EPISODE 3.
 梅雨の晴れ間に轟沈連発!
第1章 ”ハルオ”のご利益   


 春の那珂川でのツーリングを無事に終え快調にシーズンインを果たした今年は次なる計画の着手も早い。那珂川のゴール地点で早くも次回は6月の第1週に新潟は中越地方の魚野川でという事を決めての解散となった。

  越後三山を背景に流れる新潟きっての清流魚野川とした理由は、他の河川が6月に入るとアユ釣りを解禁するところが多いのに対し魚野川は7月と遅いので、暖かくなってきているこの時期カヌーには最適なこと。6月第1週としたのは本格的に梅雨入りする前にとの判断から。カータ、ミャータも二つ返事で快諾となった。

 手前味噌ながら、那珂川ツーリングの時@は結構寸前に計画が持ち上がったため、カミサンからの風当たりがかなりキツク、今後の育児分担に関する夫婦間協議にまで発展したものだから、このように早め早めに計画が立ってくれると非常にありがたい。妻子持ちは家庭サービス・育児の隙を縫ってこういった遊びの計画を立てねばならず苦労が多いのだ。まぁ近ごろ息子もミルクから離乳食へ、寝返りからハイハイへと順調に育って手のかかりようが少なくなってきているので幾分プレッシャーも軽くなってはきている。成長さまさまである。

 さて次回のツーリングを楽しみに待つゴールデンウィーク明け。ふた月も前に決めたものだから為念、カータ、ミャータのふたりにリコンファームのEメールを入れてみる。

 が、ミャータがここにきて実は6月第1週は友人の結婚式の二次会があると言い出した。

「すんません、事前に通知してもらってたのに、ほんまスンマセーン・・・」

 速攻で「ばかもーん!」と太書きした返事を送り付けた。

  まぁ6月は結婚式シーズンでもあるし、なんだか川に出る前から謝っているミャータってのもミャータらしいな、なんて仏ゴコロを出して日程の再調整を行う。幸いうちのカミサンも6月に後輩の結婚式があり上京するというので赤ん坊も連れていってもらうことにしてフリーの日を捻出。 カータ、ミャータもその日はOKとのこと。日程変更は無事完了した。

 ただ6月の後半となると雨が心配。新潟は例年全国の梅雨の後半、前線が北上してくる7月初・中旬が雨のピーク。平年通りならまずは大丈夫なのだが今年は各地で例年より1週間から10日早い梅雨入りとなっている。それなりの覚悟で来るよう連絡する。カータからメールで返事が来る。

「ダイジョウブっすよ! 晴男なのよ、私」

 
ハルオ?   「ハレオトコ」と言いたいのだろう。やはり「晴れ男」と送り仮名「れ」が要ると思う、この場合。ますますもって当日のお天気が心配。(その後天気の話題になる度にハルオ呼ばわりされるカータであった。)

 今回の参加メンバーは去年の万水川〜犀川ツーリングAのメンツに新メンバーのじゅりあ女史を加え、男3人女3人のバランスのとれたメンバー構成となった。男のいつもの顔ぶれに木材部の頼れるお姉様のカズ、昨年弊社から転職をして外資系で頑張るナオ。ナオちゃんは指導員の資格を持つアウトドアの達人。ボート部でもあったこともあり彼女の参加で非常に肩の荷が軽くなる思いのする僕であった。

 じゅりあ女史は仕事上のメールのやり取りの合間にお誘い申し上げたら、しばらくしてなにやら救いを求めるような返事が返ってきた。

「ほんとに行ってもいいですか? とってもとっても東京を脱出したい気分・・・、カヌーはしたことないのですが、
とにかく東京を脱出してホッとしたいです!」

 本部内では「影の女課長」と部長からも一目置かれる彼女のこと、昨今の厳しい市況の折りなにかと気苦労が多いのだろう。ホッとできるかどうかは保証の限りではないが東京で息苦しくなっていて開放感を味わいたいこういった諸兄諸姉には是非参加して頂きたい。

