EPISODE12.
濁流・激流、富士川の夏、日本の夏!
第3章 レディス、キャンプを語る 

 
 さあ、ゴール地点に到着。ほとんど日が暮れてしまっていた。食事は、帰京するナオ嬢を駅まで送りに行くついでに町に出て取ることに。富士市内で焼肉を頬ばって、暗闇の中、河原のキャンプサイトに戻ってきた。

 車のライトを頼りに露営を設置、キャンプファイヤーの準備をしていたら、北の空から黒雲が近づいてきて、遠く雷鳴も響いてくる。ポツポツと雨も降り出した。幸い雨は通り雨にもならないほどの、ちょっとしたお湿りで上がってくれる。


 これは帰宅してから知ることになるのだが、当夜は山梨・群馬など内陸地方では局部的な大雨があったようで、我々が去年ツーリングをした利根川・水上の支流湯檜曽川では、その雨による鉄砲水でハイカー達が流され、犠牲者も出た。自分のいる場所に雨が降ってなくとも、はるか上流で降った雨が下流に思わぬ影響を及ぼすということも知っておかなければならないと、再認識させられる事故であった。

 濁流となった川はそれだけで、次なる増水の予兆であるが、我々がサイトを定めた地点は、増水線よりさらに一段上がった場所。富士川が仮に増水しても夜中にテントごと流される心配はない。


日没後のテント張りはちょっと大変(^^;)

 ナオ嬢を新富士の駅まで送っていったカータが帰ってくるころには雨はすっかり上がっていた。雨のお蔭で昼間の暑さも少し収まったようだ。

 さぁ、キャンプ・ファイヤーの始まりだ。

 


 先ほどの雨で拾ってきた流木が少し湿ってしまい、静かなファイヤーであるが、それはそれでまた味が有る。赤々と熾った炭火を見ているだけでなんとも落ち付くのである。

 
 前半は、静かに語らったり、花火をしたり、歌を唄ったりと大人のキャンプ・ファイヤー。が、後半、ロッキングチェアーで居眠っていたTOMが起きだすと、ファイヤー・タイムの幕開だ。流石に女性がいるので脱ぎ出しこそしないが、おゲレツ・ゲーム開始である。



花火・・・

語らい・・・

歌・・・


 ○ンコ・チームと○ンコ・チームと○ンコ・チームに分かれて、手拍子に合わせて、自分のチーム名を連呼する、なんともウレシハズカシの余興である(○のそれぞれに何の文字が入るかは、読者の想像にお任せする)。 キャンプファイヤーを囲んで、夜空の下、大の大人が、しかも、うら若き乙女といっしょに、

「○ンコ、○ンコ、○ンコ!」

 と、声を合わせて叫んでいるのである。一般のキャンプ場でやれば、まちがいなく顰蹙ものであるが、フンドウズがテントを張るところは周りに誰一人キャンパーの居ない専用テントサイトなので(というか、こんなところにテント張る奴は他にいない)、周りを気にすることもない。ときどき、夜空を眺め

「あ、流れ星!」

 とロマンチックなことをつぶやいたかと思うと、次の瞬間には

「○ンコ!、○ンコ!」

 と、叫んでいるのである。まったくもって愉快である。フンドウ・レディスも、臆面も無く“○ンコ”を連呼している。一番リズミカルに張り切っているのがマッツンであった。本当ならチャンピオン、○ンコ・リーダー間違いないのであるが、ペアを組んだTOMが酔っているのか、お調子者なのか、失敗を繰り返すので、ゲームの間ずっと末席に座らされていたのであった。

 真の○ンコ・リーダー、マッツンに、キャンプファイヤーやフンドウズ・ツアーの楽しみを聞いてみた。

「キャンプファイヤーは大好きです。自分じゃゼッタイしないけど、火を見て脱ぐ男性がうらやましいですね。えっ? 女性だけなら? 脱ぎませんよ! でも、私が男の子だったらぜったい脱ぐと思う。だって特権でしょ。火の周りで脱いで絵になるのはゼッタイ男性だと思います」

 いやぁ、理解者がいてくれて有りがたい。火を見るとついつい「ラ族」してしまいますからね、男ってね。裸大好きTOMもこれで安心したことでしょう。でも、TOMには、一言いいたいようで・・

「ダメ亭主TOMくんのお蔭で、負けがこんでゲームの間、万年正座でしたね。ヘタに冒険しないことが、あのゲームのコツなのに。 リズミカルなゲーム大好きです。照れてちゃダメですね」


 
どうりで、いつも大きな声で明るく

「う〜〜、○ンコ!」

 って、叫んでたね。

 ところで、肝心のカヌーのほうは、どんな感想を?


叫ぶときは、元気に叫ぶ!

「思い通りにならなくって、すごく難しいです。今の時点では、カヌーそのものよりも、周りの景色を見たり、綺麗な川で遊んだりするほうが楽しみですね。自然の偉大さに触れられるスポーツって感じです。 フンドウズですか?
年齢不詳の”ラフ&タフ集団”!(笑)」
 マッツンの言う“ラフ&タフ”の“ラフ”って、多分、“rough”(荒っぽい)じゃなくて、「笑い」の“laugh”だと思うんだけど、どうでしょう?

 さぁて、すっかり夜も更けてしまった。時々北の空から広がってきた雨雲も消え、満点の天の川に見守られて、それぞれのテントにもぐり込んだのだった。地面からの熱がほんのりと暖かく、ぐっすり熟睡することが出来た。

 

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