EPISODE 7.
非・不沈艦大行進ツーリング!
第4章 またも撤退! 


奥久慈橋の手前の川原で待つアッサー・ミャータ艇、マッツン・ササヘー艇に追いつくと、アッサーが寒さの為に手に力が入らないという。
 見ると顔も青ざめ唇が紫色になっている。最初の沈でアッサーも半身水に浸かっている。加えてこの雨。いわゆる低体温症(ハイポサーミア)を起こしつつある。嗅覚だけでなくお肌も敏感肌のアッサーであった。

 こりゃヤバイと速攻ですぐ目の前に見える奥久慈橋の下へ避難。コンロで湯を沸かし、流木を拾って焚き火を熾す。コーヒーを入れて温まってもらって、カップラーメンで空腹を癒す。

「くーっ、こんな美味いカップラーメン久しぶり!」

「生まれて始めてっスよ、こんな美味いの!」

 みんな結構体が冷えていたようで

五臓六腑に染み渡る即席麺のツユが体に生気を呼び戻してくれる。


 ハイポサーミアのアッサーと粗沈を繰り返すチン太に、ササヘーと私がウェットの下に着込んでいるラッシュガードを脱いで渡す。これがあるとないとでは体温の保持が随分違うものである。アッサーも出来るだけ濡れた服を絞って軽くしてもう少しだけ頑張ることとする。 
が、またもや途中撤退が濃厚となってきた。

 その後下ること2時間、上小川キャンプサイトを越えて大沢橋の左岸に着けて上陸。

 残念ながら今回も途中撤退となってしまった。橋の下で撤収作業をする者を残しTOMと僕で車の回収に向かう。




 
例によってヒッチハイク。
 軽トラ、木材運搬車を乗り継いで上流のスタート地点に到着。下流のTOMのテラノを回収してゴール地点へ。

 小雨の中、夕暮れ前にはなんとか撤収に漕ぎつけたのであった。

 で、冒頭のシーンに戻るわけであるが、わが社の社章をおでこに付けて、イヤというほど「不沈鑑にあらず」を体験し疲労困憊の我々。社長には悪いがホントはやっぱり“不沈鑑”がいいよな、お天気も晴れてるほうが断然いいなぁと心底思ったものだ。帰りの車中でもカータと

「次回は二ヶ所ほど候補を挙げて晴れとるほうへ行きましょう」

 としみじみ話すことしきり。

 「で、次は、絶対完漕しようや!」

 なにせ、これで中途撤退二連敗だ。ササヘーも増水阿賀野川、激流多摩川と結構悲惨なツーリングを経験してきており

「僕は写真で見たあのコバルトブルーの青い川に行きたーい!」

 と、気田川へのラブコールをコトある毎に繰り返している。まぁ水上で人生の厳しさを疑似体験するのも良いが、オフはやっぱり清清しく爽やかに汗をかきたいものである。

 そこで次回課題は「晴天&完漕」。
 その為に、マッツンはミャータに教わって禊をされたし。今ならコソボ難民に義援金を送るもよし、WWFに寄付でもOK。「嵐を呼ぶ女」もしくは「低気圧ガール」名義で領収書を取っておくこと。

 それからTOM。君の沈に付き合っていると完漕がおぼつかない。みんなから「チン太」とか「今日のミスター・沈」と言われるのもシャクであろう。スキルアップに励んで直進すること、たやすく沈しない技術を習得されたし(実は沈する姿は笑えるので密かに期待している)。

 

 いやはや春早々いろいろ課題が見つかるってのも良いモンである。シーズン開始にあたり装備の充実を見た今回(例えそれが非常用ヘルメットであろうと)。次に目指すは技術の向上である。目指す目標、越えるべき課題があるほうが日々張り合いがあるというもの。なんだか有意義なシーズンを過ごせそうな予感がしてこないだろうか。

 波涛、それは乗り越えるためにあるのだ!
                                               (完)
 



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