EPISODE 4.
嵐を呼ぶ男ツーリング!
第2章 嵐を呼ぶ男! 




 家に帰ってテレビの天気予報をみると
下越地方は夜半にかけて大雨の恐れあり、と言っている。明日はなるべく早めにキャンプサイトに戻ってやろうと思い就寝した。

 夜半度々激しい風雨が窓を叩く。その度に目が覚めてしまう。4時半、もう寝ていられないと出発することに。傘を人数分、雨ガッパをあるだけ車に積んで三川方面に向かった。

 5時過ぎの市内は夜明けの明るさの中、さほどの雨ではないが遥か東方飯豊山地には真っ黒な暗雲が垂れこめていた。事実安田町を通り過ぎ三川に近づくにつれて雨足は激しさを増す。脳裏には川原に取り残され脱出もままならず立ち尽くす彼らの姿が浮かんだりする。またミャータは去年も10月に荒川でキャンプを張った際夜半から雨に見舞われ

撤収作業中に喘息の発作のため昏倒したことがあった。心配が募る。

 6時過ぎキャンプサイトの見える岩津橋の上からテントの存在を確認。どうやらまだ川は増水しておらずキャンプサイトも無事のようだ。みんなぐっすり眠っているようで私の到着に気づいた様子もない。

 女性が6時半に起床。激しい雨に何度か目が覚めたようだが結構熟睡できたそうだ。また昨日トイレのケアをまったくし忘れたが、ちゃんと寝る前には「お花摘み」に出かけて済ましてきたらしい。結構逞しいのだ。


 降ったり止んだりの空模様。山間の天気は変わり易い。雲が走るように流れてゆく。時に向こうの岸が霞むくらいの大粒の雨を降らせたりもする。女性2人にタープの中で朝ゴハンにと買ってきたオニギリといなり寿司を食べてもらう。それにしても男共は一向に起きる気配なし。

 
 

 
 学生時代からミャータを知っているMさんによると

 「ミャータさんと出かけるといつも天気が悪いんですよ。スキーの時も吹雪いて大変でしたし・・・」

  そういえば7月の3連休もミャータは友人達と海に出かけ雨に降られたと言っていた。私から買い取ったテントを持って彼女とともに喜び勇んででかけたらしいが後半降られて雨の中のテント撤収になったと聞いていた。


 雨の中のテント撤収と聞いて思い出すのがやはり去年の荒川。あの日も前日までの10月とは思えない夏日のような好天を覆し、その年の「木枯らし一号」を呼ぶ寒波に見舞われる。

 
夜半に突風に襲われテントが崩壊し雨の中撤収作業をした。テントが崩壊した瞬間カータと私は必死で天幕を支えていたが当のミャータはその横でイビキをかいて爆睡していた。叩き起こして撤収を開始する。突然起こされ雨の中の逃避行で体が冷えきってしまったミャータは翌朝の本格的キャンプサイト撤収時に喘息の発作が出てしまいあわてて近くの温泉に運び込んだという、なんとも思い出深い一件である。

 そうか雨の原因はミャータだったか。ハルオ・カータBの御利益がイマイチと思っていたら思わぬ伏兵がメンツのなかに潜んでいた。
 今後、ミャータのことは「嵐を呼ぶ男」と呼ばせてもらおう。

男共を起こそうとテントを覗き込む。ミャータがササヘーに寄り添うように、ササヘーは仰向けにされたカエルの様な格好で股間を左手で握りしめて寝ている。それぞれ得意の寝姿だそうだ。ミャータは誰かに抱きついて寝るのが好きで、ササヘーは学生の頃合宿中に油断して寝ていられない集団に属していたらしく自然と急所をガードするようになったらしい。いずれにしろあまり同じテントで一緒に寝たくない二人だ。

 小雨になってきた。時々思い出したように雨が降るがここまで来たのだからツーリングしようということでみんなの意見が固まる。雨が止んだ隙を見て手際よく撤収作業と出発準備を行う。

 出発前に女性をトイレに連れてゆく。川原を離れる前に水際に木の枝を立てておく。水位の上昇を見ようと思ったのだ。なんとなく川の水が増えて来たような感じがする。

 ほどなく15分程で最寄りのトイレから戻ってきた時水際は約50センチ程川原を侵蝕していた。確実に水嵩が増している。

 ササヘーと車を回送する間心配なのでカヌーを川原に降りるスロープの手前まで移動しておくようミャータと女性陣に依頼しておく。

 今日は雨の晴れ間を縫ってのツーリングとなるので2時間以内の距離にしようと8キロ程下流に車を置きに行く。20分くらいで戻ってみると
  なんとすでに河原は孤立しているではないか! 
 

 川原に降りる土手のスロープから川原までの間にすでに太股くらいまでの深さの濁流が流れている。もういきなりカヌーツーリングの開始である。とにかく川原を脱出しないと。最後まで雨除けとして立てておいたタープをバタバタと畳み込んでカヌーに詰め込む。ライフジャケットもパドルも余りものは全てカヌーに押し込んで逃げるように川原から漕ぎ出て土手のスロープに這い上がった。


 我々が去った川原には昨日のカマドの辺りをカラスが食べ残しを物色している。しかしそれも束の間。みるみる濁流が押し寄せて河原を飲み込んでゆく。カラスも慌てて飛び去った。あっと言う間に川原は濁流に飲まれて水没していったのであった。これが夜中に起こっていたらと思うとゾッとする。


 「嵐を呼ぶ男」恐るべし!

 誰かが言った。

「Rマニア風、無人河原脱出だ!」

 また「電波少年」か。「電波少年」も、恐るべし!

 さていよいよツーリングの開始である。

脱出成功! 普段は、この後ろは車で降りていける大きな川原がある場所。 岩津橋が背後に見える




ハルオ・カータ・・・・


 EPISODE1ご参照。 自分は「晴れ男」と言いたいところ、eメールで「晴男」と送り仮名「れ」を抜かして書いてきたため、”ハルオ”と呼ばれるハメに。 その効力は、残念ながら関東平野限定らしく、はななだこころもとない。

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