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やがて薄暗かった雑木林が途切れ、開けた川原が先に見えた。穂高川、高瀬川が合流して万水川はここで終わりを告げる。いよいよ犀川への突入だ。
合流地点の川原では別のパーティが休憩していた。 3艇のファルトだ。 我々もその少し先の川原に上陸を試みる。
「ホレ、ここで上陸!」
と声を掛け上陸行動に出たが至近距離に寄って来たのはナオ艇のみ(これも最後は私が身を挺して受け止めた)。 その50メートル先にミャータ艇が漂着、カータ艇に至ってははるか200メートルくらい先に打ち上げられていた。 我が艇の周りには3人、多数決から言っても(しかも女性が2人だ)彼らがここまで戻ってくるのがスジってもんでしょう。
出発後初の上陸休憩。
夏の終わりの川面を渡る風が心地よい。 シットオンに乗ったナオ嬢も、スプレースカートが上手くはまらなかったミャータも、スターンのチャックを開けたままのカータも、みんなお尻を少し濡らしはしたが川下りの楽しさを満喫している様子。 カズ嬢と僕の二人艇も何度か張り出した枝に突っ込みながらも軽快に下ってこられた。
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(背後に、打ち上げられたカヌーが見える)
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万水川はスタート地点の印象を良い方に裏切って、なかなか満足のいく川下りを楽しませてくれた。
先に休憩していた3艇を見送る。 彼らの出発の仕方を見ながらエディー(瀞場)からの「ストリームイン・アウト」なんかをエラそうに解説してやる。 次からは200メートルも離れて上陸しないようにしたいものだ。
さぁ我々も再出発だ。今日のゴール地点は数百メートル先に見える犀川橋の向こう側。 高瀬川の合流後は瀬らしい瀬も無くのんびりとたどり着けるはずである。
犀川は流石に一級河川らしく大河の様相。両翼の河原も広々として気持ちが良い。長野市内で千曲川に合流しやがて信濃川に名を変え新潟で日本海に注ぐ。日本海まで235キロという看板が犀川橋に掲げてある。カータが言う。
「ほんならYAJさん、これで新潟まで帰れますやん」
馬鹿言っちゃいかん。2、3週間会社が休みをくれるならやってやるけど。 そんな余裕のある職場でないことはみなさんご存知でしょう。
川幅が広くなった分流れも緩くなった感がある。しかも北西からの向かい風が更に進行を遅くさせている気がする。 がんばって犀川橋を越えようとみんなパドリングに力が入る。
その時である。振り向くとミャータがザラ瀬に捕まって立ち往生しているではないか。 艇から降りて流れの中に戻ろうとしているのだろう。しかし一向に動かない。 艇を川の流れに棹差す形で自分がストレナー(杭や橋脚といった水中の障害物)のようになってツッタッテいる。 カータが川下から声を掛けるが返事がない。 恐らく瀬音でかき消されて聞こえないのだろう。
5分ほど下流で見守っていたが、まるで動かない。微動だにしない。
彼はここで一生を終える覚悟をきめたのか?!
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