

 カータ艇は左岸の岩に波モロとも激突しながら流されていった。

 続くサンちゃんの横にすばやく艇を近づけレスキュー体制。幸い大きく右に曲がったあとは瀞場になっていて、ゆったりと流れている。
 
 サンちゃんのパドルを預かり、僕の艇とダッキーを両方掴ませて、先の中州までサンちゃんを牽引していった。 ミャータ、カータも無事、その中州に漂着していった



流されゆく人たち(合掌)


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