EPISODE(番外編).
魚野川バトルツーリング!
第1章 怪しき亭主連、川原に集う 


 本社から取引先の工場に武者修業(=出向)に出ているabっちから遊びましょうの連絡が入った。彼も去年からの市況の荒波に揉まれ思わぬ場所に打ち上げられたひとりである。しかし一方彼の私生活はこの半年は実り多く、長年つきあった彼女と遠距離恋愛の末ゴールイン。おまけに7月早々パパになるという快挙(?)まで成し遂げる充実ぶり。

 そんなラブラブ状態で何故遊びの話が出るのかというと、遠距離恋愛の奥さんは実家の福岡で出産したため産後の肥立ちが落ち着くまでしばらくは戻ってこないらしい。こんな時考えるのはどこの亭主も同じで、ここぞとばかりに「遊びましょう」ということになった訳である。

 そうそう都合よくこちらも合わせてられないゾと思っていたら、カミサンの母方の祖母が亡くなり7月の海の日を含む3連休を挟んで2週間程里帰りすることになる。これ幸いと(不謹慎申し訳ない!)計画の相乗りを果たすこととなった。
 
 参加者は他に去年一緒に夏の魚野川をやった都衛生局勤めのM田さん。エベレスト登頂経験のある40越えの元気な一児の父である。 M田さんも3連休は奥さんと子供が向こうのご両親と旅行に行くので日程が空いていると参加してきたクチ。


(なんで、みんな、そんなに後ろめたいんだ!)

 それともうひとり、科学技術庁勤めのTヶ崎氏。素性は良く知らないがM田さんの上司の息子にあたるらしくabっち・M田とは沢登りや冬山スキーでの知り合いらしい。

 いずれにせよ女房子供に大見栄切って遊びに出られない悲しき亭主連の怪しき4人が越後の魚野川に集うことになった。

 山男3人は3連休の初日は南魚沼の巻機山の沢登りを行い、夜、魚野川の川原に野宿。翌朝僕が合流してリバーツーリングするという段取りをつける。(3連休の最終日はそれぞれ家族に充てなければならない悲しい事情があった。とほほほ・・・) コースは、去年に浦佐から下流をやった@ので今年は浦佐をゴールとする上流を行くことにする。先日のツーリングAでもなかなかテクニカルで楽しめたモノだから、もう一度行ってみたいという個人的希望もあってのこと。

 6月のツーリングと同じ石打の少し下流の中之島橋からスタートする。6月の梅雨空ツーリングと違って陽射しは最高、気温・水温とも問題無し。夏のこの時期水量は少ないがこれはしかたないだろう。
 
 が、しかし何が先月と違うかというと、釣師である。アユ師である。7月初旬、他の河川に遅れること約1ヶ月、全国有数の魚影の濃さを誇るこの魚野川もついにアユ釣り解禁となっていた。今日は解禁翌週の三連休、その丁度中日にあたる。


 スタート地点。前方見渡せる200メートルくらいの川原に実に20人以上の釣師の姿が見える。話には聞いていたが実際目の当たりにすると、なるほど壮観。警戒心の強い鮎を釣るために竿の長さは9〜10メートル。

「釣り竿のトンネルができる」

 と言われるのも納得の光景が広がっている。・・・などと納得していて良いものか。
釣師とカヌーの相性の悪さはそれこそ「犬猿」「水と油」。非常に心配なのだが、とりあえず田舎の釣師は心が広いと聞く。9時30分、いざ漕ぎ出さん。


@ 去年のツーリング・・・

abッチ、M田さんとは、前年の同じ日に、奥只見湖合宿&魚野川ツーリングを一度経験済み
A先日のツーリング・・・

フンドウズEPISODE 3. 梅雨空の下だったが、なかなk充実のツーリングだった。近日公開。

 

  艇の配分は先導役の僕がプレイボートに。M田さんがシットオンBのマリブで独り舵。初心者Tヶ崎君を、連れてきた手前もあるしと、abッチがファルトの二人艇でメンドウ見ることに。
 
 スタート直後の釣師のオジサン。

「ほら、行くなら行っとくれ!」

  と竿を上げて流れを譲ってくれる。

「スイマセーン!」

  と我々。

 そのオジサンを筆頭に同じ瀬に糸を垂れている釣師は同様に我々を通らせてくれる。こんな風に行けばいいのだなと先ずは順調にスタート。

 ところが下るにつれて嫌な釣師も顔を出す。

「邪魔するなよなぁ」

「通るなよ、こんなとこ」

 聞こえよがしのイヤミが所々から聞こえる。それでも我々も川の流れはみんなのモンだと開き直って進んでゆく。一応は先に陣取っている釣師に敬意を表して

「通りまーす!」


「いいっすかぁ?」


 
などと一声掛けてゆく。
 しかしそれにしても、ものすごい釣り人の数。どこかで途切れるかと思いきや、どこまで行っても人、人、人。全員が似たような格好で同じ様に異様に長いアユ釣り用の竿を流れの中に差し出している。

 アユの漁法はトモ釣り。縄張りを張っている野アユの居そうな流れにオトリのアユを泳がせ、ケンカをさせて引っかける釣り方だ。野アユの成魚が縄張りを張るのは新鮮な苔の生える流れの中。
 つまりカヌーで行く瀬の中だ。当然我々もその流れのある瀬を行きたいので、ここで利害がモロに対立するわけである。
 
 東京の多摩川などでは釣師から投石をくらうと、かの野田知佑Cも書いている。投石こそないがイヤミな言葉のツブテを時々浴びながら、なんとなく嫌なムードで下ってゆく我々。

B シットオン ・・・

語尾に「な」を補うと「嫉妬女」となって恐ろしいが、正しくは”シットオントップ”といって、とっても乗りやすいファン(娯楽)指向の強い船である。
C かの野田知佑 ・・・

日本カヌーイスト草分け的存在。 「日本の川を旅する」など著書多数。 カヌーで行く水面から日本の自然、文化を見つめ、環境の保全などを訴えている。

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