 さてさて迎えた当日は梅雨前線がジワリジワリと北上して来る週末となった。沖縄で梅雨明け宣言が出されたということはますますもって本土は雨の危険性あり。前日からの雨が残る早朝、時々小雨の降る曇り空の下集合場所の塩沢へ車を走らせる。途中7時前、東京組から電話が入る。

「さっき寮を出たとこなんですよ、スンマセーン・・・」

  と恐縮するミャータの向こうで、

「ダイジョウブっすよ、ダイジョウブ!」
 
 と運転席のカータの呑気な声が聞こえる。

 奴の「ダイジョウブ」ほど当てにならないものは無い。毎度毎度カータはのんびりと遅刻してくるので、いっそサバを読んで集合時間を設定しようかとも考えた。が、今回は7時半に女性陣を上野駅前でピックアップすると聞いていたので今度ばかりは遅刻しないと思っていたが、やはり無理であったか。 途中で高速を降りてゆっくり川を下見しながら向かうとしよう。

 新潟から走って行くと小千谷を過ぎたところで魚野川に出会う。前日夜半までかなりの風を伴った雨が降ったためか下流のこのあたりは茶色く濁っている。でも増水と言うほどの増水ではなさそう。小出の最終ゴール候補地を確認、浦佐の「二段の瀬」を視察。 この瀬の川原にはカナディアンのカヌー隊がテントを張っていた。昨晩到着したらしい。昨夜の風と雨には往生したと言う。彼らは先週もここを拠点に瀬遊びを楽しんだが先週は水がなくて逆に大変だったとのこと。水量的には今日の方が楽しめそうだと言っていた。

 初日のゴール予定地、八海橋の下にも前日夜からのファルト5艇のパーティーがいた。彼らはまだテントの中でお休みのようだ。 その上流六日町の坂戸橋の袂にもファルトを組み立てている数名がいた。6月の魚野川はウワサ通りにカヌーに最適のようだ。

@那珂川ツーリング・・・ EPISODE 2 ご参照。 同年春のツーリング。
A万水川〜犀川ツーリング・・・・ 記念すべき第1回ツーリング EPISODE 1.ご参照。

 10時40分東京組到着。カータも頑張って走ったのだろう、1時間未満の遅れなら上出来上出来。しかし関越トンネルを越えるまでの関東地方の今日は朝から25℃を越えてバリバリの快晴だったらしく越後に入ってからのお天気に一同がっくり。

「こら、ハルオ! なんとかしろ!」

「うーん、おいらの力が及ぶのは関東平野内なのよ」

 なんとも頼り甲斐のないハレオトコであるが、みんなの日頃の行いの良さ(特に女性の)を信じてスタート地点に向かう。塩沢から先も下見をしたが堰堤があったり水深の浅いザラ瀬が多そうなので石打の少し下流の中之島橋右岸を出発地点とする。

 カータとふたりでゴール地点に車を廻送する。今回は車の廻送を理解出来ない「ラ王」もおらず、ミャータと女性陣に任せたカヌーの組み立ても思ったよりすんなりといった。

 川原でコンビニ弁当の昼食をとりながら誰がどの船に乗るかを決める。

出発前の練習風景
カータ艇バレントには今回のカヌー初心者ジュンちゃんが。ハルオも近ごろ操艇に関しては安定したものがあり「ダイジョウブ」だろう。うちのキャンペットにはカズ・ナオコンビが乗り込む。ナオちゃんは去年の犀川ではカータ、ミャータを差し置いて随一のパドルさばきを見せてくれたし、カズもこれで二回目のツーリングなのでこちらも恐らく「ダイジョウブ」。


結局、独り舵のミャータ艇
ミャータ艇バレントにもひとつ空き席があったのだが犀川、那珂川での粗沈のイメージが強く誰も乗ろうとしない。

じゅりあ女史が

「じゃぁ、ジャンケンで負けた人が・・・」

  と言った時には、さすがに

「いいっすよ、もう! いいですっ! ひとりで乗りますぅ!」

  と開き直っていた。

 これまでの犀川、那珂川と比べ幾分テクニカルとされる魚野川だけに僕はプレイボートのクロスファイヤーで先導することに。午後一時、いざ出発。



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